電動建機:進む大型化と改良
2024年8月6日
Pranav Jaswani
建設機械業界はまだ電動化の初期段階にあり、最初の小型電動建機が市場に登場したのは2015年のことです。しかし、IDTechExの新しい調査レポート 「建設機械の電気自動車 2024-2044年:技術、有力企業、予測」では、製造から10年足らずの旧型と比べ、今日の電動建機の大型化と改良がいかに進んでいるかを取り上げます。世界のメーカー各社は電動建機の開発ペースを速めており、IDTechExの調べでは、この業界は2044年には1260億ドルを超える規模まで成長する見込みです。

ミニショベルの掘削力比較:電動式 vsディーゼル式。 Source: IDTechEx
マシン性能は向上し続けている
電動建機として最初に登場したのはミニショベルでした。小型で作業負荷もあまり高くないことから、建機電動化の試験の場としてはうってつけでした。こうした電動建機が現場の要求に耐え、ディーゼルエンジンと同等の性能を発揮できるのかという点を当時多くの建設会社が懸念していました。
IDTechExの新しい調査レポートでは、現在の電動ミニショベルの開発は、ほぼすべての重要数値指標でディーゼルに匹敵するところまできています。EVはディーゼル建機と同等かそれ以上の出力が可能です。加藤製作所やワッカー・ノイソンのモデルなどは、同じサイズの平均的なディーゼル建機と比べて30~60%高い掘削力を発揮します。機械の稼働時間にも大幅な改良が見られます。初期に市販された電動建機の稼働時間は1回の充電で4~6時間でしたが、最近の機械は標準で最大8時間(フルタイムの作業時間)稼働できるようになっています。粘り強いバッテリー開発がこのような改良に大きく寄与しており、IDTechExは、稼働時間が近い将来に9~10時間に達することになると予想しています。

2015~2023年の電動建機の新機種数と最大バッテリーサイズ。 Source: IDTechEx
大型の掘削機・ホイールローダーの登場
ミニショベルは電動建機の黎明期の主流で、今も市場最大のセグメントであることに変わりはありませんが、開発の焦点は大型の掘削機やホイールローダーへと移っています。この2種類の機械を合わせると2023年の全設備販売の35%を占め、現場での温室効果ガス排出量も最も多く、建機の全排出量の50%以上を占めています。したがって、この2種の電動化が世界の建設業界の脱炭素化の鍵となっているのです。
2019年から2023年にかけて新型の電動建機が生産に入るペースが上がってきたことに伴い、機械の大型化も進んでいます。かつては3トンのミニショベルが電動機械技術の高さを象徴していましたが、現在では複数のメーカーから20トン以上の大型掘削機が出ています。2023年には中国メーカーのKnow-Howが、これまでの最大規模である52トンの電動油圧ショベルの生産を開始しています。ホイールローダーも同様の段階まで達しており、今や新型の20トン機が電動化の標準となりつつあります。
機械の大型化に伴い、より大型で進歩したバッテリーシステムも必要となります。電動油圧ショベルや電動ホイールローダーの普及により、建設分野のバッテリーサイズはここ5年で劇的に大きくなりました。新たに生産されるモデルに搭載されるバッテリーの最大サイズは、2018年の約30kWh(ミニショベルや同様の小型建機で使用)から2023年の500kWh超へと着実に大きくなってきています。Know-Howの52トン掘削機には700kWhの巨大バッテリーが搭載され、IDTechExでは、バッテリーだけでも21万ドル、重量は3.5トンを超えるのではないかと推定しています。
EV建設機械の次の動きは?
現在市場に投入されている大型建機の多くは、ディーゼル式の性能に匹敵するという点においてミニショベルと同じ道をすでに辿っています。メーカー各社は、同等の性能レベルの達成はもはや困難ではないという段階まできており、自社のEVラインナップをより大型の機械や新しい種類の設備にまで広げることに注力しています。その点では中国メーカーが市場をリードしており、大型の掘削機やホイールローダーを開発しつつ、数百トンするクレーン車の電動化にも積極的に取り組んでいます。
バッテリーの進歩は、電動建機業界の将来を決める大きな要因となるでしょう。メーカー各社は今のところ自動車市場をはるかに上回るバッテリー価格を設定していますが、EV生産の規模を拡大し、専用のサプライチェーンを構築すればコストが削減できます。同時に、既存のバッテリー技術の効率を向上させ、より進歩したリチウムイオン技術や将来のバッテリー技術を導入すれば、電動化できる機械の種類を広げ、その性能をさらに向上することが可能となります。
IDTechExの最新調査レポート 「建設機械の電気自動車 2024-2044年:技術、有力企業、予測」は、電動建機業界の将来についてより深い分析を提供しています。同レポートでは、同産業は年平均成長率21%で成長し、2044年には金額ベースで1,260億米ドルに達する見込みであると示しています。
最新の電動建機業界のよりよく理解するために、IDTechExの最新調査レポート 「建設機械の電気自動車 2024-2044年:技術、有力企業、予測」をご活用ください。
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