3Dエレクトロニクスにより高集積化が可能に

Dr Matthew Dyson
3Dエレクトロニクスは、物体の内部や表面にエレクトロニクスを組み込むことを可能にする新しい製造方法です。3Dエレクトロニクスは、射出成形されたプラスチックの立体オブジェクトの表面にアンテナや単純な導電配線を印刷するのに長い間使用されてきましたが、新しい技術を利用することで、より複雑な回路がさまざまな材料の表面に印刷されるようになっています。
 
また、3D積層エレクトロニクスにより、完全な回路をオブジェクト内に組み込めるようになるため、製造の簡素化や新しいフォームファクタなど、多くの恩恵がもたらされます。3Dエレクトロニクスを用いると電子回路機能を印刷する場合に、剛性平面のPCBをオブジェクトに組み込んでから関連するスイッチ、センサー、電源、その他の外部部品を配線でつなぐといったことをしなくても済むようになります。
 
IDTechExの新しい調査レポート 『3Dエレクトロニクス/積層エレクトロニクス 2022-2032年』では、3つの主要な3Dエレクトロニクス(3D Surface、インモールドエレクトロニクス、完全な積層3Dエレクトロニクス)のアプローチを詳細に解説しています。
 
3Dエレクトロニクスへの対照的なアプローチ。 Source: IDTechEx

電子回路を立体面に付加

立体オブジェクトの表面に電気的機能を付加するアプローチとして最も確立されているのが、レーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)です。LDSでは射出成形したプラスチックに含まれる添加剤を希望の形にレーザーで活性化させます。これによりパターンが形成されます。その後、無電解めっきを使用してその部分をメタライズします。LDSは10年程前に驚異的な成長を遂げており、年間何億個ものデバイスを製造するのに使用されていますが、その約75%がアンテナです。しかしながら、このメタライズ法は添加剤を含んだ射出成形部品にしか用いることができません。また、析出できる金属層は1層だけなので、複雑な回路への対応は制限されます。
 
これらの制約により、立体オブジェクトの表面に導電配線を成膜するアプローチとしては他の方法が優勢になりつつあります。導電性ペースト(多数の導電性フレークを含む粘性の懸濁液)を押し出す方法は、ごく一部ですが既にアンテナに使用されており、回路全体を立体面に成膜するシステムにとって最適なアプローチとなっています。エアロゾルジェット法とレーザー誘起前方転写法(LIFT)は、新しいデジタル成膜技術であり、どちらもより高い解像度でさまざまな材料をより高速に成膜することができます。

インモールドエレクトロニクス

立体オブジェクトに熱成形する前に電子回路を印刷・実装するインモールドエレクトロニクス(IME)を用いると、特に静電容量式タッチセンシングと照明が必要な場合は、電子回路の高集積化への移行が容易になります。熱成形した立体面を持つ部品に多数の機能を組み込むことができるため、従来の機械式スイッチと比較すると、IMEには重量や材料消費量の削減(最大70%)、組み立て作業の大幅な簡素化など、数多くの利点があります。
 
IMEは既に確立されているインモールド加飾(IMD)を拡張したものであり、装飾コーティングを施したプラスチックシートを熱成形してから射出成形することで3次元に変換します。IMEはIMDとは異なり、導電性の熱成形インクを最初にスクリーン印刷してから導電性接着剤を塗布し、SMD(表面実装部品、現在は主にLED)を実装します。
 
IMEの長期的な目標は、現在の剛性PCBのようにプラットフォーム技術として定着することです。これが実現すると部品や回路の製造を電子設計ファイルの送信だけでできるようになります。この技術が広く受け入れられるようになると、明確な設計ルール、既存の基準に準拠する材料、そしてとりわけ重要なこととして電子設計ツールの開発が必要となります。

全印刷型3Dエレクトロニクス

積層エレクトロニクスへの最も革新的なアプローチは、ほぼ間違いなくフル3Dプリンテッドエレクトロニクスです。このアプローチでは、誘電材料(通常は熱可塑性プラスチック)と導電性材料を連続して成膜します。配置したSMD部品と組み合わせると回路になることから、複雑な多層構造がプラスチックの立体オブジェクトに埋め込まれる可能性があります。オブジェクトと埋め込み回路は個別に設計して製造できるため、その都度必要だったマスクや金型の製作コストが不要となることが、コアな価値提案となります。
 
このようにフル3Dプリンテッドエレクトロニクスは、さまざまな部品を短いリードタイムで製造するような用途に最適です。この技術は補聴器や補装具といった医療機器など、形状のカスタマイズや機能性も重要となる用途にとっても有望なものとなっています。3Dプリンテッドエレクトロニクスで、同じ設備を使用してさまざまな部品を製造できるようになることと、それに伴い単価と製造量が連動しないことで、オンデマンド製造への移行も実現する可能性があります。
 
フル3Dプリンテッドエレクトロニクスの課題は、各層を連続して成膜する必要があるため、射出成形で部品を作る場合よりも基本的に製造工程の速度がはるかに遅いということです。印刷工程は複数のノズルを使用することで速くすることができますが、そのカスタマイズ性によってはっきりとした利点が得られる用途をターゲットとするのが一番です。電子回路が埋め込まれていると事後の修復が不可能であるため、信頼性を確保することも課題となっています。1つの戦略は、画像解析を使用して各層をチェックし、次の層を成膜する前に修復を行ってしまうことです。

包括的な分析と市場予測

IDTechExの新しい調査レポート 『3Dエレクトロニクス/積層エレクトロニクス 2022-2032年』には、さまざまな技術における主要プレイヤーへのインタビューに基づく複数の企業プロフィールが含まれています。また、各技術とアプリケーション分野ごとに、売上と面積の両方の10年間の市場予測も提供しています。
 
3Dエレクトロニクスおよび積層エレクトロニクスについては、IDTechExの新しい調査レポート 『3Dエレクトロニクス/積層エレクトロニクス 2022-2032年』をご活用ください。
 
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