自動運転:熱材料の新たな機会

HUD(Head Up Display) and digital instruments panel in an autonomous car
自動車市場ではドライバーや歩行者の安全確保や運転の利便性向上のために、先進運転支援システム(ADAS)の導入が進んでおり、より高度な自律化を目指しています。ADASには自動緊急ブレーキから完全な自動運転まで、実にさまざまな機能が含まれています。ADASに共通で求められるのは高品質なセンサーとそのデータ処理です。
また車両に搭載されるセンサーの数は、自律走行が進むにつれ急速に増加します。これらのセンサーとその進化は、自動車産業における熱管理材料に新たな市場を提供することになります。実際、IDTechExの新しい調査レポート『ADAS(先進運転支援システム)の熱管理 2023-2033年』では、ADASにおけるサーマルインターフェイス材料(TIM)の年間市場規模が今後10年間で11倍に増加するとしています。
 
Each sensor in the ADAS system has its own thermal material opportunities. Source: IDTechEx -『ADAS(先進運転支援システム)の熱管理 2023-2033年』

ADASコンポーネントでどのような変化が起こっているのか?

カメラとレーダーの車への搭載が進んでいますが、自動運転のレベルが高くなるほど、機能を向上させた、より大型のセンサーが必要となります。IDTechExでは、カメラ、レーダー、LiDARを含む自動車用センサーの年間需要が2033年までに6倍以上の伸びを示すと予測しています。鍵となる要因は集積化です。より多くのセンサーを美観を損なわずに車両に搭載するには、ユニットのフォームファクターの小型化が必要となりますが、コンポーネントの高密度化につながるため、熱管理上の課題が生じます。
ADASセンサーは、電子機器にとっては好ましくない、衝撃や振動への耐性が必要な環境で使用されることが多く、内燃機関の排熱に対する耐性も必要です。センサーが設置されるような場所では、アクティブ冷却が実行できません。また、高気温下では停車中の車内のセンサー温度が著しく上昇する可能性があります。
考慮すべきもう1つの要因はデータ処理です。センサーの増加、センサーの高忠実度化により、車両が処理する必要のあるデータがより多く生成されるようになります。こうした処理の一部はセンサーユニット自体の内部で行われますが、この情報を車両制御装置に伝達するには、中央コンピューターや電子制御ユニット(ECU)が必要となります。このようにデータに関する要件の増加が、より電力密度の高いIC(集積回路)の使用につながり、熱管理に関する要件も増えるのです。テスラが車載コンピューターに液冷回路を採用したことで熱の発生が注目されるなど、私たちはすでにこの状況を目にしています。

材料のトレンドは?

現代の電子部品と同様に、ADAS用のセンサーとコンピューターには、発熱する素子からヒートシンクやユニットの筐体に熱を逃がすための熱伝導材料(TIM)が必要です。カメラ、レーダー、LiDAR、ECUのすべてにTIMに関する独自の要件があり、設計が高度に変化していくのに伴って、TIMに対するニーズも変わっていきます。現在の標準的なECUでは、熱伝導率が3~4W/m・kの一般的なTIMが使用されていても、自動運転機能に必要な処理能力が上がれば、この値は大幅に上昇する可能性があります。
 
車両内に数多く設置されるセンサーの多くは比較的小型かつ低電力であるため、必ずしも高性能なTIMを必要としません。しかし、ADAS市場の急成長に伴って、TIMの量産需要が大幅に伸びることになります。IDTechExでは、ADASセンサーにおけるTIMの需要がわずか5年間で3倍に伸びると予測しています。

まとめ

自動車市場におけるADAS機能と自動運転の急速な導入により、センサー設計の進化とADAS部品の市場が拡大し、熱管理材料サプライヤーに大きなチャンスをもたらします。IDTechExのレポート『ADAS(先進運転支援システム)の熱管理 2023-2033年』では、一次調査と二次調査をもとに、ADAS用のセンサーとコンピューターに関するこれらのトレンドを熱伝導材料とダイの接着を中心に考察し、EMI、熱材料、レーダー・レドーム用材料の組み合わせについても章を分けて取り上げています。各社の概要やインタービュー内容ついても、材料分野別に、向こう10年間の市場予測(数量、金額ベース)と合わせて掲載しています。
自動車市場における熱管理材料への理解を深めるために、IDTechExのレポート『ADAS(先進運転支援システム)の熱管理 2023-2033年』をご活用ください。
 
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