自動車内装の差別化が新たな激戦区に
2021年6月7日
自動車メーカーは、他のブランドや他のモデルとの差別化を図るために、常に機能を追加してきました。これまでは、排気量の増大や、気筒数の増加、ターボチャージャーの追加など、エンジンのパラメータを変更することがその主な手段となっていました。
しかし、EVではこのような差別化の選択肢が大幅に削られてしまいます。大半の消費者にとって、モーターやインバータの設計仕様の違いを認識するのは難しく、航続距離や馬力、場合によっては充電速度だけを判断基準としています。
そのため、内装の機能面を利用してモデル間あるいは他社ブランドとの差別化を図るメーカーが増えています。クラスタ・ゲージやコックピットシステムメーカーの社長の発言においてもこのような変化が力強く語られています。「今や激戦区は、コックピットへと移行しています。もはやボンネットの下ではなく、コックピット内にあるのです」 。
IDTechExの新しい調査レポート 「車載向けプリンテッド・フレキシブルエレクトロニクス 2021-2031年: 技術および市場」では、 プリンテッド/フレキシブルエレクトロニクスは、コックピットに機能を追加しながら、効率的な製造を可能にする大きなチャンスがあることを示しています。その例としては、ディスプレイ数の増加や、より高性能なディスプレイの追加、革新的な制御インターフェースの採用、有機的な曲線と機能の組み合わせによる審美性の向上などが挙げられます。
内装用ディスプレイ数の増加
自動車内装においてカラーディスプレイ数の増加や大型化の傾向が顕著になっています。最近発売されたHonda eには前部座席の搭乗者専用ディスプレイが6台搭載されています。従来のセンタースクリーンやデジタル式クラスタ・ゲージのほか、ミラー用や搭乗者の娯楽用のディスプレイも配置されています。また、消費者がスマートフォンと同レベルの画質を期待することを踏まえ、それを満足させる画質と色彩表現を備えた有機EL(OLED)の採用が増えることが予想されます。また、安全性を向上させる「透明な」ピラーなど、コンフォーマル性によって幅広い機能統合の機会がもたらされるに違いありません。
スマートサーフェスとIME
自動車内装のトレンドは、スマートサーフェス抜きに語ることはできません。スマートサーフェスでは、機械式スイッチに取って代わり、内装パネルに静電容量式タッチセンサーと照明が組み込まれています。電子的機能や装飾的、機械的機能を1つの部品に一体化させる技術が、インモールドエレクトロニクス(IME)におけるこうした変遷を後押ししています。この技術は、フィルム上に導電配線をスクリーン印刷するか、またはフィルム上に単体のSMD部品を実装し、それを熱成形した後に射出成形するというものです。
IMEを利用すれば、センターコンソールやオーバーヘッドコントロールパネルといった多機能部品をはるかに軽量かつ簡単に製造することができます。それ以外の利点としては、構造的機能と電子的・装飾的機能が干渉し合わないため、熱成形と射出成形で同じ金型を使用して多様な外観と機能を併せ持つ部品を製造できるため、バージョンの多様化がより簡単になることです。さらにIMEにより、電子的機能やタッチセンサー機能を前部座席の背面に追加するなどの新たな用途が出現しており、一部の自動車メーカーの設計チームでは、それぞれ異なる40種類以上の用途を見いだしています。
スマートサーフェスは、その進化に伴い、単純な静電容量式センサーやオン・オフボタンよりも高度なインタラクション機能を提供するようになる可能性もあります。例えば、印刷型感圧センサーがコントロールパネルに利用されるようになったように、幅広い領域での入力を提供するようになる可能性があります。運転手が道路から極力目を離さずに済むのであれば、ポジティブな動作の方が満足感を生み、間違いなく安全性も高いため、触覚フィードバックも広い範囲で組み込まれるようになることが予想されます。

Caption: Integrated touch and illumination on a wooden door trim by Tactotek. Source: Tactotek. www.tactotek.com
車載向けプリンテッドヒーター・フレキシブルヒーター
温風を吹き出して車内を暖める従来の方法は、極めて非効率であり、電気自動車の航続距離に多大なる悪影響を及ぼします。人が触れる場所にヒーターを組み込むプリンテッドエレクトロニクスやフレキシブルエレクトロニクスの方が、はるかに効率的です。そのため、この方法は座席やハンドルだけにとどまらず、アームレストやセンターコンソールにまで広がっていく可能性があります。さらに、プリンテッドエレクトロニクスのコンフォーマル性により、ヒーターを表面にかなり近い位置に配置することができるため、加熱効率が向上し、より短時間で暖まるようになります。透明導電体は、この発想を一歩先へと進めたものであり、材料表面のすぐ下に貼り付けることができるため、照明素子と組み合わせることが可能です。
概要
要約すると、自動車の内装にはプリンテッド・フレキシブルエレクトロニクスの広範な機会があり、メーカーがこの分野での差別化を重視するようになったきています。 IDTechExの新しい調査レポート 「車載向けプリンテッド・フレキシブルエレクトロニクス 2021-2031年: 技術および市場」では、11の応用分野におけるプリンテッド/フレキシブルエレクトロニクスの現状と機会を概説するとともに、売上高と数量による10年間のプリンテッドエレクトロニクスの自動車市場予測、複数の応用事例、商業的および技術的な準備状況の評価などを紹介しています。また、アーリーステージの企業や既存の企業へのインタビューに基づいた複数の企業プロファイルと10年間の市場予測も提供しています。
さらに詳しくは、調査レポート 「車載向けプリンテッド・フレキシブルエレクトロニクス 2021-2031年: 技術および市場」でご確認ください。
また、IDTechExは、プリンテッドエレクトロニクス関連で多数の調査レポートを発行しています。こちらも併せてご確認ください。www.IDTechEx.com/Research/プリンテッドエレクトロニクス
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