インキャビンセンシングへAIを実装する自動車メーカー
2025年4月17日
インキャビンセンシングへのAI実装 - 自動車メーカー各社は先進機能の実現にソフトウェアをフル活用
EUのADDW(先進運転注意喚起)のような規制枠組みの施行が迫る中、自動車メーカー各社で、インキャビンセンシング技術をSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)アーキテクチャに組み入れる動きが活発になっています。この変化はCES 2025でも顕著に表れており、新たな収益源の開発やユーザーエクスペリエンス向上を目的に、自動車メーカー各社が既存機器(赤外線カメラやRGBカメラなど)を活用する中で自動車業界の重要な転機となっています。IDTechExは調査レポート「インキャビンセンシング 2025-2035年:技術、機会、市場」で、この融合がスマートモビリティの未来にどのような影響を与えているのか分析しています。
多機能システム - ソフトウェアへの依存度は高まり、ハードウェアへの依存度は低下
コストに非常に敏感な自動車メーカーは、機能性を最大限に高めつつもハードウェア要件を最小限に抑えようとします。その実現に向け、物理部品を別途追加することなく車両機能を強化するソフトウェア主導型のソリューションへと焦点を移すメーカーが増加しています。
最新ソフトウェアを活用することで、自動車メーカーは複数の機能を1つのシステムに組み込むことができ、既存機器の使用を最適化できるのです。例えば、ヒョンデでは、運転者の姿勢、シートベルトの着用状況、バイタルサインなど、10種類を超える各種パラメータをリアルタイムで分析・評価できる車載システムを開発しています。この手法は、コストが下がるだけでなく、効率性、柔軟性、スケーラビリティも向上します。
車両のコネクティビティと自律性の向上に伴い、安全性、利便性や全体的な運転体験を向上させる上でソフトウェアベースの多機能システムが重要な役割を担うようになり、自動車メーカー各社が生産コストを抑えつつ車両インテリジェンスを強化することを模索していることから、この流れは今後も継続する見込みです。
DMSの中心的役割を果たすNIRカメラ
アクティブモニタリングに対する需要が高まり続ける中、近赤外線(NIR)カメラがDMSの中心的技術になりつつあります。従来の可視光カメラとは異なり、NIRカメラは暗い場所や夜間でも動作することから、周囲の光に関係なく、運転者を常時、確実にモニタリングする上で理想的です。
これらのカメラは人間の目には見えない赤外線照明を使用しているため、運転者の注意をそらすことなく高品質の画像を撮影することが可能です。そのため、眼球運動の追跡、眠気の検知や運転中の注意散漫な行動の発見に特に効果的です。また、NIRカメラでは、表情や注視方向の認識精度が向上し、全体的な安全性や規制基準への準拠性も高まります。
自動車の安全規制の厳格化や自動運転技術の進歩に伴い、DMSへのNIRカメラの採用も加速すると見られています。高精度なデータをリアルタイムで提供するNIRカメラが、交通事故の減少や、最新の車に搭載される運転者認識システムの改良に不可欠なものになるはずです。
多機能システムに必要な追加機器
ソフトウェアによってセンサーは複数の機能を果たせるようになるものの、特定の状況では追加の機器が必要になる場合もあります。近赤外線(NIR)カメラの制約の1つは座席などの物理的な障害物を突き抜けることができない点であり、後部座席にいる搭乗者をモニタリングする場合の課題となっています。
これを解消するべく、自動車メーカーでは、主に乗員モニタリングを目的に、レーダー技術(具体的にはミリ波レーダー)をNIRカメラとともに搭載することがよくあります。NIRカメラとは異なり、ミリ波レーダーは座席などの柔らかい物質越しに動きやバイタルサイン(心拍数など)を検出できるため、後部座席の乗員をモニタリングするソリューションとして適しています。この技術は、子どもの置き去り検知、乗員モニタリングなど、搭乗者全員の安全確認に特に役立ちます。
NIRカメラとミリ波レーダーを組み合わせることで、自動車メーカーはより包括的で信頼性の高い車室内モニタリングシステムを開発し、安全性や最新規制への準拠性を高めることが可能です。しかし、2025年初頭の時点では規制による乗員モニタリングの義務付けは行われていないため、多くの場合レーダーは車両オプション部品として用意されています。さらに、インキャビンレーダーの価格は30~40ドルとなり、長期的には20ドルまでの引き下げが目標とされていますが、まだ比較的高コストのアドオンと見なされています。このためIDTechExでは、レーダーモジュールは短期的に中級車から高級車に搭載される可能性が高いと分析しています。

自動車メーカー別インキャビンセンサー概要。出典:IDTechEx
最新トレンドや進化する市場状況に関する詳細な分析は、IDTechExの調査レポート「インキャビンセンシング 2025-2035年:技術、機会、市場」でご覧いただけます。この分野の技術、機会、商業戦略に関する包括的な洞察を提供しています。
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