2025年までにエアロゲル用途はEVが主流に

Airgel and experiences with it. aerogel properties.
エアロゲルは歴史的に着実な市場成長を遂げており、2022年の市場規模は4億5,000万米ドル弱です。これは主に低コストの既存断熱材との競合によるものです。しかし、電気自動車(EV)バッテリーの防火材料としてのエアロゲルの出現は、エアロゲル市場に新たな急成長の機会をもたらしています。IDTechExの最新市場レポート『エアロゲル 2024-2034年: 技術、市場、有力企業』では、2025年までにEVバッテリーがエアロゲル市場の半分以上を占めるようになると予測しています。
 
IDTechEx predicts that EV batteries will be the dominant application for aerogels by 2025. Source: IDTechEx
 
EVにとってのメリット
 
エアロゲルはEVバッテリーに最適な特徴である、優れた断熱性(15~20mW/m・K)を発揮することがよく知られています。一般的にバッテリーセルは、水冷プレートや冷却液流路などの熱管理戦略によって冷却されますが、セル間の断熱が有益となる可能性があります。これは、低温条件でもセルを保温でき、セルが過熱した場合にもセル間の熱伝導を防ぐことができます。エアロゲルは密度も非常に低い (<0.2g/cm3)ので、バッテリーパックのエネルギー密度にも貢献します。
 
歴史的な懸念への対応
 
EVのエアロゲル採用の前に立ちはだかる制約の1つは、最高燃焼温度が低いことでした。自動車メーカーが熱暴走発生時における安全性を求める中、エアロゲルメーカーのほとんどは1000°Cを優に超える温度でも自社材料による保護が可能と提案しています。
 
もう1つの懸念は、これらの材料の取り扱いとその「ほこりっぽい」性質でした。これに対応するべく、エアロゲルメーカー数社はパウチに封入した状態でEV向け製品を提供しており、バッテリーに直接組み込めるようになっています。
 
自動車関連全般と同様にコストが障壁ですが、エアロゲルが複数の特性を提供できるという点で多少は緩和されます。EV用バッテリーパックが一体化によってエネルギー密度を高める方向へと向かう中で、多機能材料に注目が集まっています。エアロゲルは断熱、電気的絶縁、防火や一定の圧縮性能を兼ね備えています。加えて、製造規模の拡大や発注量の増加に伴い、代替品とのさらなる競争に向けてコストが低下する可能性もあります。
 
競争
 
一般的に使用されている防火材料には、セラミックブランケット、マイカシート、発泡封止材などがありますが、膨張性材料や相変化材料など、この分野で競合になりうる材料は他にも数多くあります。熱伝導率、密度、圧縮性能、最高使用温度、持続可能性などのコアとなる特性については、それぞれトレードオフが存在します。また、個別のバッテリー設計もセルの形式(パウチ型、角形、円筒形)やパックの構造(セル・ツー・パック、熱管理戦略など)などの選択に影響します。IDTechExの調査レポート『電気自動車バッテリー用防火材料 2023-2033年』では、これらの要因をベンチマークし、今後10年以内に市場を完全に支配する単一のソリューションはなく、いくつかの選択肢が引き続き存在すると予測しています。
 
エアロゲルEV市場の進展
 
EV市場における初期のエアロゲルの進歩のほとんどは、中国国内の電気バス向けでした。同社のEV向け材料「PyroThin」による2022年の収益は、2021年の9倍となる5560万ドルまで増加しました。アスペンは、GM のUltium(アルティウム)のプラットフォームやトヨタから受注しており、その他数社からもその名が挙がっています。
 
中国がエアロゲル製造能力全体の大半を占めています。EV向けの有力企業の1つがIBIHです。同社は、2017年に最初の生産を開始してから、2023年までに生産能力を2倍に増強しており、さらに拡張を進めています。IBIHはその製品の大半を大手EVバッテリーメーカーに販売しており、IDTechExに対し、2020年以降、毎年2倍のペースで収益を伸ばしてきているとのことです。中国市場には他にも多くのエアロゲル企業がありますが、そのほとんどが新興企業であり、生産やEVへの取り組みの状況もさまざまです。
 
EVにおけるエアロゲルの見通し
 
エアロゲル市場は安定したペースで成長してきましたが、EVによって市場は急成長し、IDTechExはエアロゲル市場全体が2034年までに26億米ドルを超え、その大部分をEVバッテリーが占めると予測しています。この分野では他にもいくつかの素材が競合しますが、エアロゲルは標準的な選択肢なると予測しています。
 
IDTechExは長年にわたりエアロゲル業界を調査しており、技術を深く理解する専門家がこの業界にインタビューし、詳細な評価を行っています。IDTechExの最新レポート『エアロゲル 2024-2034年: 技術、市場、有力企業』では、プレーヤー、収益、生産能力、市場の進展とともに、EVバッテリーパック用の他の防火材料に対するエアロゲルのベンチマークを示しています。また、石油・ガス、LNGパイプライン、エレクトロニクスなど他の用途についても考察しています。
 
エアロゲル市場の最新動向の理解を深めるために、IDTechExの調査レポート『エアロゲル 2024-2034年: 技術、市場、有力企業』をご活用ください。
 
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