ダイレクトダイオードレーザー: 技術の進化が新しい市場を開花させる | IDTechEx Research Article

ダイレクトダイオードレーザー: 技術の進化が新しい市場を開花させる | IDTechEx Research Article

ダイオードレーザーの価格と性能の進化により、新しい市場が急速に開かれつつあります。本記事では新しいテクノロジーとその市場調査を続けているIDTechExが、半導体レーザー技術の進歩により、レーザー加工と工業生産における新しい利用法がいかにして可能になるのかをご紹介していきます。

Dr Nilushi Wijeyasinghe
ダイレクトダイオードレーザー: 技術の進化が新しい市場を開花させる
ダイオードレーザーの価格と性能の進化により、新しい市場が急速に開かれつつあります。本記事では、新しいテクノロジーとその市場調査を続けているIDTechExが、半導体レーザー技術の進歩により、レーザー加工と工業生産における新しい利用法がいかにして可能になるのかをご紹介していきます。
 
ここで取り上げる内容は、IDTechExの新しい調査レポート『レーザーダイオード & ダイレクトダイオードレーザー 2019-2029: 技術、マーケット、市場予測』からの引用です。この調査レポートでは、IDTechEx テクノロジーアナリスト、Dr Nilushi Wijeyasingheが、 ダイオードレーザー技術、バリューチェーン、キープレーヤー活動、世界市場の包括的なレビューを紹介しています。ケーススタディーを使い、材料加工における最近の進歩にハイライトを当てていきます。ケーススタディーでは、彼女がレーザー物理学と半導体物理学の研究でのバックグラウンドを生かし、新しい技術概念を説明します。セグメント化された10年間の市場予測と技術ロードマップは市場の促進要因と抑制要因を慎重に考慮しながら、一次データと二次データの広範な分析に基づき作られたものです。
レーザーダイオードとダイオードバーの進化
技術の進歩によりレーザーは専門の技術機器から多様な市場へと用途を広げてきました。レーザーダイオードは最も広く利用されているレーザー技術であり、単純な半導体デバイスです。過去30年間でレーザーダイオードの平均出力は大幅に増加しました。一方、1ワット当たりの平均価格は急激に下落しました。その結果として、レーザーダイオードは確立されたいくつかのレーザー技術と非レーザー技術を置き換える一方で、全く新しい光学技術を可能にしています。レーザーダイオードの成熟した用途にはデータ記憶、データ通信、固体レーザーの光ポンピングがあります。対照的に材料加工や光センシングは、急速に進化している市場分野の例であり、多くの新用途があります。
 
レーザーダイオード単体での出力は、ミリワットから数ワットレベルの範囲となります。単一のエミッターをレーザーダイオードバーとバーのスタックに組み合わせることによって出力を高めることができ、標準のバーには1cmの幅があります。何十年もの間、企業の間でダイオードバーの出力を高めようとする激しい競争があり、急激な成長トレンドを見ることができました。市販のダイオードバー製品では通常、波長1ミクロンのダイオードバー当たり200W未満の出力となりますが、レーザー製造業者の研究開発(R&D)部門はバー当たり1kWを超える連続波(CW)平均出力を実証してきました。ダイオードバーの出力増加により、材料加工における新しい用途が可能になりましたが、いくつかの新たな用途では、波長安定性や装置の寿命のようなレーザーのパラメータの向上が要求されます。それゆえ、出力をめぐって競争することは、もはやこの市場の企業にとっての優先事項ではありません。ダイオードレーザー技術について今起こっている進化の中には、精密工学用に赤外線ビームの品質を向上させることや、金属加工用に新しい可視光レーザーの開発をすることなどがあります。
IDTechExの収集、分析データによる、赤外波長1ミクロンでのレーザーダイオードバーの出力の進化。ダイオードバーの出力向上はダイレクトダイオードレーザーの開発に貢献し、材料加工における新たな用途を可能にしました。ダイオードレーザー技術について今起こっている進化の中には、精密工学用に赤外線ビームの品質を向上させることや金属加工用に新しい可視光レーザーの開発を行うことなどがあります。Image source: IDTechEx
出力と精度: 新しいダイレクトダイオードレーザー技術
半導体レーザー技術におけるこれらの驚くべき進歩により、数キロワットの出力を生み出す高出力ダイレクトダイオードレーザー(HPDDL)を含むダイレクトダイオードレーザー(DDL)の開発が可能となりました。DDLは多数のダイオードバーにビーム整形光学系、制御電子装置、冷却ユニットを組み合わせたものです。技術の進歩により、DDLはマルチモードシステムで20 kWを超える出力を生み、以前よりも高いビーム品質で数キロワットの出力を生成することが可能となりました。DDLに加えて、レーザーライン社(ドイツ)のような企業ではアクティブファイバーコンバーターにつないだダイオードレーザーを提供しています。これらダイオードレーザーは4〜6mm mradの優れたビーム品質で4〜6kWの出力を生み出します。
The evolution of output power and beam quality in high-power direct diode lasers (HPDDLs) at 1 micron infrared wavelength, according to data collected and analysed by IDTechEx. HPDDLs are a rapidly evolving tool for material processing and industrial manufacturing. Image source: IDTechEx
 
ビーム品質の劇的な向上により、ユーザーは今、レーザー光を小さな点に集めることが可能となりました。このことによってDDLは金属、プラスチック、複合材料用の加工ツールとして急速な進化を見せています。レーザー溶接のような、高い精度と溶け込み深さが必要とされる用途においては、DDLは今、ファイバーレーザーと競うことが可能です。DDLは電気を直接レーザー光に変換しますが、ファイバーレーザーは希土類ドープ光ファイバーを基にしており、レーザーダイオードまたはダイオードバーを介した光ポンピング(エネルギー入力)が必要です。DDLの単価は、1 kWまでのCW出力においてはファイバーレーザーよりもかなり安価です。2018年、IDTechExがインタビューした主要企業が出した見積もりによると、通常単価は1 kWのHPDDLで20,000ドル、1 kWのファイバーレーザーで25,000ドルでした。DDLとファイバーレーザーの間の価格差は、キロワット未満の出力の場合に大きくなります。その上、DDLが生み出す波長はファイバーレーザーのとは異なります。つまり、DDLは吸収スペクトルの一致する材料をより効率的に加工することができます。
 
その結果として、DDLとHPDDLは、工業生産における大きな世界的トレンドとして台頭しています。高い成長を遂げているDDL / HPDDL市場での地位を強化するために、主要企業は戦略的買収を行い、生産能力拡大への投資を行っています。例えば、パナソニック(日本)は、レーザーメーカーのテラダイオード(米国)を買収しました。これにより、特許取得済の光学プロセスを介して高品質のビームを生成するHPDDLに関する専門知識を獲得しました。全般的に見れば、上記で紹介した技術の進歩は、素晴らしいビジネス成長の機会につながります。IDTechExでは、レーザーダイオードとダイレクトダイオードレーザーの世界市場が、2029年までに140億ドル規模に到達すると予測しています。そのうちダイレクトダイオードレーザーは20億ドルを占めています。詳細な市場予測の分析は『レーザーダイオード & ダイレクトダイオードレーザー 2019-2029: 技術、マーケット、市場予測』に掲載しています。
レーザーダイオード市場における材料加工分野の技術マップ。黒枠で囲んだものは、新興技術または急速に進化している技術を示しています。ダイレクトダイオードレーザーが生成する可視・赤外波長は、様々な金属、プラスチック、複合材料を加工することができます。新しいIDTechEx調査レポート『レーザーダイオード & ダイレクトダイオードレーザー 2019-2029: 技術、マーケット、市場予測』は材料加工技術、その市場についての情報も提供しています。 Image source: IDTechEx
高輝度青色ダイオードレーザーを用いた銅の溶接と3Dプリンティング
特に重要なトレンドは銅の溶接や3Dプリンティングなどの用途に利用される青色ダイレクトダイオードレーザーの開発であり、2019年にはレーザーライン社が1kW製品を発売しました。青色レーザー光は金属の加工において、より速くより効率的です。ほとんどの産業用レーザーシステムが出力する1ミクロンの赤外線は、金属の吸収効率が低いからです。2018年、島津製作所(日本)は、高輝度で100 Wの出力を生み出すBLUE IMPACTダイオードレーザーを商品化しました。本製品は日本の国家プロジェクトの一環として、大阪大学(日本)と共同開発されたものです。BLUE IMPACTレーザーは、日亜化学工業(日本)製の多数の窒化ガリウム(GaN)青色レーザーダイオードを組み込んだものであり、2006年以来効率は2倍に、出力は1桁分向上しました。島津製作所製の450nm青色ダイオードレーザーの主要な用途は、銅の3Dプリンティングです。銅による青色レーザー光の高い吸収効率により、後方反射を減少させた迅速な加工が可能となりました。後方反射は従来の赤外線レーザーにとって重大な課題となっています。新しく開発された3Dプリンターは純銅粉末を使用し、対象物を効率的に印刷することができます。既存の3Dプリンター技術では、通常、純銅の代わりにCuCr1Zrのような銅合金を使用します。
A pure copper object (left) 3D printed from a CAD model (right) using Shimadzu's BLUE IMPACT diode laser. The lower half of the object is buried in copper powder. Image source: Shimadzu
 
IDTechExの調査では、より多くの製品が商品化されるにつれ、2019年以降銅加工において青色DDLの採用が急速に進むことを予想しています。このトピックするに関するさらに詳しい情報は『レーザーダイオード & ダイレクトダイオードレーザー 2019-2029: 技術、マーケット、市場予測』に掲載しています。
 
IDTechEx調査レポート 『レーザーダイオード & ダイレクトダイオードレーザー 2019-2029: 技術、マーケット、市場予測』を購入すると30分のアナリストタイムが提供されます。直接アナリストにレポートに関する質問が可能です。
 
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