ARスマートグラス向け導波路技術の評価

ARスマートグラス向け導波路技術の評価
本記事では、スマートグラスの拡張現実(AR)光学系で使用される反射型導波路と回折導波路の長所と短所について解説します。

スマートグラスで、虚像をプロジェクター(通常はフレーム内に配置)から目に投影するために使用される光学系が導波路です。導波路は接眼レンズ内に収まっており、接眼レンズは現実世界の光が目に届くように透明になっています。本記事では、反射型導波路と回折導波路の各技術の長所と短所を評価します。評価指標には、有効な視野角(FoV)、コスト、重量、厚さ、光学効率、透過性、画質が含まれます。
 
IDTechEx の最新調査レポート「VR/AR/MRの光学系技術 2026-2036年:技術、予測、市場」では、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)デバイスの光学系について解説しています。各技術の技術ベンチマーク評価、2026年~2036年の市場予測を通じて今後の市場見通しをご覧いただけます。
 
本記事は、AR光学系に用いられる導波路技術の長所と短所を取り上げることを目的としていますが、導波路技術のベンチマーク評価に使用される指標の多くが相互に関連している点には注意が必要です。例えば、導波路の視野角を拡大すると、形状、光学効率、画質に波及的に影響する可能性があります。また、AR光学系とディスプレイの開発の間にも相乗効果があるため、多くの場合、光エンジンやデバイス全体を他のものと比較しながら評価しなければなりません。
 
 
同じ技術方式の複数の商用導波路で、視野角を拡大した場合の光学効率の差。データは狭視野角の製品を基準に正規化されている。同一企業が開発したものでも、広視野角の導波路では効率が低下することを矢印は表している。同じ技術の導波路でも、視野角が拡大すると光学効率が明らかに低下することが確認できる。出典:IDTechEx
 
反射型導波路
 
反射型導波路は最も有力なAR向け技術の1つで、メタのスマートグラス「レイバン・ディスプレイ」にも使用されている光学系です。この光学系はルーマスが供給しており、品質面から高い評価を受けています。回折とは異なり、反射は本質的に波長に依存しないため、反射型導波路では色精度に問題が生じません。また、光学効率も、この導波路は他の設計と比べて1桁近く高くなっています。反射型導波路はポリマー基板やガラス基板から製造できます。
 
主な欠点の1つはコスト(特にガラス製導波路の場合)です。ガラス製の反射型導波路は数十の部品から構成され、部品ごとに接着や研磨など従来の製造工程が必要なため、歩留まりに関する課題が生じる可能性があります。しかし、ポリマー製の反射型導波路であれば、こうした課題の多くを回避できる可能性があります。例えば、オプティンベントは射出成形による導波路を製造しています。
 
SRG導波路
 
SRG(表面レリーフ格子)導波路は回折導波路の一種で、こちらも非常に有力な技術です。マジックリープが開発したSRG導波路は、70度の広視野角を実現できるだけでなく、薄型の接眼レンズやコンパクトな形状を可能にします。これはファッショナブルなスマートグラス開発の上で不可欠な要素ですが、SRG導波路は反射型導波路と比較して光学効率の面で劣る傾向があるため、バッテリー寿命などの要素が課題となる可能性があります。
 
導波路表面の回折格子構造は、製造技術や材料でいくつかのイノベーションが起きており、アスペクト比や傾斜角を最適化することで、光学効率の課題の一部を改善できる可能性があります。また、原子層堆積法によって格子構造上に屈折率の高い材料を成膜することも、さらなる技術改善に寄与する可能性があります。
 
ホログラフィック導波路
 
ホログラフィック導波路も回折導波路の一種であり、SRG導波路に類似した原理で動作します。回折構造は、2枚のガラス基板の間に挟まれた液晶フォトポリマー母材をホログラフィック露光・相分離させることで形成されます。この技術は広く普及しているわけではありませんが、デジレンズが開発に成功し、同社の業務用デバイスであるDigiLens ARGOで使用されています。ホログラフィック導波路は厚みが増す傾向がありますが、使用することで高い画質と透過性を実現できる特徴があります。
 
基板材料
 
現在は、多くの導波路参入者が、ポリマー基板とガラス基板を併用した製品の開発を進めています。ガラスは高画質化に関連する一方で、ポリマー基板に移行すると材料コストと重量を抑え、耐久性を向上させることが可能です。ポリマーはガラスよりも屈折率が低いため、同一の厚さの製品で比較した場合、ポリマーの方が視野角が狭くなる可能性があります。長期的にはポリマー導波路が主流になると多くの業界参入者が考えています。
 
今後期待される基板材料の1つが炭化ケイ素で、2024年に披露されたメタの「Orion」のプロトタイプでも使用されていました。セリッドも視野角が70度の炭化ケイ素導波路を開発しており、市場のハイエンド層をターゲットにするとしています。この材料はガラスよりも屈折率が高いため、導波路の小型軽量化に寄与する可能性がありますが、導波路材料として炭化ケイ素を用いる場合の主な課題は、材料費と製造コストです。
 
AR光学系とVR光学系の詳細は、IDTechEx のレポート「VR/AR/MRの光学系技術 2026-2036年:技術、予測、市場」でご覧いただけます。各技術紹介、有力企業動向、SWOT 分析、エクステンデッド・リアリティ(XR)の市場評価や XR技術用途についても掲載しています。
 
さらに詳しくは、「VR/AR/MRの光学系技術 2026-2036年:技術、予測、市場」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。IDTechExの最新調査レポートは、こちら でご覧いただけます。

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