イメージセンサー_イベントベースビジョン、商用化に近づく

イメージセンサー_イベントベースビジョン、商用化に近づく

photosensitive sensor on a printed circuit board closeup with a violet glow
コンピューター画像解析の浸透により、多くの新しいタイプのイメージセンサーが活用される機会が増加しています。こうしたセンサーは、SWIR(短波赤外)イメージングのコストを大幅に削減するものから、大面積の薄膜フレキシブル光検出器まで、さまざまな機能や特徴を持ちます。IDTechExは新しい調査レポート「先進イメージセンサー技術 2021-2031年: 用途および市場」で、各種イメージセンサーについて、包括的な調査報告をまとめています。
 
最も革新的で商業的にも有望な技術の一つが、イベントベースビジョンです。これは、生体を模倣して視覚データを取得する方法であり、データ転送・処理の削減やダイナミックレンジの拡大など、複数の利点があります。こうした利点を踏まえ、IDTechExでは、イベントベースビジョンセンサー向けチップ市場だけでも、今後10年間で、現在のほぼ収益ゼロの状態から年間2,000万ドル規模にまで成長すると見込んでいます。また、その価値の多くは、イベントベースビジョンのハードウェアに搭載されるソフトウェアにも取り込まれることが想定され、市場全体はさらに大きくなる可能性があります。

イベントベースビジョンとは?

イベントベースビジョンは、DVS(ダイナミックビジョンセンシング)とも呼ばれ、指定した間隔でフレーム全体を記録するのではなく、変化を発生時に記録することで情報を取得する人間の網膜・脳の仕組みを模倣したシーン取得方法です。この方法は完全にマシンビジョン用途を対象としており、カメラや従来のイメージセンサーに取って代わることを目的としているわけではありません。
 
従来の映像では、画像全体が事前に設定された間隔(フレームレート)で記録されます。これは、マシンビジョン用途の場合、不要なデータが大量に取得される一方で、画像で最も動きの大きい部分のデータがしばしば十分には得られないことを意味します。イベントベースビジョンセンサーは、フレームをキャプチャーするのではなく、相対的な輝度の変化を検出することでこの問題を解決します。画素は非同期的に伝達を行い、輝度が一定の閾値を超えるたびに時間情報を発行します。図1は、単一画素における従来のフレームベースのセンシングとイベントベースのセンシングの違いを表したものです。
 
Figure 1: 従来のセンシングとイベントベースのセンシングの違いを表した概略図  出展: IDTechEx

誘因

イベントベースビジョンには、従来のフレームベースのイメージングに比べて、複数の重要な利点があります。最も重要な利点は、変化だけを検出することにより、その後のデータ処理がはるかにシンプルになることです。これは、画像内の重要ではない静止領域を処理しないためです。つまり、転送や処理が必要なデータがはるかに少なくなるのです。
 
また、個々の画素は光強度の絶対測定を行うのではなく、輝度の変化率を出力するため、イベントベースビジョンではダイナミックレンジが高くなります。そのため、飽和のリスクが大幅に低くなります。最後の利点は、各画素から伝達される時間情報付きの信号により、時間分解能が向上することです。

対象用途

イベントベースビジョンは、生成されるデータの量が大幅に減少するため、即時のデータ処理を必要とする、変化が急速な状況を記録するのに非常に適しています。特に、高時間分解能や高ダイナミックレンジを必要とする用途に適しています。
 
以上からIDTechExでは、イベントベースビジョンの最も有望な用途は、自動運転車やADAS(先進運転支援システム)、無人航空機(ドローン)の衝突回避や操縦であると考えています。これらの市場は大きな可能性を秘めていますが、イベントベースビジョンのデータを完全に解釈するには、相当なソフトウェア開発とデータ収集が必要となります。そのためイベントベースビジョンの採用は、AR・VRゴーグル向けの虹彩追跡やレーザービームプロファイリングといった、入力データがはるかに予測可能な小規模な市場で最も早く見られると思われます。

IDTechExのイメージセンサー調査レポート

IDTechExの新しい調査レポート「先進イメージセンサー技術 2021-2031年: 用途および市場」では、幅広い先進イメージセンサ技術の現状と将来のアプリケーションについて概説しています。このレポートには、この記事で概説したイベントベースビジョンセンサーだけでなく、シリコンセンサー上のInGaAs、ハイブリッド量子ドットや有機半導体、薄膜光検出器、フレキシブルX線検出器、ハイパースペクトルイメージングなどに取って代わる可能性の高いSWIR(短波赤外)イメージング向けの先進技術も含まれます。また、(技術・用途別の)売上金額・数量の向こう10年間の詳細な市場予測のほか、複数アプリケーションのケーススタディ、技術成熟度や商用化への対応状況の評価についても収録しています。
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