電気自動車市場が加熱しても、バッテリーは過熱させない "EV用の熱管理"

電気自動車市場が加熱しても、バッテリーは過熱させない "EV用の熱管理"

電気自動車市場が加熱しても、バッテリーは過熱させない
電気自動車の普及を阻む大きなハードルとして、航続距離に関する不安、バッテリーの寿命、安全性があります。電気自動車市場が成長する中で、そのポテンシャルを最大限に発揮するために、電気自動車の効果的な熱管理に対するニーズが高まっています。熱を制御することは、充電、性能、航続距離、寿命、安全性の向上につながります。IDTechExの新しい市場調査レポート『電気自動車用の熱管理 2020-2030年』ではバッテリ、モーター、パワーエレクトロニクスを含む、熱管理について取り上げています。
 
大手自動車メーカーや韓国の電力貯蔵施設において、バッテリーに関連する火災が数件発生して注目を集めるなど、潜在的な消費者からは信頼を得られないでいます。こうした状況を踏まえる形で電気自動車に固有の安全面に関する新しい規制がいくつか提案されており、その結果として、自動車メーカー各社は、個々のセルレベルで熱暴走を食い止め、熱イベントが発生した場合には車の乗員に知らせ、車両から脱出するための時間として最低5分間を確保することを求められるようになるでしょう。バッテリーパックの構造に使用する材料から熱暴走の防止・早期検出に至るまで、電気自動車の安全面を設計する際には、いくつかの要因を考慮しなければなりません。何社かが、難燃性封止材、編み込み製品、相変化材料など、セル間の熱暴走を防ぐ方法を設計しています。バッテリーモジュールやバッテリーパックからヒートシンクに効果的に放熱することも重要であり、通常はサーマルインターフェースマテリアルを用いて行われます。これはまた別の分野であり、メーカーはギャップパッド、充填材、導電性接着剤など、いくつかの戦略を採用しています。
自動車メーカーの戦略のシフト
各メーカーは、それぞれ独自の方法でバッテリーの熱管理を行っており、最も効果的な設計であると明確にコンセンサスの取れたものはありません。テスラなどは、(パック内の円筒形電池の間を這うように進む)特許取得済みの水グリコール系冷却液の管を使う方針で動いていますが、日産やトヨタなどは、空冷に専念しています。液体によるバッテリーのアクティブ冷却では、車両が静止しバッテリーの稼働率が高い状況(急速充電中など)において、車両を冷却された状態に保つことができるだけでなく、低温環境下ではバッテリーを最適な温度まで温めることもできます。これらは大きな利点ではありますが、重量、複雑さ、コストという代償を伴います。こうしたマイナス面があるにもかかわらず、IDTechExでは、液冷や冷媒冷却への市場のシフトを確認しています。このトレンドは今後も続き、特に350kW電源による充電が台頭した後に、液冷または冷媒冷却のバッテリーの容量が2030年までに500GWhを超えると予測しています。
 
Cooling strategies for plug-in electric vehicles over the next 10 years, with a shift towards liquid and refrigerant cooling. Source: "Thermal Management for Electric Vehicles 2020-2030"
 
この広く採用されている技術に加えて、浸漬冷却や相変化材料などの新たな代替手段があります。これら技術は、特に建設などのより特化した市場においてわずかながら勢いを増しています。本調査レポートでは、これらすべての冷却方法に加え、それらを利用する企業の評価を行っています。
ホットな性能にクールな動作
電気モーターは、電気自動車の重要なコンポーネントであり、長期間の使用における高い性能を求める声が多くなっています。モーターには、バッテリーのような安全上のリスクがないかもしれませんが、メーカーの大半は永久磁石を含んだモーターを使用しています。これら磁石には変性する可能性や、臨界温度を超えると役に立たなくなる可能性があるため、ここでも効果的な熱管理が必要となります。このような永久磁石が付いていないモーターでも、性能を向上させ、隣接するコンポーネントの過熱のリスクを低減させるために冷却された状態を維持する必要があります。通常採用されている方法は、空冷、油冷、または水グリコール冷却となっていますが、いくつかのメーカーはバッテリーとモーターに同じ冷却回路を使用しています。そうすることで、コンポーネントと流体の数が減り、余ったモーター熱を利用して寒冷な環境条件でバッテリーやキャビン(車室内)を温めることができます。
 
バッテリーとモーターに加え、パワーエレクトロニクスでも、特に、より高い電力密度と温度で動作する傾向があることから、熱への対処が必要です。ワイヤボンディングとはんだ付けの方法のほか、使用する材料が、パワーエレクトロニクスの性能と寿命に大きな影響を与えます。いくつかの自動車メーカーはまた、先進基板の使用に移行しており、サーマルインターフェースマテリアルを完全に排除するところまでいっています。
 
『電気自動車用の熱管理 2020-2030年』は、この分野での主要企業へのインタビューを通して、上記トピックスにて、広範囲に調査した内容をカバーしています。本レポートは主要メーカーの戦略、新規技術、市場予測を提供しています。
 
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