リチウムイオン電池、揺らぐ定置用途のトップの座
2021年6月1日

「私たちは常に解決策に目を向けていますが、普段はその問題を忘れています」。エネルギーのシナリオは、世界の主要な国々が採用した長年の環境保護政策の結果として変化しつつあります。送電網への変動性再生可能エネルギー(VRE)の導入に向けてエネルギー貯蔵システムが重要な役割を果たしていることを考えれば、リチウムイオン電池は定置用貯蔵システム市場を支配し続けるのでしょうか?
IDTechExの新しい調査レポート「レドックスフロー電池 2021-2031年」では、 変動性再生可能エネルギーの普及が進む中での中期的エネルギー貯蔵システムの役割を予測しています。変動性再生可能エネルギーの普及率は、現在までに10~40%とある程度のレベルに達しています。学術研究による調査でも示されているように、エネルギー貯蔵は、再生可能エネルギーの導入率を高める上で重要な手段となります。問題は、変動性再生可能エネルギーの普及がさらに進むに従い、どのような貯蔵システムが必要になるのかということです。
リチウムイオン電池技術は、定置用エネルギー貯蔵システムの分野で優位に立ってきましたが、その状況を維持できるのでしょうか? IDTechExでは、レドックスフロー電池分野の企業の概要を基に実施した調査とさらに踏み込んだ二次調査から、レドックスフロー電池の将来の市場浸透の可能性を予測しています。
IDTechExの調査の結果は、レドックスフロー電池(RFB)技術が今後10年間でリチウムイオン電池の領域を侵食し始め、2030年末までには、設置済みリチウムイオン電池施設のエネルギー容量を追い抜く可能性があることを示しています。

IDTechEx Redox Flow Batteries 2021-2031 Forecast.
出展: IDTechEx report 「レドックスフロー電池 2021-2031年」
変動性再生可能エネルギー(VRE)の導入率の向上が、送電網インフラに相当な影響を及ぼしており、導入が一層進むと、送電網の調整や更新を行う必要性が高まります。実際、変動性が、送電網が直面する問題の1つとなっています。
VREの登場は、再生可能エネルギー(風力と太陽光)の性質により、既存の送電網インフラに変動性をもたらすことを意味します。これらの再生可能エネルギー源の変動性と不確実性が、既存の発電所の柔軟性の問題をさらに悪化させることになります。
低コストのVREが登場するかなり以前から、電力システムには送電網の柔軟性という特性が存在していますが、VREの導入率の高まりによってその定義に変化がもたらされてきたのは間違いありません。
2017年にIEAは、柔軟性を「電力システムが、需給バランスにおける高度な不確実性と変動性に対応する能力」と定義しました。
IDTechExの新しい調査レポート「レドックスフロー電池 2021-2031年」では、4時間以上の貯蔵能力に注目し、均等化蓄電原価の観点からレドックスフロー電池とリチウムイオン電池を比較しています。本レポートの執筆者は、科学的な調査に基づき、再生可能エネルギーの普及が予想どおりに進んだ場合、レドックスフロー電池が、2030年末に向けてエネルギー貯蔵容量におけるシェアを大きく伸ばしていく可能性があると考えています。
2031年には、レドックスフロー電池のエネルギー貯蔵容量が、リチウムイオン電池の貯蔵容量を実際に追い抜く可能性があります。
さらに詳しくは、調査レポート「レドックスフロー電池 2021-2031年」でご確認ください。
また、IDTechExは、エネルギー貯蔵技術に関して様々な調査レポートを発行しています。こちらも併せてご確認ください。www.IDTechEx.com/Research/エネルギー貯蔵
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