マイクロLEDディスプレイはOLEDディスプレイへの脅威となるか?

マイクロLEDディスプレイはOLEDディスプレイへの脅威となるか?

マイクロLEDディスプレイはOLEDディスプレイへの脅威となるか?
さまざまなOEMやディスプレイベンダーからマイクロLEDやミニLEDディスプレイが発売され、自己発光型LEDベースのディスプレイは、投資家とエンドユーザーの両方から大きな注目を集めています。下の図で、その例を紹介します。
 
マイクロLED、ミニLED 5選, compiled by IDTechEx
 
多くの企業から次世代のディスプレイ技術と目されているマイクロLEDは、LED、ディスプレイ、OEM、材料などの各メーカーが実現化に向けた取り組みを行っています。また、特にテレビ用途においては、マイクロLEDディスプレイがOLEDディスプレイに代わるものになると広く考えられています。
IDTechExは、2021年度版の調査レポート『マイクロ LED ディスプレイ 2021-2031年』を最近リリースしました。
 
LCDについては、コスト競争力、新設ラインの生産効率、サプライチェーンの支援体制の面から、中国本土での生産へと移行しつつあります。それ以外の地域では、多くの企業がLCD事業から撤退し、他の事業への転換を進め始めています。例えば、サムスンはLCD事業から撤退し、QD-LCDとOLEDに注力することを発表しています。LGディスプレイはLCDパネルの国内生産を停止、パナソニックとJDIは、LCD事業からの撤退を進めています。また、AUO、Innoluxなどの台湾企業は、LCDやOLEDへの投資スピードを緩めています。
 
OLEDの分野では、韓国企業が効率的な生産能力、技術の成熟度、上流の材料・設備、下流での応用、完璧なサプライチェーンといった点においてOLEDパネルの生産で優位に立っています。例えば、サムスンディスプレイ(SDC)とLGディスプレイ(LGD)は上流の材料・設備企業を支援し、優れたエコシステムを築いてきました。下流での応用については、サムスンは小・中型OLEDパネルをサムスン製スマートフォン用に供給、LGDは大型OLEDパネルをLG製テレビ用に供給しています。両社のブランドには十分な求心力とフィードバック効果が期待できます。サムスンとLGはそれぞれ、小・中型OLEDパネルと大型OLEDパネルで優位に立っています。
 
この競争の激しい市場にはもう1つ、量子ドット(QD)技術という、主にフォトルミネッセンスを利用する技術があります。QDフィルムをLCDに組み込むことで色域の大幅な拡大が望めます。そのQDを利用したディスプレイが追い上げてきています。
 
マイクロ LED ディスプレイは、サブピクセルとして機能する自発光型無機LEDで構成されています。このLEDは一般的にはマイクロメートルレベルのサイズで、パッケージングも基板もないため、従来のピックアンドプレースとは異なる方法で移載する必要があります。マイクロLEDディスプレイは、広色域、高輝度、低消費電力、優れた安定性、長寿命、広視野角、高ダイナミックレンジ、高コントラスト、高速リフレッシュレート、透過性、シームレス接続、センサー統合機能といった価値提案を提供します。
 
各技術にはエンドユーザーを引き付けるマーケティング上の特徴があります。下の図からも分かるように、それら価値提案のうちのいくつかは、マイクロLEDだけでなく、LCD、OLED、QDなどの代替技術によっても実現可能ですが、マイクロLEDディスプレイには独自の価値提案が確実に存在します。
ディスプレイ技術のバリュープロポジション  出展: IDTechEx
 
しかしながら、消費電力が低い、解像度が非常に高いといったマイクロLEDディスプレイの価値提案のすべてが、現時点での技術成熟度やコスト見通しのもとで実現できるわけではありません。例えば、超小型のマイクロLEDは外部量子効率(EQE)が低く、最終的なデバイスの消費電力が極めて高くなる可能性があり、また超小型のマイクロLED技術の成熟度の低さから、超高解像度のマイクロLEDディスプレイを実現するのは非常に困難であったり、コストがかかります。さらに現在の状況では、一部の価値提案はコストがはるかに高くなることを考慮すると、特定の用途にとってはそれほど重要ではなくなるかもしれません。その一例が携帯電話用途における長寿命です。ユーザーは2、3年ごとに電話機の機種変更をする可能性があるため、コストを考慮すると長寿命は魅力的ではなくなっています。
 
そのため、マイクロLEDディスプレイがOLEDに取って代われるかどうかは、少なくとも短中期の時間尺度で考えた場合、用途に大きく依存する問題となります。
 
IDTechExの調査レポート 『マイクロ LED ディスプレイ 2021-2031年:技術、商品化、市場機会、市場および有力企業』では、潜在的なアプリケーション市場を2つの側面から分析しています。
  • 既存ディスプレイ市場の置換
  • 新しいディスプレイ市場の創造
 
前者については、以下の8つが最も代表的な用途として取り上げられています。拡張現実/複合現実(AR/MR)、仮想現実(VR)、大型映像ディスプレイ、テレビとモニター、自動車用ディスプレイ、携帯電話、スマートウォッチとウェアラブル、タブレットとノートPCです。
Replacement in existing application markets
 
例えば、現在のディスプレイ市場で主流となっているLCDディスプレイは、65インチ未満のほぼすべてのディスプレイで利用されています。LCDは、大型化する上で特有の制限を抱えています。OLEDは主にスマートフォンディスプレイにおいて市場シェアを高めています。QD-LCDは高級なテレビとして市場に出され、ますます多くの消費者に受け入れられています。LEDディスプレイは、巨大なパブリックディスプレイで既に使用されています。マイクロLEDがこれらと競合するためには、独自の価値提案、あるいはその組み合わせを見つけ出し、利点を提示する必要があります。
 
コストの観点から言うと、一般的なマイクロLEDディスプレイ前面のコストは、OLEDやLCDとは異なり、面積ではなくLEDの数によって決まります。そのため、テレビと同じ解像度のスマートフォンを製造しても、コスト予測が桁違いに低くなるわけではなく、同等レベルになる可能性があるのです。
 
したがって、各用途の背後にあるさまざまな技術アプローチを理解し、その可能性と機会についての明確な評価を得ることが重要です。
 
新しいディスプレイ市場を生み出すには、代替品では実現できないか、実現が難しい機能が必要となります。その代表例には、形状をカスタマイズするディスプレイや、センサーが組み込まれたディスプレイなどがあります。新たに登場するディスプレイは、既存のディスプレイを超えたところまで私たちの想像力を広げ、ディスプレイが至る所に存在する世界の実現を後押しします。
 
さらに、このIDTechExの調査レポートでは、技術評価、市場分析、サプライチェーン、主要プレイヤー動向、ビジネスチャンス、アプリケーション分析も網羅しています。マイクロLEDディスプレイ業界をさらに詳しく理解するために、IDTechEx調査レポート 『マイクロ LED ディスプレイ 2021-2031年』をご利用ください。
 
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