次世代バッテリー技術が4,000億ドル市場参入の鍵に
2025年4月3日
バッテリー式電気自動車の需要が主な追い風となり、リチウムイオン電池セル市場は2035年までに世界全体で4,000億ドルを超える規模になる見込みです。EVの普及、エアタクシーなどその他の車両形態の電動化、電子機器・工具の稼働時間延長や機能の長寿命化を実現するためにはバッテリーの性能向上やコスト改善が必要となるため、次世代リチウムイオン技術の開発競争が激しくなっています。IDTechExの調査レポート「先進リチウムイオン電池 2025-2035年:技術、有力企業、市場、予測」 では、シリコン負極、リチウム金属負極、正極材(LMFP、リチウム-マンガンリッチ、硫黄など)、正極合成のイノベーションなど、先進・次世代のリチウムイオンセル材料・設計のトレンドや進展を徹底分析・解説し、全固体電池をはじめとする開発分野を紹介しています。また、各技術分野の有力企業とスタートアップ企業も特定し、概要を掲載しています。
供給と材料の重要性
欧州委員会は2025年3月、欧州各地47件の戦略的原材料プロジェクトに出資する意向を表明しました。そのうちの30件は、リチウム、グラファイト、ニッケル、コバルト、マンガンに関連するものです。これは、バッテリーサプライチェーンの継続的な重要性を浮き彫りにするとともに、さまざまな重要な原材料の供給を単一の供給源に過度に依存することへの懸念を示しています。LFP(リン酸鉄リチウム)タイプのリチウムイオン電池はコバルトやニッケルを使用しないため、定置型エネルギー貯蔵システムの有力な選択肢として浮上しており、その低コストによりEV分野での採用も拡大しています。しかし、LFPのサプライチェーンは中国が独占しており、LFP正極材は実質的にすべて中国国内で生産されています。そのため、この依存状態から抜け出すには、低コストの代替正極が必要になるかもしれません。選択肢としては、LMFP、リチウム-マンガンリッチ、コバルトフリーの層状酸化物などがあります。これらの正極は、サプライチェーンを多様化し、LFPの低コストとNMC・NCAの高エネルギー密度の隙間を埋める上で重要になるだけでなく、コバルト、ニッケル、さらにはリチウムなどの材料の需要にも影響を与えるでしょう。IDTechExの調査レポートでは、様々な次世代リチウムイオン正極材のそれぞれの強みと弱みや価値提案に注目し、評価を提供しています。

異なるリチウムイオン セルケミストリーの主要材料強度。出典: IDTechEx
米国による保護主義政策は「エネルギー支配」への野望と相まって、多様で持続可能なサプライチェーンを確保することの重要性を一層浮き彫りにしています。バッテリー材料生産の現地化や中国支配のサプライチェーンへの依存度を低下させる取り組みが各地で本格化しており、官民両セクターによる投資が代替材料供給源と次世代バッテリー技術の開発を加速させています。
次世代技術との競争
ノースボルトを代表とする新興バッテリーメーカーの苦戦が続いていることからも明らかなように、CATLやBYDなどの大手中国企業や、LGエナジーソリューション、サムスンSDI、SKオン、パナソニックなどの韓国・日本メーカーとの競争は今後も厳しいものになるでしょう。競争の激しい環境にもかかわらず、シリコン負極や次世代正極から全固体電池や代替の正極合成経路まで、先進・次世代バッテリー技術を開発しているスタートアップ企業の多くが米国と欧州を拠点としています。現世代リチウムイオン電池技術の先へと進むことは、急成長するバッテリー市場で足場を築くための有望な方法の1つとなります。
高エネルギー密度、急速充電バッテリー
先進的な次世代リチウムイオン技術もまた、リチウムイオン電池の性能をさらに向上させる鍵となるでしょう。最も有望なイノベーションの1つが、市販のバッテリーにシリコン・カーボン複合負極を組み込んでエネルギー密度を高めるというものです。バッテリーの長寿命化とセル設計の小型化が可能となります。シリコン負極材を使用することでレート性能が向上し、充電時間が短縮することも多くのシリコン負極開発者から報告されています。スマートフォンをはじめとする家電製品では、シリコン・カーボン材料の重量配合比を高める動きがすでに始まっており、こうした高性能負極はEVへの採用が目前に迫っています。負極内のシリコン材料の使用量を増やすことは、グラファイトの需要を低下させる可能性もあります。中国からのグラファイト輸出規制の可能性は、サプライチェーンを多様化する上での次世代・代替バッテリー技術の重要性を示すもう1つの例です。
IDTechExの調査レポート「先進リチウムイオン電池 2025-2035年:技術、有力企業、市場、予測」 では、開発・商業化されている様々な次世代リチウムイオン技術を評価しています。本レポートでは、シリコン負極とリチウム金属負極、マンガンリッチ正極、超高ニッケルNMC、LMFP、リチウム硫黄電池だけでなく、セル・バッテリー設計の最適化など、先進・次世代リチウムイオン電池における主な技術進歩を多数取り上げて分析しており、次世代負極・正極材について、獲得可能市場と予測を概説しています。
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