2025年パッシブ型RFID市場:成長動向を解説

2025年パッシブ型RFID市場:成長動向を解説
RFID業界は今後も成長を続けると予測されています。IDTechExは、パッシブ型RFID市場が2025年に84億ドル規模に達し、2024年と比較して約10%成長すると予測しています。
 
 
2025年のパッシブ型RFID市場の推定規模。出典:「RFID 2026-2036年:予測、有力企業、機会」_IDTechEx
 
この市場規模は、主に利用されているあらゆる形状のパッシブ型RFIDタグ(ラベル型、カード型、キーフォブ、セキュアな文書など)から構成されていますが、主流である2つの周波数帯、UHF帯(極超短波)とHF帯(短波)の違いが顕著に現れています。総出荷量ではUHF帯タグが88%以上を占めているものの、セキュリティ用途でのタグが高価であることから、売上高ではHF帯タグが優勢となり、市場規模全体の約60%を占めています。
 
本記事では、UHF帯とHF帯セグメントの詳細な分析を提供し、現在の市場動向、成長要因、長期的なビジネスの機会について取り上げます。
 
UHF帯RFID市場分析
 
 
2025年パッシブ型UHF帯RFID市場:タグ出荷量と市場価値別の分析。出典:「RFID 2026-2036年:予測、有力企業、機会」_IDTechEx
 
UHF帯RFID市場は、主にアパレル小売分野が牽引し続けており、UHF帯タグ出荷量の約3分の2と市場規模全体の半分以上を占めています。2025年には、アパレル小売業界のタグ用RFIDラベルが約320億個になるとIDTechExは予測しています。この出荷量にもかかわらず、現時点でアパレル業界用RFIDタグは、獲得可能な最大市場規模のうちのわずか40%程度を占めるに過ぎず、さらに大きく成長する可能性があることを示しています。
 
この成功を支える要因には次のようなものがあります。
  • 実証済みROI(費用対効果):RFID導入によって正確な在庫管理が可能となり、販売機会損失を最小限に抑えられます。また、商品の在庫状況が改善することで顧客サービスも向上します。
  • 成熟したエコシステム:ハードウェア、ソフトウェア、システムインテグレーターのネットワークが十分に確立されており、大規模導入にも対応できます。
  • タグ価格の下落:タグ価格は引き続き下がる傾向にあり、NFCタグと比べてインフラも簡素なため、導入への障壁が低くなっています。
 
ただし、UHFリーダーのインフラにはまだ整備が必要な点があります。現在のところ、リーダーはその大半が業務用として使用されている上、UHF対応の一般消費者向けスマートフォンもまだ広くは普及していません。しかし、家電製品にNFCが搭載されたのと同じ道筋を辿ることで、状況はこの先数年間で変わるかもしれません。
 
アパレル以外の市場
 
アパレルが依然としてUHF帯の主要分野である一方、RFID導入は他の業界でも加速しています。
  • UHF帯タグの用途で、アパレル業界に次いで多いのがサプライチェーンと物流です。タグ総出荷量の約15%を、市場規模の25%をそれぞれ占めています。デジタル化の取り組み、リアルタイム追跡の需要増加、業務効率を実証するライトハウスプロジェクトが普及を後押ししています。
  • 電子機器、家庭用品、家電製品などの小売分野も拡大傾向にあります。ウォルマートなどの小売業者が大規模なRFID導入を実施しており、こうした動きがアパレル業界以外でのRFID導入拡大の一因となっています。
 
デジタルトランスフォーメーション、コスト削減、成熟した技術エコシステムといった複合的な要因により、UHF帯市場は2025年以降も安定した成長を続けると期待されています。
 
HF帯RFID市場分析
 
2025年パッシブ型HF帯RFID市場:タグ出荷量と市場価値別の分析。出典:「RFID 2026-2036年:予測、有力企業、機会」_IDTechEx
 
出荷量ではUHF帯RFIDがリードする一方で、高いセキュリティが求められる高価格用途での有用性を備えていることから、出荷額ではHF帯RFIDが最大のシェアを占めています。IDTechExは、2025年中にHF帯タグの販売個数が約53億個に達し、市場規模が50億ドルに達すると予測しています。セキュリティと信頼性が求められる用途が追い風となり、HF帯タグの平均販売価格(ASP)は、UHF帯タグよりも大幅に高い水準を維持しています。
  • 決済と入退室管理は、依然としてHF帯タグにおける最大の市場です。非接触型カードとキーフォブも引き続き大量に出荷されていますが、モバイル決済、QRコード、デジタルウォレットの普及が進む中で、長期的な課題に直面しています。
  • パスポートとセキュアIDは、HF帯タグのセグメントとしては出荷額で2番目のシェアを占めています。一方で、セキュリティ管理向けHFインレイが、総出荷量は少ないものの、その高価さ故に大きなシェアを占めています。
 
最新のNFC用途とスマートパッケージング
 
NFC(HF技術の一部)は、ブルートゥースのペアリング、ゲーム、販促活動、スマートパッケージングなど、決済以外の分野でも成長を続けています。
 
スマートパッケージングには数量的に最大の機会が眠っており、年間10億個を超える規模になる可能性もあります。しかし、大規模導入には依然としてコストがネックとなっており、業界からは、NFCラベル普及の実現には単価を1セント未満にする必要があるという声も上がっています。
 
有望な動きとしては、フレキシブルIC(集積回路)の導入があります。2025年に、プラグマティックがNFCに対応するフレキシブルICの初の商用製品を発売し、これにより価格の低減とパッケージングでのNFCの利用拡大が実現する可能性があります。しかし、実際のユースケースで実証され、コストが下がるまでの間、この分野の成長は緩やかなペースになると見込まれています。
 
概要
 
全体的に2025年のRFID市場には、次の2つの明確な動向が見られました。アパレル業界が主な牽引力となり、出荷量ではUHF帯タグが優位に立ち、サプライチェーンやその他の幅広い小売分野にも拡大する一方で、決済、入退室管理、パスポートなどのセキュリティ用途を通じて、市場規模の大部分をHF帯タグが獲得しています。タグ価格の下落、小売分野での実証済みROI、スマートフォン対応の見込みが、UHF帯の普及を後押ししています。一方HF帯については、決済ソリューションがモバイル中心になっていることから、長期的に苦しい状況が続くでしょう。スマートパッケージングなどのNFCの新用途は、コストが下がり、説得力のあるユースケースが登場すれば、新たな機会をもたらす可能性があります。
 
IDTechExでは、20年間にわたってRFID市場を調査してきました。最新版の調査レポート「RFID 2026-2036年:予測、有力企業、機会」では、パッシブ型RFID(UHF帯、HF帯、LF帯)、バッテリーアシスト型のパッシブ型・アクティブ型RFID、チップレスRFIDの各技術を取り上げながら、業界を包括的に分析しています。本レポートは、バリューチェーン全体の主要関係者へのインタビューによる一次データと広範な二次調査に基づき、独立した評価を提供しています。(多くの関係者は秘密保持契約に基づき機密データを提供しており、それらは集約分析に活用されています)。IDTechExの長年にわたる専門知識を活かし、他の情報源にはない詳細な予測と洞察を提供しています。
 
さらに詳しくはIDTechExの最新調査レポート「RFID 2026-2036年:予測、有力企業、機会」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。IDTechExのその他レポートは、こちら でご覧いただけます。

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