ナトリウムイオンに関する洞察:業界の主な疑問
2024年5月9日
2024年、ナトリウムイオン電池を取り巻く市場心理とは?
ナトリウムイオン電池は、2023年に多くの量産に関する発表を受け、2024年、その重要性が増し始めています。サプライチェーンが潜在的に不安定であるクリティカルミネラル(重要鉱物)への依存度を下げるために、自動車メーカー各社は代替のバッテリーケミストリーに注目する可能性があります。NMC(A)電池は欧州と英国で現在主力となっているバッテリーケミストリーですが、中国ではLFPが主流です。しかし、LF(M)Pとナトリウムイオンは、特定のサプライチェーンにおけるリスクを分離する機会をもたらします。IDTechExが2023年11月に行った市場分析によると、SIB(ナトリウムイオン電池)だけで2030年までに約40GWh分の成長が少なくとも見込まれています。しかし、市場が2025年までに成功すれば、最大100GWhの製造能力追加が見込まれます。これらの予測はSIB業界の近々の急成長を前提としたものであり、今後数年以内の商業的取り組みに左右されるでしょう。
注視すべきは、本格的なナトリウムイオン供給をすぐに実現できるCATLやBYDのようなマーケットリーダーです。これら企業の発表は、一部の欧州有力企業の先を行くものでもありました。市場の見通しについては不透明感が残るものの、ナトリウムイオン電池に将来性を見いだしている欧米の企業も事業参入に向けて現在動き出しています。IDTechExの調査レポート『ナトリウムイオン電池 2024-2034年: 技術、有力企業、市場、予測』では、この分野に携わる30社以上を網羅し、そのセルおよび/または負極/正極材料のベンチマークを行っています。

ナトリウムイオン電池メーカー別に見るセルの仕様、想定用途、量産計画。注:ここに記載されている第1世代セルの仕様は達成値であり、第2世代セルのエネルギー密度は目標値。出典: IDTechEx
バッテリー市場におけるナトリウムの位置づけとは?
原料の採取に必要な投資が不足していることを踏まえると、中期的にリチウムの供給が不足する可能性に機会があります。リサイクルを考慮する前のリチウムイオンによる予測需要を満たすのに十分なリチウム資源があるものの、その採掘能力の拡大ペースは不十分であり、中長期的には代替のバッテリーケミストリー(ナトリウムイオンなど)に機会があります。
また、ナトリウムイオンがリチウムイオン市場のトップに取って代わることもないでしょう。この2つのバッテリーは、異なる市場セグメントの用途需要を満たすことになりますが、将来的に鉛酸(PbA)蓄電池に取って代わるのはナトリウムイオンです。ナトリウムイオン電池はカーボンニュートラルなエネルギー貯蔵への世界的需要に応えられると期待される魅力的な候補です。そうした需要に応えるには、重量や体積ではなく、生涯運用コストが最重要要素となるためです。したがって、ナトリウムイオンの性能と安全特性を踏まえると、定置型エネルギー貯蔵がその最終用途や市場として最適となります。
近年ナトリウムイオン電池の普及が滞っている理由とは?
注目すべきは、炭酸リチウムの価格がここ1年(2023年)で急落したことにより、ナトリウムイオン電池の開発に遅れが出ている可能性です。リチウムイオン電池の主要原料である炭酸リチウムの価格下落が長期化し、ナトリウムイオン電池のコスト面の優位性も低下したと考えられます。中国は2023年にナトリウムイオン電池を一般消費者市場に投入しようとしていましたが、リチウム価格の低迷によって投資が冷え込み、プロジェクトの遅延や中断が起きています
また、ナトリウムイオン電池においては、独り勝ちしているバッテリーケミストリーがいまだにありません。研究段階を超えるスケーラビリティを実現する最適な負極/正極活物質を見つけようと、多くの研究開発が行われています。ナトリウムイオンセルのUL規格化はまだしばらく先の話であり、自動車メーカーもそのような技術に本腰を入れることをためらっています。
この先ナトリウムを待ち受ける機会とは?
リチウム価格の下落による進歩が鈍化しているとはいえ、ナトリウムイオン電池は二輪車・三輪車、マイクロカー、エネルギー貯蔵において依然として有望視されています。ナトリウムイオン電池は一般的にリチウムイオンよりも安全で、低温への耐性も高く、充電時間も比較的短くなっています。ナトリウムイオン電池は、エネルギー貯蔵システムやマイクロEV(超小型EV)市場において鉛酸蓄電池に取って代わる可能性があります。コストは当初は競合するものの、ナトリウムイオン電池は鉛蓄電池よりも軽量で安全です。ナトリウムイオン電池を搭載した電動マイクロカーは、すでに中国から出荷が始まっています。具体的には、JAC Yiweiのマイクロカー「E10X」(HiNaが供給するセルを使用した23.2kWhのナトリウムイオンバッテリーパックを搭載)5000台が中南米に輸送されようとしています。
IDTechExの調査レポート『ナトリウムイオン電池 2024-2034年: 技術、有力企業、市場、予測』は、この新しい業界について詳細にカバーしています。
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