SDVが次世代自動車アーキテクチャを牽引

SDVが次世代自動車アーキテクチャを牽引
自動車業界は現在、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV) への根本的な転換期を迎えており、車両機能、ユーザーエクスペリエンス、収益化の可能性は、ハードウェアよりソフトウェア主導になってきています。IDTechExの調査レポート「SDV、コネクテッドカー、車載AI 2026-2036年:市場、トレンド、予測」では、セントラルコンピューティングとゾーンプラットフォームが自動車業界の競争のあり方を再定義し、2029年までに7,550億ドル規模のハードウェア収益を生み出すと予測しています。
 
分散型ECUからセントラルコンピューティング + ゾーンアーキテクチャへ
 
今日の自動車は、CAN、LINのネットワークで相互接続された従来のECUベースのアーキテクチャから、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)ノードを中心に構築されたセントラルコンピューティング型へと移行しつつあります。まもなく登場するBMWのノイエ・クラッセや、テスラの新型モデルY、リヴィアンの次世代車に代表される新たなアーキテクチャ(セントラルコンピューティング + ゾーン型の配置)がこの変革を後押ししています。
 
先進運転支援システム(ADAS)、没入型インフォテインメント、AI対応キャビンなど、多くの帯域幅を消費するアプリケーションがこの移行を推進しています。最大速度8Mbpsの従来のCAN FDネットワークでは今や不十分となっており、TNS(タイム・センシティブ・ネットワーク)機能を備える100Mbps~ギガビット級の車載イーサネットの採用が加速しています。同時に、ゾーン型配線によってケーブル長が少なくとも30%削減され、1台当たり数キログラム分の銅使用量が節減できるなど、自動車メーカー各社は、コストや持続可能性に大きな利点があることも認識しています。
 
ゾーン型がもたらす利点は帯域幅や重量面だけにとどまりません。物理I/Oを抽象化して論理I/Oに変換することで、センサーやアクチュエータにおける機能のOTA(Over The Air)アップデートが簡素化されます。同時に、内蔵のソリッドステート配電システムが48Vアーキテクチャをサポートするため、重量のあるヒューズやメカニカルリレーが不要になります。また、ゾーンコントローラーにより、サイバーセキュリティ管理や各種診断、ハードウェア拡張の効率化が可能となり、多数の旧式ゲートウェイがより少数の高速ネットワーク幹線に集約されます。
 
SDVハードウェア開発を加速させる自動車メーカーと大手テック企業
 
 
SDVレベルチャート:大手自動車メーカーの比較。出典:IDTechEx
 
BMWはノイエ・クラッセのプラットフォームを最前線に位置付けようとしており、クアルコムとの協業の下、先進運転支援、豊富なインフォテインメント、機能の動的な収益化をサポートできるセントラルコンピューティングノードの統合を進めています。同様に、テスラの新型モデルYや近々発売されるリヴィアンのモデルでも、高度に統合されたセントラルコンピューティングアーキテクチャが活用され、効率、性能、スケーラビリティが向上しています。
 
BYD、ニーオ、リ・オートなど中国の大手メーカーは、セントラルコンピューティングと広範なOTA機能を重視しており、独自のSDVソリューションの導入を急ピッチで進めています。
 
一方、NVIDIAやクアルコムなどの大手テック企業は、これらの開発を支える重要なハードウェアを提供しています。リアルタイムのAI推論を直接車内から実行可能にする高性能かつAIに最適化されたSoC(システム・オン・チップ)ソリューションを提供することで、ユーザーエクスペリエンスや車とのコミュニケーションを根本的に再定義しています。
 
収益化はFaaSへと移行
 
SDVによって自動車メーカーは、FaaS(サービスとしての機能)やOTAの収益化を通じて、革新的な収益源を模索できるようになります。BMW、メルセデス・ベンツ、フォードなどの業界大手は、高度なADAS、インフォテインメントのサブスクリプション、さらにはシートヒーターなどの収益化可能な機能をSDVプラットフォームにすでに組み込み始めており、継続収益を生み出し、顧客維持率を高めようとしています。IDTechExは、機能関連収益が大幅に増加し、2035年までに年平均成長率(CAGR)30~34%を達成すると予測しています。
 
コネクテッドカー、AIで強化されたキャビン、未来のモビリティ
 
SDVにとって、コネクティビティは依然として不可欠なものであり、C-V2Xや5GをはじめとするV2X(Vehicle-to-Everything)通信技術によって、より安全で連携性の高いモビリティエコシステムが実現可能となります。NVIDIAやクアルコムによる生成AI実装と組み合わさることで、SDVはインテリジェントな車載アシスタント、没入的なフルワイドディスプレイ、カスタマイズ可能なデジタル環境を通じ、パーソナライズされた適応型ユーザーエクスペリエンスを提供しており、ブランドの差別化やユーザーエンゲージメントの新たな基準を打ち立てています。
 
2036年までの予測:SDV市場の加速
 
IDTechExでは、SDVアーキテクチャのレベル別世界販売台数、セントラルおよびゾーンコンピューティングプラットフォームによる収益、機能関連の収益化を含む、10年間(2026~2036年)の詳細予測を提供しています。2029年までに、SDVプラットフォームはハードウェア収益だけで7,550億ドルを生み出す見込みであり、業界がセントラルコンピューティングアーキテクチャへ急速に移行していることを示しています。
 
さらに詳しくは、IDTechExの調査レポート「SDV、コネクテッドカー、車載AI 2026-2036年:市場、トレンド、予測」でご確認ください。自動車メーカー各社の詳細な戦略、技術ベンチマーク評価、市場予測などを含む包括的な洞察を掲載しています。

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