全固体電池は2030年に60億ドルの市場規模に

全固体電池は2030年に60億ドルの市場規模に

全固体電池は2030年に60億ドルの市場規模に
技術の成熟化と量産化の近さで注目と投資が絶えない全固体電池。IDTechExの調査レポート『全固体電池とポリマー電池 2020-2030年:技術、特許、見通し、有力企業』では、COVID-19の影響を受けても、潜在的な市場規模は2030年までに60億ドル以上に成長すると予想しています。
 
優れた安全性、バッテリパック設計の簡素化、高いエネルギー密度といった可能性を秘めた全固体電池は、2015年ごろから非常に大きな注目を集めるようになりました。2015年、フォルクスワーゲンはQuantumScapeの株式の5%を取得し、ダイソンはSakti3を、ボッシュはSEEOをそれぞれ買収し、 Johnson Battery Technologiesは自社の全固体電池をBPに販売しました。他の電気自動車メーカーもこの競争に参入し、BMWはSolid Powerと提携、Ionic Materialsはヒュンダイと共同開発を行いました(なお、ボッシュとダイソンは2015年に買収した企業を2017年に手放しています)。そして2020年、全固体電池への関心はますます高まりを見せています。サムスンはアルジロダイト型電解質を用いた新しい全固体電池を開発し、フォルクスワーゲンはQuantumScapeに2億ドルの追加投資を行いました。こうした企業のほかに、トヨタ、ホンダ、日産、フィスカー、パナソニック、サムスン、CATLもこの競争に参入しています。
 
全固体電池の市場需要は主に電気自動車からのものです。エネルギー貯蔵システム、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどの家電製品も、そのターゲット市場であり、後者の方が早く実現する可能性があります。
 
 
Solid-state battery addressable market size.
各企業の量産計画(日本企業の2025年~2030年、欧州企業の2025年~2026年、中国本土・台湾企業の2022年~2023年の計画など)の多くを見る限り、全固体電池は2025年ごろに本格的に軌道に乗ると予想されます(ただし、小規模な生産はそれより早く始まる可能性があります)。2030年には電気自動車向け市場がシェアの大部分(65%)を占め、スマートフォン向け用途がそれに続くと予想されます。
 
現在、電池市場は東アジアの企業が主流となっており、欧米企業は、日本、中国、韓国から付加価値をシフトさせる可能性があると見て、この競争に勝とうと努力しています。
 
新材料の選択と製造手順の変更が示唆するのは、バッテリのサプライチェーンの再編です。技術的な視点とビジネスの視点のどちらから見ても、全固体電池の開発は次世代バッテリ戦略に欠かせないものとなっています。各地域における関心と政府の支援にも後押しされ、今や世界的な競争となっているのです。
 
全固体電池では、電極も電解質も固体になっています。通常、固体電解質は隔壁としても機能するので、隔壁やケースなどの構成要素を省いて電池を小型化することができます。そのため、全固体電池は従来のリチウムイオン電池と比べてより薄く、しなやかにすることができ、単位重量/体積当たりの蓄電量を増加させることが可能となります。さらに、液体電解質を使わなくなることで、電池の使用中に生じる温度変化や物理的な損傷に強くなり、より安全で長持ちする電池の実現への道が開かれます。全固体電池では劣化するまでの充放電回数も増え、長寿命化が保証されます。
 
Value propositions of solid-state batteries.
 
IDTechExは全固体電池の技術として、高分子固体電解質に加えて8種類の無機電解質(LISICON類、アルジロダイト、ガーネット、NASICON類、ペロブスカイト、LiPON、水素化リチウム、ハロゲン化リチウム)があることを確認しました。これらのなかでも酸化物系や硫化物系をベースとした材料が際立っており、次世代電池の開発において他の高分子系とともに人気の高い選択肢となりつつあります。厳密には、高分子固体電解質の多くは全固体電池には属しません。しかし、人気が高く市場で広く受け入れられているため、IDTechExでは高分子固体電解質もベンチマークの対象としました。硫化物系電解質はイオン伝導度が高く(液体電解質よりもイオン伝導度が高い)、処理温度が低く、電気化学的安定性ウィンドウが広い等の利点があります。こうした特徴から硫化物系電解質は魅力的な材料となっており、多くの企業が究極の選択肢と考えています。ただし製造が難しく、製造工程で有害な副産物が発生するため、商用化は比較的遅れています。IDTechExの調査によれば、より短期間で投資を回収できるよう、酸化物系に力を入れる企業が増えている傾向があります。
 
IDTechExの調査レポート『全固体電池とポリマー電池 2020-2030年:技術、特許、見通し、有力企業』では、2030年までの10年間の生産量と市場規模を予測し、60億ドル以上に達すると予測される固体電解質業界を取り上げています。特に、8種類の無機固体電解質、および有機高分子電解質を詳細に分析し、どの化学物質が優れているかについて重点的にまとめました。また、知的財産を取り巻く環境に関する独自分析、つまり主要企業が扱っている化学物質や、過去5年間のこの分野における研究開発の進展状況についての分析も収録しています。
 
さらに、固体電解質に関連した製造上の課題や、大手企業(トヨタ、東芝など)がどのようにその課題に対処しようとしているか、また、重要なプレーヤーの研究の進捗状況や活動についても紹介しています。また、戦略的資源としてのリチウム金属の研究も紹介されており、この材料の世界的な戦略的流通と固体電池での役割を強調しています。一部の化学物質はリチウムを大量に消費し、世界中の鉱山会社に負担をかけることになるだろう。
 
固体電池業界の完全な分析については、IDTechExIDTechExの調査レポート『全固体電池とポリマー電池 2020-2030年:技術、特許、見通し、有力企業』を、参照ください。
 
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