バイオベースプラスチックへの移行に時間がかかる理由 | IDTechEx Research Article

バイオベースプラスチックへの移行に時間がかかる理由 | IDTechEx Research Article

気候変動や環境汚染に対する世界的な意識は高まっていますが、化石燃料やプラスチックへの依存を止める方法を見つけることは非常に困難です。考えられる解決策の1つは石油化学物質からバイオベースの原料にシフトしてプラスチックを作ることですが、この提案はどれくらい現実的なのでしょうか? IDTechExはバイオベースポリマーの採用に影響を与える要因を調査レポート「バイオベースポリマー2018-2023:技術と市場」にまとめました。

Dr Bryony Core
バイオベースプラスチックへの移行に時間がかかる理由
気候変動や環境汚染に対する世界的な意識は高まっていますが、化石燃料やプラスチックへの依存を止める方法を見つけることは非常に困難です。考えられる解決策の1つは石油化学物質からバイオベースの原料にシフトしてプラスチックを作ることですが、この提案はどれくらい現実的なのでしょうか? IDTechExはバイオベースポリマーの採用に影響を与える要因を調査レポート 「バイオベースポリマー2018-2023:技術と市場」で明らかにしました。
 
現代社会は、輸送、エネルギー、製造に関し、化石燃料に大きく依存しています。世界的な二酸化炭素排出量は、2015年のパリ協定にもかかわらず減速の兆しを見せず、科学に対する国民の意識が高まっている。石油化学製品は品薄感が強まりつつあることから、これを原料とするプラスチックの製造コストは上昇が予想されますが、その多様な用途を考慮するとプラスチックに対する需要が消失する可能性は低いと考えられます。人々が行動を変革すること――つまり、化石燃料の使用を避けて再生可能エネルギー源に移行し、プラスチックの利用をより適切に管理すること――がますます必要になりつつあります。
 
では、どのような解決策があるでしょうか。グルコースなどの単糖類が豊富に含まれるバイオベース原料は、合成生物学と合成化学の技術を組み合わせてプラスチックに変化させることができます。実際、多くのスタートアップ企業や大企業が、石油由来プラスチックの「当座の」代替品にしようと、遺伝子組み換え微生物を使って製造する製品を数多く研究しています。また、一部では、人々に広く知られているポリマーよりも優れた特性を持つ代替品の研究も行われています。NatureWorksやCorbionなどの企業は堆肥化が可能なポリエステル「ポリ乳酸(PLA)」を開発し、PLAの世界における年間生産量は合算で225キロトンを超えています。PLAは3Dプリントを始め、梱包材の代替品として利用されるほか、完全に堆肥化できるという利点があり、原料の循環のためにリサイクルしなければならない廃棄物を潜在的に削減します。
バイオベース原料は炭素排出を削減し、リサイクルの必要性を軽減する可能性があるように思えますが、総市場シェアは昔ながらの石油由来プラスチックと比べると小規模です。バイオベースポリマー技術の普及を妨げる障壁は無数にあります。第一に、学術的環境での概念実証は実施されたものの、工業規模での生産に移行することが決して容易ではありません。従来どおりの生産方法では、大量発酵の複雑さに対応できないのです。さらにベンチャーキャピタルと政府の両方からの、学術機関のイノベーターや初期段階のスタートアップ企業に対する生産拡大支援に向けた資本投資が十分ではありません。バイオベース製品の多くは、規模の経済の効果で生産コストが下がり始めるまで、短期的には――おそらく長期的にも――製造メーカーにとってより大きなコスト負担が続くことから、資金不足が悪化します。最後に「環境に優しい」製品により高い金額を払うことに対する人々の意識と意欲が十分ではなく、それが需要を妨げています。デイビッド・アッテンボロー氏を始めとする数人の著名人の影響により、石油化学プラスチックの否定的側面が人々の意識に広がってきてはいますが、安価な石油化学プラスチックと高額なグリーンプレミアムマーク付きのバイオベースプラスチックが並んでいた場合、多くの消費者が安価な製品を選択しています。
 
これまで、バイオベース製造業経済への移行は困難であることが実証されてきました。しかし、複数の国の政府が、移行に関連する課題を解決するための政治的イニシアチブを導入しようとする兆しが見られるようになりました。昨年は、EUが「Bioeconomy Strategy(バイオエコノミー戦略)」を改訂し、「Horizon 2020プロジェクト」という形で総額800億ユーロ相当の資金を循環経済プロジェクトに提供しました。課題解決に向けた取り組みが行われ、環境に優しい原料の需要が増えていることから、IDTechExはバイオベースポリマーの市場規模は2023年までに2.7メトリックトンになると予測しています。
 
最新のグリーンテクノロジーのトレンド、バイオベースポリマーについては、IDTechEx発行「バイオベースポリマー2018-2023:技術と市場」をご覧ください。
 
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