サーマルインターフェースマテリアル: なぜ市場は2025年までに2倍に?

サーマルインターフェースマテリアル: なぜ市場は2025年までに2倍に?

サーマルインターフェースマテリアル: なぜ市場は2025年までに2倍に?
サーマルインターフェースマテリアル(TIM)は、華やかなものではありませんが、エレクトロニクスやエネルギー貯蔵の様々な用途において、不可欠な要素になっています。実際、TIMは完全に浸透しています。TIMはサプライヤー、材料選択、蒸着技術、用途、市場要件、性能水準などの点において実に多様で細分化されています。そのことが分析を難しくしているのです。
 
IDTechExはTIM市場について詳細な調査を行い、調査レポート「サーマルインターフェースマテリアル 2020年ー2030年:フォーキャスト、技術、ビジネスチャンス」を発行しました。 本レポートでは「確立されている技術」と「新しい技術」の主要な選択肢のすべてについて分析を行いました。後者については、カーボンファイバー、垂直配向カーボンナノチューブ、グラフェン、窒化ホウ素、Z軸方向への高熱伝導をもつ積層グラファイトなどを取り上げています。
 
本レポートでは、極めて多岐にわたる用途についても入念な考察を行っており、基地局、コンシューマーエレクトロニクス、パワーエレクトロニクス、LED、エネルギー貯蔵を網羅しています。実際の使用事例の考察と製品のティアダウンを行った上で、分析結果をまとめ、市場モデルを構築するなど、各市場カテゴリーについて、きめ細かな考察を行っています。実際、当社の予測は、以下でご紹介するように51のサブセグメントに細分化されており、他に例を見ないほどの分析粒度になっています。予測には、面積または平方メートルを用いています。(汎用的なソリューションが存在しない場合)ソリューションの厚さにばらつきがあることから、当社では、面積が市場分析において最も適切な測定基準であると考えています。
変わりゆく用途
きめ細かな予測により、主要な市場トレンドを詳細に読み解くことが可能です。ここでは、いくつかの主だったトレンドについて簡単な考察を行います。
 
コンシューマーエレクトロニクスの市場は現在、TIMの最大の市場カテゴリーになっています。これは、ユニット当たりに含まれるTIMの量が比較的多いことが理由ですが、さらに重要な理由は、年間の販売ユニット数が大きいことです。この分野ではTIMは電子機器とバッテリーで使用されています。例えば、標準的な携帯電話の中には、複数のICを覆うEMIシールドを骨格に接続するサーマルパッドが複数搭載されています。また、通常はバッテリーの下側およびディスプレイの後ろ側にヒートスプレッダが搭載されています。最近のものには、コンパクトかつ効率的なヒートシンクとして機能するヒートパイプが導入されているものもあります。ノートPCでは通常、CPU、GPU、SSDメモリ、バッテリーの上または下にTIMが装着されています。一般に、この分野は大きな市場となっていますが、販売ユニット数は既に飽和状態にあるため、大きな成長は見られないでしょう。
 
携帯電話における最近のトレンドとして、より高性能なTIM材料の使用が増えています。注目すべき例の一つがカーボンファイバーTIMであり、従来のアルミナまたは窒化ホウ素でできたものに比べ非常に高い熱伝導値を提供しています。こうしたTIMは平方メートル当たりの価格が高くなっています。デバイスのICの配置の高密度化が進むにつれ、より高性能なTIMを求める傾向は継続するでしょう。
 
電気通信ももう一つの重要な市場です。従来の基地局ではTIMはベースバンド装置と遠隔無線ヘッド装置の両方で使用されています。ベースバンド装置自体は通常、ベースバンド処理ボード、制御盤、電源など、様々な部品で構成されています。LTE基地局が世界的に広がるのに伴って、この分野は近年、急成長市場となっていました。LTEは中国など世界の様々な地域で今なお広がりを見せていることから、この傾向は続くでしょうが2023年以降には急速に落ち込むでしょう。なぜなら、5G基地局が大規模に展開され始めるからです。そのため、TIMの機会は5Gシステムへと移行するでしょう。
 
この5Gシステムにおいては、TIMのニーズが変わりそうです。5Gの台頭により、ベースバンド装置と遠隔無線ヘッドの関係が変化するでしょう。さらに、アクティブアンテナアレイの台頭により、アンテナアレイ基板のすぐ後ろ側で、パワーアンプを含む多くのフロントエンドモジュールの統合が必要になります。周波数が高くなると空中損失も大きくなるという事実は、アクティブアンテナアレイ自体からのゲインがかなりの大きさになった場合でも、パワーアンプがより高い電力を出力する必要があることを意味しています。また、5Gはいわゆるマイクロセルやフェムトセルなどのより小型のセルの普及をもたらすでしょう。これらのセルには、さらにコンパクトな設計が必要となります。実際、パッケージ化されたチップにできる限り多くの機能を統合できるようにするために、先進のパッケージング技術を使用することがトレンドとなるでしょう。これらトレンドはすべて単位面積当たりの電力密度の増加につながるため、TIMに求める要件はより厳しいものとなります。さらに詳しくは 調査レポート「サーマルインターフェースマテリアル 2020年ー2030年:フォーキャスト、技術、ビジネスチャンス」でご確認ください。
 
データセンターは新規および交換の両方の需要の増加のおかげで、成長率を維持しそうです。データセンターでは非常に多くのエネルギーが使われるため、熱管理は極めて重要な課題となっています。TIMはサーブボード、スイッチ、スーパーバイザモジュール、電源など、データセンターのほぼすべてのコンポーネントで使用されています。この分野では採用されるTIM技術が大きく変わることはなさそうです。
 
平方メートル単位での詳細な市場予測(51の予想対象用途)。今後、市場が爆発的に拡大することを示している。主な成長分野は、エネルギー貯蔵、5Gネットワーク、データセンター。 さらに詳しくは 「サーマルインターフェースマテリアル 2020年ー2030年:フォーキャスト、技術、ビジネスチャンス」
 
パワーエレクトロニクスは引き続きTIMの重要な市場です。従来のパワーエレクトロニクスモジュールではベースプレートがTIMを経由してヒートシンクに接続されていました。しかし、電気自動車のトラクション駆動装置の多くをはじめとする、高性能用途向けの設計の多くではTIMの排除が模索されています。これはTIMが半導体接合部からヒートシンクまでの熱経路の中で最も熱抵抗の大きい箇所であるからです。実際、多くの設計(その一部は既に量産に入っていますが)は、空気や液体でベースプレートを直に冷却する直接冷却を採用し、TIMを排除しています。この傾向は電気自動車のパワーエレクトロニクスにおけるTIMの消費量が、パワーエレクトロニクス市場自体ほど急成長しないことを示唆しています。注目すべきはモジュールメーカーが先駆けて採用している相変化材料が、パワーエレクトロニクスモジュールでポピュラーになっていることです。これは、湿潤性と拡展性、および動作温度での薄さにより、より信頼性の高いハイパフォーマンスが得られるためです。市場は全体的にかなりの規模を維持しており、家電、再生可能エネルギー、産業、EVおよび非EVのトラクションの用途を含むすべてのカテゴリーにわたり、2020年から2030年までの年間平均成長率は6%となる見込みです。
 
LED市場は相当な規模です。TIMは多くのLEDで使用されています。LEDパッケージング技術は多様であり、ダイ・オン・リードフレーム、ダイ・オン・セラミック、ダイ・オン・メタルコアPCBなどがあります。一般的な照明ではTIMは中〜高出力のLEDライトで使用されることが多く、金属絶縁体の基板やボードをヒートシンクに接続しています。自動車照明でのLEDの使用もかなり増加しています。車の外装には、フロントライト、リアライト、信号灯など、多くの光源があります。TIMの使用は自動車照明へのLEDの浸透とほぼ連動しながら増えていくでしょう。ヘッドランプでは2023年には従来型の光源が全体のわずか55%(現在は75%)となり、残りは標準的なLEDまたはマトリックスLEDを使用したものになるでしょう。LEDはまた、LCDディスプレイでも使用されています。この分野でもバックライト方式とエッジライト方式のLCDディスプレイの両方でヒートスプレッダ層がよく使用されています。毎年生産されるスクリーンの総表面積の巨大さを踏まえれば、これは注目すべき市場であるといえます。さらに詳しくは 調査レポート「サーマルインターフェースマテリアル 2020年ー2030年:フォーキャスト、技術、ビジネスチャンス」でご確認ください。
電気自動車市場でエネルギー貯蔵は爆発的に成長か?
しかしながら、変化の大きな原動力となるのはエネルギー貯蔵市場であり、より具体的に言えば電気自動車用のリチウムイオン電池(バッテリー)市場です。これは電気自動車の台頭がバッテリーの需要の拡大につながるためです。さらに、電気自動車の航続距離の拡大はバッテリーの大容量化につながります。これら大容量バッテリーは多数のセルで構成されています。ここでは効率的なパフォーマンスを支える上で熱管理が重要なテーマになっています。また熱管理は熱暴走を防ぐという安全性の面でも重要です。
 
今日、バッテリーモジュールでは多くの異なる方法でサーマルインターフェースマテリアルが使用されています。十分に定着した設計がまだ出現していないため、これは当然のことです。ほぼすべてのケースでバッテリーパックの底板にサーマルインターフェースマテリアルが埋め込まれており、セルとヒートシンクの間に熱経路を形成しています。一部には個々のセルの間にヒートスプレッダを備えるものがあり、熱伝導がさらに高められています。一部の設計ではセル間で広がる熱破損を防ぐためにPUなどの断熱性クッションフォームが用いられています。パウチセルには、ギャップパッドの層もあります。
 
この市場は今後10年間で劇的な成長を遂げ、それによりTIMの市場構成が完全に変わってしまうでしょう。この成長を牽引する要素としては、(a)本質的にあらゆる種類の電気自動車の成長を意味する実現可能な市場の拡大、および(b)バッテリーパックに含まれるサーマルマテリアルの量や実際にkWh当たりに用いられるサーマルマテリアルの量の増加などがあります。結果としてこの市場セグメントは2025年までにほぼゼロの状態から市場全体の半分を超えるまでに成長(平方メートル換算)すると予測しています。そうなれば、確かに劇的な変化です。
 
本調査レポートでは、きめ細かな市場予測を提示しています。実際、細分化されたTIMマーケットに合わせる形で、レポートでは50以上の予測対象用途をカバーしています。IDTechExの予測は製品のティアダウンと現実世界での実装例を用いて作成されています。IDTechExの推定は、多くの取材を通じて検証を行っています。本レポートでは、詳細な技術評価も行っています。ペースト、パッド、相変化などの確立された技術を扱っているほか、カーボンファイバー、グラフェン、垂直配向カーボンナノチューブ、垂直積層グラファイト小板など、材料のイノベーションもカバーしています。この業界に関して、最も詳細で信頼できる調査レポートとなっています。
 
2019年と2025年の市場セグメントを円グラフで表示。エネルギー貯蔵市場が2025年までにほぼゼロの状態から市場の半分以上を占めるまでに拡大することが見込まれ、爆発的な成長機会があることを示している。さらに詳しくは 「サーマルインターフェースマテリアル 2020年ー2030年:フォーキャスト、技術、ビジネスチャンス」
 
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担当:村越美和子  m.murakoshi@idtechex.com
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