TIM:半導体パッケージングの鍵となる熱伝導の最前線
2025年9月22日
Yulin Wang
先端半導体パッケージ向け次世代熱伝導材料 TIM1・TIM1.5の市場規模は、2026年から2036年にかけて年平均成長率(CAGR)31%を超える見込み
半導体パッケージングが2.5D/3D構造へと急速に移行する中、界面の熱抵抗管理の重要性が大きく高まっています。先端半導体では局所的なエネルギー密度が600 W/cm²を超えるため、従来の熱伝導材料では太刀打ちできなくなっています。そこで登場したのが次世代の熱伝導材料(TIM)であり、熱効率、信頼性、市場成長を飛躍的に進歩させる機会がもたらされました。IDTechExの調査レポート「先端半導体パッケージングの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会」では、先端半導体パッケージ向け次世代TIMに関する商業的な可能性と技術イノベーションについて詳しく分析しています。
TIM1からTIM1.5への進化:ゲームチェンジャー
TIM構造のイノベーションが熱伝導に変革をもたらしています。先端半導体パッケージング業界は、従来の2層構造(TIM1 + TIM2)から、それらを一体化した単層のTIM1.5へと移行しつつあります。TIM1.5では熱経路の大幅短縮と界面数削減が実現できるため、積層ダイアセンブリにとってTIM1.5は必要不可欠な材料です。
- 液体金属合金は、常温では固体状態を保ち、動作時には融解して液体となる相変化金属合金TIMで、界面抵抗が極めて小さく導電性が高いため、TIM1.5として有用です。
- インジウム系TIMは、熱伝導率が最大約86 W/mKに達し、融点が約157°Cと接合に最適です。また、ボイドが少なく、機械的コンフォーマル性にも優れています。
- 日立化成(現レゾナック)が開発した黒鉛垂直配向熱伝導シートは、中程度の圧力(約20psi)下で20 W/mKを超える厚さ方向の熱伝導率を誇り、ポリマーグリスを大きく上回ります。

TIM1+TIM2構造からTIM1.5構造へ。出典:先端半導体パッケージングの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会
重視すべき性能指標

TIMのベンチマーク比較。出典:IDTechEx
注目点:
- 液体金属とインジウムがサンドイッチ状に重なっているTIMは、接触抵抗が50psiで0.036 cm²K/Wと低く、性能はハイエンドのサーマルパッドよりも優れています。また、200回以上の温度サイクルでも耐久性を示し、性能劣化も招きません。
- 純インジウム箔(厚さ約0.05mm)の伝導率は約84 W/mKに達しており、極低温または高温の環境でも変形性を保ちます。動作温度範囲も広く、-273°Cから約155°Cまでの範囲で使用できます。
- 垂直配向フィラーを使用した黒鉛垂直配向TIMの伝導率は、厚さ方向で20 W/mKを超えますが、低い接触抵抗を維持するには、十分な圧力(20psi以上)と材料のコンフォーマル性が必要です。
- グラフェン複合材料は、フィラーの配合量が少なめでも(5~10vol%)従来のグリスの熱伝導率を約17倍に高めることができ、330Kでの界面抵抗(約3-4 mm²K/W)は市販のTIMに匹敵します。
TIM1.5が戦略的差別化要因となる理由
TIM1.5は単なる材料ではなく、性能哲学です。層遷移をなくすことで界面熱抵抗を大幅に低減します。
- 高密度マルチチップモジュールで鍵となるダイからスプレッダまでの高い熱伝導効率を実現。
- 単価向上を実現。アーリーアダプターからは従来のTIMに比べて3~5倍の価格差が報告されており、利益増大が可能に(業界の推計)。
高帯域幅メモリ、AIアクセラレータ、積層ダイによる熱負荷の増大と相まって、TIM市場(TIM1・TIM1.5)は2036年までに5億ドル規模に達すると予測されており、安定した商業的機会を示しています。(IDTechEx調べ)
工学的な考慮事項と市場での成功要因
- 良好な接触:K値の高いTIMでも界面の接触が良好でないと十分に機能を発揮しないため、圧力、表面粗さ、ボイドの有無が極めて重要な要素となります。接触面積と機械的コンフォーマル性を最適化することでRₙが大幅に低減します。
- 信頼性:LM(液体金属)がサンドイッチ状に重なっている先進TIMは、数百回の熱サイクルと数百時間の動作にも耐久性を示し、性能劣化も招きません。
- 法規制遵守:インジウム・ガリウム合金など特定の金属は、地域によって規制対象となっており、RoHS指令や材料認証(UL94規格など)によって使用が制限される可能性があります。
結論:TIMの最前線
TIM1.5を中心とした先進TIMは、単に機能を高めるためのものではなく、3D半導体パッケージングと超高性能チップを実現する上で必要不可欠な材料となっています。ところが、TIM1.5はNVIDIAのB200をはじめとする先端半導体パッケージングで広く使用されているにも関わらず、IDTechExの調査では、依然として技術的課題に直面しており、未だリッド付きの TIM1 + TIM2 からリッドなしのTIM1.5へと移行途中の段階にあります。
さらに詳しくは、「先端半導体パッケージングの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。 IDTechExの熱管理に関連するレポートは、こちらでご覧いただけます。
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