シリコン需要の3分の1を占める電気自動車(EV)向けバッテリー管理システム(BMS)
2023年4月14日
IDTechExの調査レポート『自動運転車と電気自動車向け半導体 2023-2033年』によると、今後電気自動車の大量導入が進むことで、電気パワートレインに使用される半導体の10年間のCAGRは20.9%になるとされています。また、より多くの自律走行車の台頭とともに、自動車用半導体市場全体の今後10年間のCAGRは9.4%になると予想されます。

電気自動車向けバッテリーマネージメントシステムのシリコン需要 出典: IDTechEx
電気自動車が未来であることは周知の事実であり、自動車業界は脱炭素化への圧力が強くなっています。これは最近の電気自動車の販売台数にも反映されており、2020年頃から前年比で飛躍的な伸びを示し、アーリーアダプター技術からメインストリームへの移行が進んでいます。その結果、IDTechExでは、今後10年間のバッテリー電気自動車市場の年平均成長率を15%と予測しています。
電気自動車における半導体部品
燃費(燃料1滴当たりの走行可能距離)を最大限高められるように、マイクロコントローラ(MCU)が各機関と爆発燃焼を巧みに調整するなど、半導体技術は内燃機関車とは切り離せないものになっています。しかしながら、電気自動車のバッテリーへの入出力電流を管理するには、パワーエレクトロニクスの形で半導体の管理方法を大幅に強化する必要があります。車載用充電器、インバータ、DC/DCコンバータに使用されるSi(シリコン)素子やSiC(シリコンカーバイド)素子は、電気自動車の動作において重要な役割を担っており、車載半導体の価値においても大きな割合を占めています。
インバータなどの大型パワーエレクトロニクス部品が、電気自動車を製造する際の価値のかなりの部分を占めているのです。しかし、IDTechExの調査レポート『自動運転車と電気自動車向け半導体 2023-2033年』では、個別のチップ・ウェハーのレベルにまで目を向けています。この観点からすると、バッテリー管理システム(BMS)は、電気自動車におけるシリコン需要に驚くほど大きく寄与する存在となっているのです。
バッテリー管理システム内のチップは、大きく分けて、重大な決断を下すマスターコントローラ1台と、セルを監視する多数のバッテリーモニタリング・バランシング集積回路(BMB IC)の2種類があります。BMB ICは、バッテリーパック内に搭載されたセンサーから電圧や温度などの情報を収集し、その情報をメインコントローラに送信します。メインコントローラは、その情報に応じて作動し、バッテリーが過熱した場合に冷却装置を作動させたりするのです。問題は、チップ1個で監視できるセル数は通常10~20個だということです。電気自動車に詳しい方なら、セルを数千個も搭載している電気自動車もあることをご存知でしょう。その場合はバッテリーパック中に多数のBMB ICが存在することになります。IDTechExの調査で明らかになったのは、パワーエレクトロニクスが大量のコンポーネントが集まったものであるにもかかわらず、電動パワートレイン製造に使用されるシリコン需要の約3分の1を占めているのが、バッテリー管理システムであるということです。
急速に進化する半導体技術の世界ではすべてが進歩し続け、BMSもまた半導体のトレンドと無縁ではありません。前述のように、BMB ICがバッテリーパック内でモニターできるセル数は10~20個ですが、この数は増加傾向にあります。おそらくこれは、より強力で高性能なチップを生み出す、より高度なシリコンプロセスへと徐々に移行していることによるものです。その結果、バッテリーパック全体で必要なチップの数は減少します。さらに、セル容量の増加に伴い、1台当たりのセル数が減少する方向です。
電動化も自動化と同様に、自動車産業の新時代を特徴付ける転換であり、これにより、急成長する半導体市場が新たに形成されるのです。本記事は主にバッテリー管理システムについて述べていますが、IDTechExの調査レポート『自動運転車と電気自動車向け半導体 2023-2033年』では、ADAS、自動運転、LiDAR、レーダー、カメラ、4G/5Gコネクティビティ、電動パワートレイン、MCU、SOCなど、自動車を構築するのに必要な半導体を全体的かつ包括的に取り上げています。IDTechExは、自動車に導入される新技術や、実現間近の技術のほか、自動車産業の変化が半導体市場にもたらす影響について、お客様の理解が進むように支援しています。

Semiconductor components found in autonomous electric vehicles. Source: IDTechEx
車載半導体動向を詳しく理解するために、IDTechExの調査レポート『自動運転車と電気自動車向け半導体 2023-2033年』をご活用ください。
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