フルスタックソリューションが主流の中、中国のレベル2+ADAS市場が急成長
2025年4月30日
Shihao Fu
自動運転において、レベル3は2025年も法規制と賠償責任の課題に直面し続けていますが、SAEレベル2+のADAS(先進運転支援システム)は、垂直統合型サプライチェーンによるソリューションやハードウェア価格低下が追い風となり、中国自動車業界の勢力図を塗り替えつつあります。IDTechExの調査レポート「乗用車向けADAS市場 2025-2045年:技術、市場分析、予測」では、中国市場全体でのレベル2+普及率は依然として低調ではあるものの、中国の新エネルギー車スタートアップ企業によって注目すべきトレンドが生み出されていることが報告されています。2024年のスタートアップ企業による合計販売台数のうち、52%がレベル2+機能に対応しています。ファーウェイやホライズン・ロボティクスをはじめとする中国国内のサプライヤーがこの変革を主導する一方で、自動車メーカー各社がモジュール型ソフトウェアの提供よりもコスト効率の高いフルスタック型パートナーシップを優先させるようになったこともあり、ソフトウェアを単独で提供するADASスタートアップ企業は窮地に立たされています。
ADASソリューションサプライヤーの階層化:フルスタック型企業 vs ソフトウェア専業企業
中国でのADASサードパーティサプライヤー市場は大きく二分されつつあります。1つは、ウィーライド、Qクラフト、バイドゥ傘下のアポロ、モメンタなどの車載ソフトウェアを単独で提供する専業プレーヤーです。これらプレーヤーは認知・計画アルゴリズムを開発していますが、自動車メーカーの既存ハードウェアプラットフォームに依存する形となるため、センサーや演算チップなどの重要部品は管轄外です。かつては初期段階の協業パートナーの地位を独占していましたが、今やその市場での影響力は急速に弱まってきており、2024年のソフトウェア専業プレーヤーによる新規契約締結件数は対前年比37%の減少となっています。
一方で、フルスタックソリューションを提供するプレーヤーが市場シェアを急速に拡大し始めています。ファーウェイ、モービルアイ、ホライズン・ロボティクス、ブラック・セサミ・テクノロジーズ、ボッシュなどの企業で、独自のチップ、センサースイート、AIソフトウェアを一体化させたフルスタックのADASシステムを提供しています。ファーウェイのADSプラットフォームはこの変革の代表例であり、2024年には大手自動車メーカー3社とのパートナーシップを通じて50万3000台に搭載されており、その数はテスラの中国での年間販売台数に迫る勢いを見せています。
中国のレベル2+エコシステムを一変させる3つのメガトレンド
現地化の波:海外技術への依存からの脱却
中国のADAS搭載乗用車市場では、NVIDIAのOrin-Xが依然として主流のハイエンドチップとなっているものの、中国のサプライヤー各社は代替品の開発を積極的に進めています。ブラック・セサミ・テクノロジーズは自動運転用チップの量産を2024年後半に開始しており、モメンタも40社以上の自動車メーカーとの提携によって海外製シリコンへの依存度を下げています。2024年には国産チップの採用が対前年比217%と急増しており、中国のレベル2+高級車の28%がファーウェイのAIプロセッサ「アセンド」を搭載しています。
海外プレーヤーは適応に苦戦
海外サプライヤー各社は、急速な発展を遂げている中国のADAS業界への適応に際して、非常に多くの課題に直面しています。かつては中国のADAS市場のパイオニアであったモービルアイは、ジーカーが高級EVでNVIDIAのOrin-Xを採用し始めたことで、2025年にエントリーモデルでの採用のみという状態に追いやられました。一方ボッシュは、現実的な道を進むべく、ウィーライドとの合弁事業においてグローバルな専門技術とローカライズされたソフトウェアを組み合わせ、チェリーの2024年のラインナップ向けにカスタマイズしたADASソリューションを提供しています。
コスト効率の高い画像認識システム
画像認識を中核としたシステム(1台当たり約813ドル)は2024年の導入において63%を占めており、テスラのHW4.0(2000ドル)やLiDAR搭載型ソリューション(約3500ドル)と比べてもかなり安価です。センサー価格の低下が進むことにより、画像認識を中核としたADASの導入はさらに加速することでしょう。

乗用車向けADASセンサースイートのコスト内訳。出典:IDTechEx
レベル2+のグローバル展開:ジオフェンスエリアの拡大でレベル4はニッチを開拓
世界全体で見ると、2017年時点でレベル2+対応車種は少数に過ぎませんでしたが、2024年には50車種以上へと急拡大しています。この市場をリードしているのはGMのスーパークルーズです。現在では、80万マイルにわたる北米の幹線道路で走行可能な車種が、販売されているレベル2+搭載車の半数に相当する20車種にまで拡大されています。フォードとステランティスでも対応幹線道路を75万マイル超に拡大しており、そのすぐ背後に迫る勢いを見せています。一方、レベル4の自動運転はニッチな用途を開拓しています。その1つが自動バレー駐車システムです。自動バレー駐車システムとはジオフェンスで設定された場所に無人で自動駐車するというものです。
IDTechExは乗用車向けADAS市場の動向を注視しており、調査レポート「乗用車向けADAS市場 2025-2045年:技術、市場分析、予測」の中で、この市場の大幅な成長を予測しています。本調査レポートでは、主な業界参入プレーヤー(ティア1サプライヤー、完成車メーカー、ADASソフトウェア・プラットフォームのプロバイダーなど)の概要、センサースイートの詳細比較、SoCの性能評価、E2E(エンドツーエンド)アーキテクチャなど、グローバルなSAEレベル2+およびレベル3市場を広範に分析しています。
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