半導体におけるガラス:業界での次なる転換点

半導体におけるガラス:業界での次なる転換点
ガラスの用途は副次的な消耗品からパッケージの要へ
 
半導体におけるガラスは、もはや実現困難な夢物語ではなく、すでに現代の製造工場で静かにその存在感を放っています。シリコンウエハーの裏面薄化工程では、高い平坦性を持つホウケイ酸ガラス製のウエハー保持用搬送キャリアが用いられていますし、MEMSパッケージの気密封止キャップとしてナトリウムフリーのガラスシートが使用されています。また、低CTE(熱膨張係数)ガラスがウエハーレベルパッケージのファンアウトプロセスの多くではガラス基板が使われています。
 
ガラスの用途は、副次的な消耗品からパッケージの要へと徐々に移行しつつあり、コア基板やチップレット接続用インターポーザの他、サブテラヘルツ波の発生や光ファイバーへの入射光のスアリング用の誘電体としても利用されています。
 
IDTechExの市場調査レポート「半導体におけるガラス 2026-2036年:用途、先進技術、市場インサイト」では、技術の詳細分析、ベンチマーク評価、サプライチェーンマッピング、採用促進要因、リスク分析、数量・収益予測(2025年-2036年)とともに、7つの異なるガラス製品セグメントに関するエンドツーエンドのマーケット・インテリジェンスを提供しています。
 
地味な搬送キャリアから先端パッケージングへ
 
ガラスの役割が注目されるようになった要因は、AIデバイスやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)デバイスでの広帯域化と電力密度の上昇です。トレーニング用アクセラレータ1台だけでも、数千個の高速I/Oバンプと、ノイズを最小限に抑えながら数百アンペアに対応できる電力供給ネットワークが必要になります。過去20年は有機系積層板が主力として使用されていましたが、電力需要が増加の一途をたどる中、今では求められる平坦性とビア密度に対応しきれなくなっています。シリコンインターポーザの場合は配線の大幅な微細化が可能ですが、価格の高さと面積の点で見合う用途が限られてしまいます。
 
ガラスはこの両極間のバランスを取る選択肢となります。ガラスであれば、熱膨張係数をシリコンと一致するように設計可能で、誘電正接(40GHz)はシリコンと比較して桁違いの低さを誇ります。また、LCD業界で大型パネルの加工が可能になれば一辺50センチのシートに切り出すことも可能となり、歩留まりの向上とともにハイエンドの有機基板との価格差も縮まっていくことでしょう。
 
AIとハイパフォーマンスコンピューティングへの需要急増により、パッケージングスタックのあらゆる層において、有機積層板や第1世代のシリコンインターポーザでは容易に対応できないほどの電流量、I/O数、信号速度が求められています。こうした圧力を受けて、ニッチで奇抜な存在であったガラス製コア基板と大型パネルのガラスインターポーザの商用化が進みつつあります。
 
今では、大手デバイスメーカーや材料ベンダーがこの技術の研究に大々的に取り組んでいます。インテルはアリゾナ州の先駆的な製造ラインで、ガラスベースの試験用プラットフォームの実証実験を行っており、サムスン電子では、パッケージング技術「I-Cube」、「H-Cube」に並ぶ選択肢の候補として、ガラス製コア基板の研究を進めています。また、大手ガラス基板メーカーSKCも、500mmのガラスパネルの穴あけ・充填工程を担うパイロットラインを立ち上げており、大手ガラスメーカーAGCも初期評価向けに低CTEホウケイ酸ガラスシートの供給を始めています。
 
本格的な生産開始が確定している企業はまだ見られませんが、各社の取り組みからは明らかな変化が伺えます。つまり、ガラスがAI・HPC時代に向けた次世代基板の最終候補として挙がっているということです。この流れは、ガラス製のコア基板やインターポーザ(特に先端パッケージングやIC基板向け)の登場にも反映されています。
 
高周波・フォトニック集積が獲得可能な市場規模を拡大
 
ガラスの特性である低誘電損失と光透過性は、コンピューティング用パッケージング用途以外のもう1つの成長要因となります。Kaバンドを超えると、ガラス製マイクロストリップを介した挿入損失は同等の有機配線を介した場合よりもおよそ半分にまで低減します。
 
フォトニクスも、もう1つの牽引力となります。CPO(コ・パッケージド・オプティクス)は、ファイバーの接合部をスイッチのフロントパネルから基板(スイッチASICから数ミリメートルの距離)に移すことを目的としています。特殊ガラスは、電気的再配線層と低損失導波路の両方を搭載できるため、アライメントが簡素化され、高価なシリコン製フォトニックインターポーザも不要になります。RFに使用される同じTGV(ガラス貫通電極)技術でも垂直方向の光ビアを設けられるため、1枚のコア基板でトランスインピーダンスアンプ、レーザードライバー、光導波路自体にも対応できます。このように電子配線と光配線を集約することは、ガラスの強みを直接生かすことになり、ガラスの潜在市場を従来の電子部品実装分野以外に広げることにもなります。
 
 
TSV(シリコン貫通電極)(上)とTGV(ガラス貫通電極)(下)。出典::IDTechEx
 
なぜ今、サプライチェーンの洞察が重要なのか
 
ガラスがパイロットラインから量産に進むかどうかは、原材料の入手性(融解炉は各地に存在)よりも、レーザー穴あけ、銅の充填、パネルハンドリング、設計の自動化という新たなエコシステムに左右されます。ガラスがシステムインテグレーターの設定するコスト目標を達成できるかどうかは、歩留まり習熟曲線、ビア充填の信頼性、パネルの反り、設計キットの成熟度によって決まります。
 
そのため、生産能力を持っている企業、概念実証から24時間稼働の生産体制に移行できる穴あけ技術、ギガヘルツ帯での損失やサブミクロン単位の反りを速くモデル化できる設計ツールについてそれぞれ理解しておくことが、導入時期を決定する際に非常に重要です。
 
同様に重要なのは、シリコンや改良された有機基板との競合の動きです。各ファウンドリは、ガラスが持つ最小加工寸法の利点を狭めるようなウエハーレベルのハイブリッド型再配線を推し進めており、積層板サプライヤー各社は、粗さを抑えつつCTEマッチングに優れた次世代型ABFコア基板の開発を進めています。本レポートでは、各材料のプラスとマイナス両面のベンチマーク評価を行い、ガラスが優位に立つ見込みのある分野と、ガラスが特殊な選択肢にとどまる分野をわかりやすく提示しています。
 
IDTechExのレポート内容
 
「半導体におけるガラス 2026-2036年:用途、先進技術、市場インサイト」では、ウエハーキャリアからフォトニックタイルまでの7つの有形製品別に、初のボトムアップ型市場モデルによるアプローチを提供しています。年間の需要と売上を数値化し、公表されているパネル生産能力を出荷予測と比較しながらマップ化しています。また、TGV(ガラス貫通電極)の穴あけ、メタライゼーション、多層再配線の技術成熟度に関してもそれぞれ分析しています。
 
さらに、ガラスが持つ電気的・機械的長所の背景である物理特性、解決すべき加工上の問題、高周波RF・フォトニック集積から獲得可能な最大市場規模が受ける影響についても取り上げて解説しています。本レポートでは、2036年までに44億ドル規模に達すると予測されるこの市場が、どのように大きな機会をもたらすのか、明確なイメージを提供します。
 
 
半導体におけるガラス(2025年)。出典:IDTechEx
 
本レポートの対象読者
 
本レポートは以下のすべての方を対象にインサイトをお届けします:
チップレットのロードマップを策定される半導体デバイス設計者、次世代基板技術の選定に携わるパッケージングエンジニア、パネル規模のガラス生産ラインに関心を持つ材料サプライヤー、穴あけや平滑化用レーザー加工装置を開発中の装置ベンダー、先端パッケージングの次なる転換点を見極めたい投資家
 
「半導体におけるガラス 2026-2036年:用途、先進技術、市場インサイト」は、材料科学、プロセス技術、市場経済学、最終用途の需要をひとつのストーリーとして結びつけ、関係者が技術的・戦略的な意思決定を行うために必要な背景情報を提供します。
 
さらに詳しくは、IDTechExの調査レポート「半導体におけるガラス 2026-2036年:用途、先進技術、市場インサイト」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。 IDTechExの半導体関連レポートは、こちらでご覧いただけます。

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