謎に迫る:熱伝導性フィラーの取引に関する洞察と市場動向

Yulin Wang
Silica gel for moisture control, absorbent particles under a light microscope, magnification 40 times
熱伝導材料(TIM)は放熱フィラーとマトリックス材料からできています。放熱フィラーは熱伝導性の高い物質であり、マトリックス材料は機械的特性を高めるために使用されることが一般的です。放熱フィラーはTIMのコストの大部分を占めるため、TIMサプライヤーが独自に選定を行うことが多くなっています。放熱フィラーの材料、形状、充填率の選択は、TIMの熱特性だけでなく、コスト、絶縁耐力、圧縮性、粘度といった他のパラメータにも大きく影響する可能性があります。IDTechExの調査レポート『熱伝導材料(TIM) 2024-2034年:技術、市場、予測』は、さまざまなTIMフィラーについて、その利点と欠点、今後の市場動向などを総合的に分析しています。
 
どのフィラーを選択するかはTIMの要件次第であり、その要件は結局のところ対象用途によって決まります。例えば、EVバッテリーパックでは、セル・ツー・パック設計により、TIMの熱伝導率を下げる(約2W/m・K)流れとなっています。これまでは、フィラーとしてアルミナ(Al2O3)が使用されてきましたが、より熱伝導率の低いものへの移行に伴い、水酸化アルミニウム(ATH)の人気が高まるとみられています。また、ATHは分解時に水分を発生させることで難燃性を発揮し、さらなる防火効果をもたらします。一般的に低コストにもなります。球状アルミナをATHに置き換えれば、フィラーのコストを20%以上(推定値、フィラーのグレード、品質、量、顧客との関係などの要因によって変動)低下させることが可能です。Al2O3からAl(OH)3に切り替えた場合、TIMの密度を約30%(充填率によって変動)低下させる可能性があるとIDTechExは推定しています。放熱フィラーのコスト分析の詳細については、IDTechExの調査レポート『熱伝導材料(TIM) 2024-2034年:技術、市場、予測』に掲載しています。
 
一方、先進的TIMを必要とする用途(データセンター、ADAS、パワーエレクトロニクスなど)では、Al2O3や、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)をはじめとする高性能材料への需要が高い水準で推移することになるとIDTechExは見ています。とはいえ、性能向上には高コストが伴います。例えば、窒化ホウ素(BN)フィラーが球状アルミナフィラーの約10倍の価格になる場合もあり、そのため、非常に高い熱伝導率を必要とする場合を除き、BNフィラーは熱伝導率とコストのバランスを取るための二次フィラーとして使用されることが一般的です。
 
アルミナ、ATH、AlNフィラーの比較 詳しい解説は 『熱伝導材料(TIM) 2024-2034年:技術、市場、予測』
 
フィラーの粒径と形態もTIMの性能に大きく影響します。フィラーの粒径と形態はフィラー間の相互作用領域に影響するため、TIMの熱伝導率が大きく左右される可能性があります。高分子複合材料(ポリマーコンポジット)に含まれるフィラーの粒径が大きくなると、比表面積(SSA)が減り、粒径が小さい場合と比べて熱伝導率が向上します。しかし、フィラーの粒径を大きくすると欠陥密度が高くなる可能性があり、熱伝達の妨げや熱伝導率の低下につながる恐れがあります。大粒径フィラーの場合、SSAが小さいことでフィラーとポリマーの界面が減少するため、界面熱抵抗(ITR)が低下し、熱伝導率が向上します。一方、小粒径フィラーについては、界面積が大きいことでITRが増大するため、ポリマーコンポジットにはあまり適していません。加えて、融点など、その他の物理的特性も極めて重要です。金属ナノ粒子は融点が低いため、ポリマー硬化中に焼結と熱伝導ネットワークの形成を促進します。そのため、熱伝導率と性能の向上を目的に、さまざまな粒径のフィラーを混合することがよくあります。
 
フィラーの形状と加工の複雑さもコストに影響します。例えば球状アルミナの価格は、数量などの要因次第で、粉砕アルミナフィラーよりも20%以上高くなる場合があり、フィラー粒子間に空洞や空間があると、熱境界抵抗(TBR)が生じて熱伝導経路が遮断する恐れがあります。小粒径フィラーを取り入れることで、このような空間を埋め、より大きな粒子間にさらなる経路を形成することができるため、TBR/ITRが低下し、熱伝導性が向上します。
 
まとめとして、 サーマルフィラーの選択には多くの考慮事項が含まれます。IDTechExの調査レポート『熱伝導材料(TIM) 2024-2034年:技術、市場、予測』では、コスト、熱伝導率、密度、誘電強度、その他の要因を定量化することで、一般的なサーマルフィラーの長所と短所を総合的に理解することができます。

About IDTechEx

IDTechExの調査レポートは、
・アイディーテックエックス株式会社 (IDTechEx日本法人) が販売しています。
・IDTechExからの直接販売により、お客様へ各種メリットを提供しています。
・ご希望の方に、サンプルページ 送付します。
・その他、調査レポートに関する、質問、購入に関する問い合わせは、
 下記担当まで。見積書、請求書も発行します。
 
問合せ先
アイディーテックエックス株式会社
東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル21階
担当:村越美和子  m.murakoshi@idtechex.com
電話 : 03-3216-7209
 
IDTechExは、調査、コンサルタント、サブスクリプションを通して、戦略的なビジネス上の意思決定をサポートし、先進技術からの収益を支援しています。IDTechExの調査およびコンサルティングの詳細については、IDTechExの日本法人、アイディーテックエックス株式会社まで、お問い合わせください。