電磁メタマテリアル市場は2034年には150億ドルに迫る規模に

Sam Dale
Prototype of nanostructured metamaterials in lab
メタマテリアルは人工的なサブ波長構造の規則的パターンを利用して波動と相互作用します。電磁メタマテリアルは、光学と通信の分野において変革的な効果をもたらすことが期待されています。この材料は、生体認証の低コスト化と精度向上、仮想現実の没入感と快適性の向上を実現し、受信困難地域のない高速モバイルインターネットに一役買う可能性がありますが、その導入はまだ初期段階にあります。
 
IDTechExの調査レポート『光学とRFメタマテリアル 2024-2034年:市場、有力企業、技術』 では、電磁メタマテリアルの先進技術を包括的に解説しており、バリューチェーン全体の企業への取材と、光学・通信用材料や先進材料に関する既存調査を活用しながら、さまざまな用途における光メタマテリアルとRF(無線周波数)メタマテリアルの市場を評価し、各用途の要件を分析、既存のプレーヤーの事例を紹介しています。
 
また、本レポートでは通信における再構成可能なインテリジェントサーフェス(RIS)とスマートフォンカメラのメタレンズに大きな機会があることを明らかにしています。セグメントを細分化し、各用途の現状と市場潜在性について包括的に解説しています。メタレンズによるスマートフォン搭載の生体センシングの改良や、ミリ波帯5Gの展開が進みRISの採用が拡大することが追い風となり、市場全体が2034年までに149億ドル規模に到達すると予測しています。
 
IDTechEx's 10-year forecasts break down the EM metamaterials space into the following important market verticals, with many further being discussed in the report, "Optical & Radio Frequency Metamaterials 2024-2034: Markets, Players, Technologies". Source: IDTechEx
 
RF(無線周波数)メタマテリアルの市場
 
RFメタマテリアルは、通信、自動車、航空宇宙、セキュリティをはじめ、さまざまな分野にわたって利用されています。再構成可能なインテリジェントサーフェス(RIS)でRFメタマテリアルを利用すれば、電磁放射の反射、方向制御、遮蔽を行うことで、信号の高周波化に伴う到達範囲の減少を補うことができます。また、レーダービームフォーミングでは、RFメタマテリアルを用いることで、電磁放射のアクティブステアリングによる角度分解能の向上も可能となります。これは車載レーダーシステムにとって特に有益となる可能性があります。RFメタマテリアルは効果的なEMIシールドや信号漏洩防止によるセキュリティ強化を目的として使用することができ、周波数選択性を付与して透明なシールドを作成することも可能です。また、MRIスキャンや非侵襲性血糖測定といった医療センシング用途への可能性も秘めています。
 
IDTechExの予測では、RFメタマテリアルの最大市場となるのは、ミリ波帯5G通信や将来の6G通信を対象とした再構成可能なインテリジェントサーフェス(RIS)です。ミリ波帯5Gも6Gも、広大な帯域幅を活用して数Gbpsから数Tbpsのピークデータレートをサポートする可能性や、超低遅延を維持する可能性など、大きな利点をもたらします。
 
しかし、高周波帯を利用すると、信号伝搬距離が非常に短くなる(100GHzを超える周波数ではcmの距離)ことや見通し内の障害物などの課題が生じます。信号減衰に対応し、適度な距離の安定した通信を確立することは、どちらの技術にとっても優先事項ですが、特に混雑した都市部では障害物があっても接続が安定していることが不可欠です。
 
多数の基地局を設置することは、ミリ波帯5Gや6Gなどの高周波帯に十分な受信可能範囲をカバーする上でコスト効率の良い方法ではありません。一方、メタマテリアルによるRISは信号を反射してエンドユーザーに向けることができるため、消費エネルギーを抑えつつ信号の距離と強度を向上できます。また、メタマテリアルベースのコーティングを窓に施すことで、都市部では障害物を避けるようにビームを反射させて信号の到達範囲を広げることも可能です。これらのソリューションは受信可能範囲を広げ、マテリアルズインテグレーションに大きな機会をもたらします。
 
光メタマテリアルの市場
 
モスアイ構造のバイオミミクリー(生物模倣)に基づく比較的単純な光メタマテリアルには、高級カメラレンズの反射防止膜(ARコーティング)として比較的長い歴史があります。しかし、コンピュータービジョンシステムの性能向上をきっかけに、半導体産業のプロセスを用いて製造されるメタレンズが大きな影響力を持つことになると見られています。
 
2022年には、ファブレス企業のMetalenzが設計したメタレンズがSTマイクロエレクトロニクスのToF(飛行時間)センサーで商用化され、この技術としては初めての商業利用となりました。この事例では、メタレンズが、従来の光学系よりも小さなパッケージで集光性能を向上させました。メタレンズの最大の価値は、非常にコンパクトなパッケージで偏光撮像を実現することなど、さらなる光学機能を追加できる点にあります。このことは、スマートフォンの顔認証に利用できるという大きな可能性があります。また、この用途向けに設計されたセンサーモジュールをMetalenzが2023年後半に発表していることもあり、近い将来、Apple以外のスマートフォンにも顔認識機能が搭載される可能性があります。
 
液晶ベースのメタレンズは、VRヘッドセットへの大きな影響が期待されています。このレンズを使用することで、輻輳調節矛盾が解消され、VR機器が「ビジュアルチューリングテスト」に合格できるようになる可能性があります。また、アクティブ型の光学メタサーフェスは、LiDARを小型化することや、これらセンサーを使用できる市場の拡大に寄与するかもしれません。
 
メタレンズ最大の制限因子は広いスペクトルに対応する性能ですが、メタサーフェス自体の設計とソフトウェア補正における大きなイノベーションにより、メタサーフェスが今後10年以内によりコンパクトで低コストなスマートフォンカメラのレンズになることが期待されています。つまり、メタレンズは近い将来に光学産業の至る所に破壊的革新をもたらす可能性があるということです。
 
IDTechExは、広範な一次調査を活用し、新しい材料とフォトニクス技術とその市場機会を10年にわたり調査してきました。最新調査レポート『光学とRFメタマテリアル 2024-2034年:市場、有力企業、技術』 では、光メタマテリアルと高周波メタマテリアルの基礎技術、製造方法、アプリケーションについて包括的な情報を提供しています。ぜひ、サンプルページをダウンロードして、内容をご確認ください。
 
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