持続血糖測定(CGM)が糖尿病患者向けデジタルヘルス業界の重要な推進要因に

Brendan Beh
持続血糖測定(CGM)が糖尿病患者向けデジタルヘルス業界の重要な推進要因に
血糖測定は糖尿病管理に欠かせないものであり、その中で試験紙は歴史的に見て最も普及した血糖測定法です。しかし、この10年の間に競合する測定法として持続血糖測定(CGM)が登場しました。CGM市場はこの数年で大きな成長を遂げており、試験紙市場の縮小を加速させる一因になると予測されています。IDTechExでは、糖尿病管理デバイス市場全体における試験紙業界の占有率が、ピークであった2010年の63.4%から減少し続け、2032年にはわずか6.7%になると予測しています。
 
試験紙市場が縮小する一方で、CGM市場は着実に成長している。Source: IDTechEx - 「糖尿病管理技術 2022-2032年: 市場、有力企業、見通し」
 
データの品質や患者の快適性の向上などはこのようにCGMが急速に普及した背景要因の一部です。IDTechEx調査レポート 「糖尿病管理技術 2022-2032年: 市場、有力企業、見通し」 は、この市場が2022年までにどの程度の規模になるのか?また糖尿病デジタルヘルス産業にどのような結果をもたらすのか?といった疑問にお答えするものです。
 
CGMが糖尿病患者向けデジタルヘルスプラットフォームにとって重要な理由
 
CGMには試験紙よりも優れた点がいくつかありますが、中でも注目すべきなのは、CGMのデータ品質の高さです。測定値そのものが優れていることに加え、測定回数が多いため、血糖の経時変化の把握が可能になります。これにより糖尿病患者向けデジタルヘルスプラットフォームの機能が大きく拡張されます。例えば、Bio Conscious Technologiesが取り組んでいるように、こうしたデータに基づいて血糖変動を予測できるように機械学習アルゴリズムを統合することもその一例です。こうしたことは、データ数が少ない試験紙には不可能なことです。利用できる時間的血糖データの量を増やすことで、患者の習慣を把握することも可能になります。こうしたデータは、医療従事者向けの遠隔医療プラットフォームにおいて、患者の行動習慣を把握し、それに応じて患者に合った助言を行って病状改善を図るのに利用されています。
 
CGMのコネクティビティの向上も、デジタルヘルスの統合にメリットをもたらします。新しいCGMはモバイルデバイスに直接接続して自動的にデータを送信できるため、患者による入力も不要です。こうしたCGMは多くの場合、専用のスマートフォンアプリと組み合わせて提供されているため、患者は自身のスマートフォンで血糖データを直接確認することができます。こうした状況がCGMからデータを直接取得可能なスマートフォンアプリを作成する土台となっており、人の介入なく必要なデータを直接取得できるデジタルヘルスプラットフォームを実現可能にしているのです。例えば、CGMメーカーのDexcomは、DexcomのCGMからデータをサードパーティーのソフトウェアに取り込めるよう、APIとモジュールを開発しています。このような利便性の高いシステムであれば、患者の利用を促すことになるでしょう。
 
CGMはデジタルヘルスプラットフォームに多くのものをもたらしますが、その逆もあります。デジタルヘルスプラットフォームは2型糖尿病/前糖尿病という大きな潜在市場にCGMが浸透していく可能性をもたらします。2型糖尿病患者は、糖尿病患者全体のほぼ95%を占めているにもかかわらず、費用が高く、より高品質のデータに対するニーズも低いことから、CGMをあまり利用していません。そこでCGMが提供できるサービスをデジタルヘルス統合を通じて拡大すれば、こうしたデバイスを2型糖尿病/前糖尿病ユーザーが導入するインセンティブとなるでしょう。このような2型糖尿病/前糖尿病市場へのリーチ拡大の可能性が、デジタルヘルスプラットフォームとのパートナーシップを推進する意欲をCGMに与えることになり、それがデジタルヘルス業界のさらなる成長を促すことになります。
 
しかし、現在市場にある前糖尿病/2型糖尿病患者用CGMに競合する測定法が登場する可能性もあります。血糖測定業界においては、非侵襲性血糖測定が長きにわたり関心の的になっており、一部の人々の間では血糖測定の「聖杯(究極の理想)」であるとも言われています。CGMでも侵襲性が最小限に抑えられているものの、その形態的要因により皮膚炎を引き起こす可能性がいまだにあります。この問題は非侵襲性血糖測定により解消されるでしょう。また非侵襲性測定法を開発中の複数の企業でも、現在市場にあるどのCGMよりも自社のデバイスが安価になり、患者の利用をさらに促すようになるとの見通しを示しています。さらには多くの非侵襲性測定法において精度の低さが見られましたが、前糖尿病患者は厳密な血糖管理を必要としないため、以前ほどの問題にはならないでしょう。ここで述べたことはすべて非侵襲性測定が2型糖尿病/前糖尿病患者にとっての理想的な選択肢になることを示唆しているかもしれませんが、期待が一時的なもので終わることもあります。多くの企業による長年にわたる研究の取り組みにもかかわらず、これまでに市場に登場した非侵襲性デバイスはわずかであり、FDAの承認を得たデバイスは1つしかありません。しかもこのデバイスでさえ、皮膚炎や精度の低さが原因で市場から引き上げられてしまっています。
 
CGMはデジタルヘルスの主な推進要因になる可能性があるものの、デジタルヘルスだけが成長中のCGM業界から大きな影響を受ける業界というわけではありません。IDTechExでは、今後10年間で糖尿病管理デバイス業界に大規模な変化が起き、2032年には業界全体で289億ドル規模に達すると予想しています。調査レポート 「糖尿病管理技術 2022-2032年: 市場、有力企業、見通し」 では業界全体の様々な市場の見通しと、今後10年間でどのように進化していくかを探っている。
 
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