「特許の動向」はリチウムイオン市場を反映

「特許の動向」はリチウムイオン市場を反映
リチウムイオン市場の成長は、リチウムイオン・バッテリーとその構成要素の製造能力構築に多額の投資が行われていることを意味します。リチウムイオン・バッテリーの需要の伸びに伴い、性能面・コスト面を改善することの重要性も高まっています。こうした成長を遂げる一方で、現在のリチウムイオン・バッテリーの性能が限界に達しつつあることも事実であるため、バッテリー技術の改善が利益につながる可能性があります。バッテリーメーカー間の競争は確実に激化しており、そのことがバッテリーの研究開発とイノベーションの保護を行うことの重要性を際立たせています。特許出願と出願書類に見られるトレンドを掘り下げることで、リチウムイオン電池のイノベーションの主要分野、キープレイヤーが好む開発分野、研究開発が行われている場所を洞察するためのツールとして使用することができます。IDTechExの最新レポート『リチウムイオン・バッテリーの特許動向 2020年』では、主要なリチウムイオン電池特許に関して、トピックスとトレンドをレビューしています。
 
IDTechExの調べでは、2010年以降、出願されたリチウムイオン特許の総数は約300%増加しており、リチウムイオン市場の成長を反映しています。この特許出願の増加は、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(NMC)やニッケル酸リチウム(NCA)の正極、リチウム-マンガンリッチ正極、シリコン負極、電解質や電解質添加剤、隔壁、ナノカーボンの使用など、さまざまな技術群で起きています。年間出願件数の大幅な増加は、特に2010年から2015年にかけて見られました。2010年以降、出願件数は対象のすべての分野で増加している一方、リチウムイオン電池におけるナノカーボンの使用に関連する特許件数は、リチウムイオン・バッテリーにおけるグラフェンやカーボンナノチューブの注目度の高まりや、最近の利用状況と相まって、過去10年間で最大の増加を見せています。
 
地理的に見ると、中国の譲受人が特に活発で、過去5~10年間のリチウムイオン関連特許出願の総件数の伸びの大部分を占めています。2011年以降、中国の譲受人が全特許出願の約47%を占めていますが、2001年から2010年の間には17%にとどまっている。これは、リチウムイオン開発における中国のプレーヤーの重要性が高まっていることを反映しており、加工と製造における中国の優位性を超えて、中国が知的財産権においても支配的な地位を占めるようになる可能性があることを示唆しています。
 
China's leading role in the Li-ion industry is not just limited to manufacturing.
 
 
IDTechExの新しい調査レポート『リチウムイオン・バッテリーの特許動向 2020年』では、リチウムイオンのイノベーションの動向に関する知見を紹介するとともに、リチウムイオン、全固体電池、電気自動車市場に関する当社の補完調査を収録しています。
 
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