バッテリーという大家族
2017年11月29日

テクノロジー業界でうわさになっているリチウムイオン電池ですが、そのテーマに関する明確さは不十分で、「バッテリー」という言葉が、時にはリチウムイオンの可逆的な挿入・放出の繰り返しに依拠しているもの(リチウムイオン電池/LIB)を指すものであったり、あるいはその他の互いにほぼ共通点のない各種エネルギー貯蔵技術と同じ意味で使われることも珍しくありません。
LIB の分野の中ですら、複数の電池化学的物質が使用するカソードやアノードの種類、あるいは高出力・高エネルギーなど意図されたアプリケーションで決まるバリエーションと一緒に共存しています。この影響の一例がスマートフォンやその他家庭用電子機器に一般的に用いられているバッテリーとメインバッテリーとの差です。EV用メインバッテリーもスマホ用バッテリーもリチウムイオン技術が用いられていますが、EV用バッテリーは冷却システムや複雑な性能管理装置だけでなく高エネルギー密度のカソード(NMC532以上)にも依拠しています。EVには数百とまではいかなくても数十個のラミネート形セルが使用されています。一部のセルを加速時の電力供給やエネルギー再生に残りのセルをベースロードエネルギーの需要対応に使用することは珍しくありません。このため、EV用バッテリーとそれに付随するサービスが電気自動車の総コストの大部分を占め、関連するバリューチェーンの所有権を保持すべく多くの国々がしのぎを削っています。
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EV用と比べて、スマホ用のバッテリーははるかにシンプルであり、材料の総額に占めるコストの割合はほんのわずかです。しかし営業利益率が低い商品とみなされていることから、その分野のイノベーションは非常に限定的です。スマホ用バッテリーの多くは、自動車業界ではすでに段階的廃止となっているLCOカソードにいまだに依存している状況であり、ユーザーは1日以上持続するバッテリーを搭載したスマホをもつことの意味が解せません。なぜなら、エネルギー密度が高くなれば、その分ユーザーは使用頻度を増やすだけで、結局、1日の終わりにスマホやタブレットを電源に差し込む状況に変わりはないからです。
