有機薄膜太陽電池にとって第二のチャンスとなるか?

Dr Matthew Dyson
再生可能エネルギーが持つ明確な利点と、低コスト、大面積化、エネルギー効率の優れた生産技術が実現する可能性を鑑み、有機半導体を使って新聞紙のようにソーラーパネルを印刷することが、長年にわたって切望されています。しかし、Konarkaなどの企業による試みはありましたが、有機薄膜太陽電池(OPV)パネルの商用化は困難であることがこれまでに実証されています。この主な原因は、シリコンパネルの価格の下落、OPVモジュールの効率が比較的低いこと、そして持続的な日照下において長時間の安定性を十分に確保することが難しいことにありました。
 
2015年頃では、単接合有機太陽電池の効率は11%付近で頭打ちになっていたようであり、この技術は優れたアイデアであると広く考えられてはいましたが、効率と寿命の必要要件を満たすまでには至りませんでした。しかし、最近になって効率は向上しており、OPVの差別化された特性により、建材一体型、屋内型、半透過型の太陽電池などの用途での商用化が可能になっています。

新しい用途に適したOPV

OPVは、柔軟性や薄さ、軽量性、エネルギー効率の高い製造方法といった、プリンテッドエレクトロニクスに関連するすべての利点を備えています。こうした特性によって、OPVは、衣服やバッグへのソーラーパネルの組み込みなど、柔軟で薄膜形態であることが重要となる少量向けの新しい用途にとって非常に理想的なものになっています。しかし、屋上パネルなどの従来の用途では、従来のシリコンPVと比べて効率が低いことや、耐久性が低いと認識されていることにより、これらの特性は相殺されてしまっています。
 
そのため、大量の需要を見込めるOPV用途のうち、最も有望な用途は、波長可変吸収スペクトルというシリコンセルには存在しない特徴を利用するものです。活性の光吸収層を作るのに用いる分子を変更することにより、可視波長において70%近くの透過率を持つ半透過型太陽電池が可能になります。建物には必ず窓ガラスが取り付けられるため、このアプローチにより設置コストが削減されます。一方で、非可視光からエネルギーを得ることで、空調の必要性が緩和されます。ブラジルのOPVメーカーであるSunewは、この用途において急速な成長を遂げています。
 
OPVに適しているもう1つの新しい用途が、屋内型エネルギーハーベスティングです。白色LEDや蛍光灯などの屋内照明の発光スペクトル効率を最大化する光吸収分子を選択できるうえ、光強度の低さによって、望ましくないエネルギー損失の発生が減少します。これらの特徴により、OPVは屋内用途においてシリコンPVに打ち勝つことが可能になります。実際、スウェーデン企業のEpishineは、低電力のIoT用途をターゲットにした、屋内型エネルギーハーベスティング用OPVの商用化に向けて数百万ユーロを調達しました。

技術の移り変わりが複数の利点をもたらす

OPVの効率と安定性の改善には、最近の技術の移り変わりが大きく影響しています。第1世代のOPVセルには、ポリマーとフラーレンの化合物を含む活性の光吸収層があり、材料間でエネルギーレベルが相殺されているため電荷が分離し、電流を生成できるようになっています。フラーレンは受容体として知られており、有機太陽電池にとって不可欠な要素とされていました。しかし現在では、フラーレン系分子は、主に非フラーレン受容体(NFA)に置き換えられています。このような技術の移り変わりは、以下のような複数の利点をもたらします。
 
効率の向上(現在は17%を上回る。図1を参照)
  • 安定性の向上
  • 波長可変性の向上
  • 吸収率の向上
  • より容易な供与体としてのポリマー
  • 印刷適性の向上
  • 受容体の製造簡易化
 
図 1: フラーレン系および非フラーレン系のセルにおける有機太陽電池の効率の動向 

プリンテッドエレクトロニクス材料の分析

IDTechExの新しい調査レポート『プリンテッド・フレキシブル エレクトロニクス材料 2021-2031年: 技術、用途、市場見通し』では、OPVの技術、新しい応用分野について詳しく述べています。 このレポートでは、有機発光ダイオード用材料、トランジスタや光検出器用材料、カーボンナノチューブ、ペロブスカイト、量子ドット、機能性無機インク、導電性接着剤、低温はんだ、導電性インクなど、その他の材料も幅広くカバーしています。当社の市場予測(売上高と数量(kg)の両方)は、上記の各材料カテゴリをカバーしており、関連する場合にはさらにサブカテゴリへの細分化も行っています。この市場は、特殊な機能性材料によって成り立っており、このレポートでは材料の要件、進捗状況、ビジネスチャンスに焦点を当てています。技術分析とインタビューを中心としたアプローチにより、多様なプリンテッドエレクトロニクス市場の偏りのない見通し、ベンチマーク調査、プレーヤーの評価を読者に提供します。
 
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