先端半導体パッケージング:トレンドと成長要因

先端半導体パッケージング:トレンドと成長要因
ムーアの法則の鈍化に伴い、モノリシックICの微細化はさらに複雑で高コストになっており、半導体パッケージング技術の進歩は極めて重要です。当初、部品は個別にパッケージングされ、PCBボードレベルで統合されてきましたが、デバイスが小型化し、より高い処理能力が求められるようになると、部品統合はボードレベルを超えて推進される必要があります。
パッケージレベルの集積化にはじまり、次にウエハーレベルの集積化が登場しました。その接続密度は10倍以上に向上し、実装面積が小さくなったことでサイズに制限のある用途にも適し、性能も優れています。
ウエハーレベルの集積化には、ファンイン、コアファンアウト、高密度ファンアウト、2.5DICおよび3DICパッケージング技術も含まれます。しかし、バンプピッチが100µm以下のものだけが「先端」半導体パッケージング技術とされています。高密度ファンアウト、2.5DIC、3DICパッケージング技術もこれに該当します。
 
各社が提供するパッケージング技術のバンプピッチ。 出典: IDTechEx
 
ハイブリッド型集積方法である2.5Dから垂直方向に集積する完全な3Dへの移行は、データ処理を中心とする将来の用途にとって不可欠であり、本記事でもこの転換に焦点を当てていきます。
2.5Dから3Dへの移行における一番の課題は、バンプピッチを小さくすることです。2.5DICパッケージの場合、バンプピッチのサイズはインターポーザーの材料によって25μmから40μmの間です。3D積層パッケージの場合、バンプの大きさをµm1桁台か、1µm未満のサイズまで微細化する必要があります。TSMCは、N7・N6チップを積層する場合のバンプピッチは9µm、N5チップを積層する場合は6µmであると発表しています。このバンプピッチは、N3チップの積層の際にはさらに微細化されて4.5µmとなると予想されており、将来世代のICではさらに減少していくと思われます。小さなバンプピッチで2つのチップを積層することは大きな課題となります。誘電材料の接合において、精度の高い位置合わせを、とりわけ低温で実現する必要があるためです。加えて、接合工程中に銅充填材があふれないよう適切にコントロールすることも必要です。また、バンプピッチの小さいパッケージでは熱管理が重要となり、伝熱性の向上を実現するパッケージ設計や液冷技術の可能性についても検討する必要があります。
 
成長の原動力
IDTechExは、先端半導体パッケージの主な応用分野として、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)アプリケーション/データセンター、通信ネットワーク、自動運転車、家電の4つを挙げています。しかしながら、各用途にはそれぞれ特有の要求基準があり、必要とする先端半導体パッケージング技術も異なります。
HPCアプリケーション/データセンターの場合は、優れたデータ処理能力を提供することが優先事項であり、コストは上がるものの、シリコンインターポーザやシリコンブリッジを使用する2.5DIC技術が選択肢として好まれています。対照的に、スマートフォンやスマートウォッチなどの家電製品では小型化やコストが重視されており、有機系のパッケージング技術が一番の選択肢となっています。
5G以降の通信では、伝送損失が重要課題です。そのため、アンテナをRFICチップに近づけ、伝送損失を最小限に抑えるのに先端パッケージング技術が使用されます。「アンテナ・イン・パッケージ(AiP)」がミリ波帯5Gにとって現在最も現実味のある選択肢となっている一方で、「アンテナ・オン・チップ/ウエハー(AoP)」はコスト削減に向けた開発に注力している段階です。
将来の自動運転車においては、CPUとその他部品(HBMや信頼性の高い電力供給システムなど)のヘテロジニアス・インテグレーション(異種機能集積化)により、先端半導体パッケージングとイノベーションの新たな機会が生まれるでしょう。
データ処理の拡大は、これらすべての用途に共通する成長要因です。しかしながら、要求基準は応用分野ごとに異なるため、各特有のニーズに対応するために先端半導体パッケージング技術が使用されています。
 
IDTechExの調査レポート『先端半導体パッケージング 2023-2033年』は、最新の先端半導体パッケージング技術の開発トレンド、有力企業分析、市場概要を網羅しています。これに加え、このレポートは半導体業界全般に関する徹底した分析を行っています。IDTechEx は読者に対し、先端半導体パッケージングがどのように主要分野に影響を及ぼし、将来どうなっていくのかの知見を提供します。ぜひ、IDTechExの調査レポートをご活用ください。
 
問合せ先
アイディーテックエックス株式会社
東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル21階
担当:村越美和子  m.murakoshi@idtechex.com
電話 : 03-3216-7209
 
IDTechExは、調査、コンサルタント、サブスクリプションを通して、戦略的なビジネス上の意思決定をサポートし、先進技術からの収益を支援しています。IDTechExの調査およびコンサルティングの詳細については、IDTechExの日本法人、アイディーテックエックス株式会社まで、お問い合わせください。