"デジタルヘルス"_AI:診断における最新技術と商業化の状況

"デジタルヘルス"_AI:診断における最新技術と商業化の状況

人工知能(AI)が医療診断に革命を起こしています。 最新技術では、ソフトウェアで皮膚、眼、耳、肺、胸などに作用するさまざまな疾患に対する高速かつ正確な画像診断を実現できることがすでに明らかになっています。これらの技術的進歩は、診断とトリアージのプロセスを自動化するのに役立ち、その結果、特に緊急の場合の要再検プロセスをスピードアップさせる工程を促進し、専門家のリソースを解放し、スキルレベルに関係なくどこでも最高の精度を提供し、プロセスをより広く利用可能にします。これは革新的な進歩であり、広範囲に影響が及びます。当然ながら、多くのイノベーターが、これらの進歩を利用しようと奮闘しています。
 
IDTechExのデジタルヘルス関連調査レポート 『デジタルヘルスと人工知能(AI) 2020:トレンド、機会、および展望』 ではこのトレンドについて調査しました。本調査レポートでは、健康分野におけるデジタルと人工知能(AI)の活用に向けたトレンドを考察しています。 皮膚、眼、心臓、胸、脳、肺、血液、遺伝性疾患などに作用するさまざまな病気をAIで診断するのに活用されている最新技術を概観しています。使用されるデータソースは、ダーモスコピー画像、眼底画像、OCT、CT、CTA、心エコー図、心電図、マンモグラフィー、病理スライド、携帯電話の低解像度写真など、多岐にわたります。そこで本レポートでは、これらの技術進歩を利用して診断・トリアージのプロセスの自動化を模索している企業を特定して特集します。
 
さらに、本レポートでは、デジタルヘルスの動向をより一般的に考察しています。エコシステムの詳細な概要を提供し、以下のようなデジタルヘルスのあらゆる側面における主要なトレンド、機会、展望についての洞察を提供しています。遠隔医療(テレヘルスとテレメディスン)、遠隔患者モニタリング、デジタル療法/デジタル医薬品/医療機器としてのソフトウェア(SaMD)、糖尿病治療、消費者用遺伝子検査、スマートホーム介護、AI診断などがあります。
画期的な技術
かなりの資金がスタートアップ企業や大企業の研究開発チームに流れており、RGB画像からCTスキャン、ECG信号、マンモグラム、病理スライドに至るまでの多数のデータソースを基にさまざまな病気の検出・分類を促進・改善するためのAIツールの開発が行われています。最新技術では、ソフトウェアでこれらの作業を、訓練を受けた専門家よりも迅速かつ低コストで、そしてたいていはより正確に行えることが実証されています。
 
これは重要な進歩であり、うまくいけば、広範囲に影響が及ぶ可能性があります。診断がより広い範囲で利用できるようになり、医療関係者の時間が解放され、現在のAIベースの自動化では難しい、より複雑な業務に集中できるようになります。このテクノロジーは、今日では躍進を遂げていますが、テクノロジーはパズルの一部にすぎず、そうしたソフトウェアツールが広く採用される前に、その他の多くの課題を克服する必要があります。しかしながら、進むべき方向は明らかです。
 
このトレンドは現在勢いを増しています。なぜなら、(a)デジタル化された医療データソースを利用できる機会が急速に増え、優れたアルゴリズム学習材料を提供しており、(b)ディープニューラルネットワークで特別に学習したAIアルゴリズムの進歩によってソフトウェアがこれまでできなかったタスクに取り組めるようになっているからです。
 
私たちの調査レポート 『デジタルヘルスと人工知能(AI) 2020:トレンド、機会、および展望』 では、このような進歩の多くを概説し、それぞれの機会を追求している主要企業を特定しています。この記事の残りの部分では、目の病気と皮膚の病気という2つの具体的なケースについて簡単に説明します。
眼の病気
糖尿病性網膜症は、眼に影響を及ぼす合併症です。インドの研究者たちは最近、ソフトウェアが網膜眼底画像を正確に解釈することにより、大規模なスクリーニングプログラムで糖尿病性網膜症を検知できるようになることを明らかにしました。このソフトウェアは、複数の二項分類を実行するように学習させてあり、患者ごとにリスクレベルを割り当てます。そのアルゴリズムは、計14万点を超える画像で学習させ、調整が行われました。このマシンは、訓練を受けた専門家がソフトウェアを使わずに達成した感度・選択性のレベルに拮抗し、それを凌駕しました。本ソフトウェアは、感度と選択性で、それぞれ92.1%と95.2%を達成しました。
 
当然のことながら、ここには強力なビジネスケースがあり、多くの企業がそれを利用しようとしています。その一例が、米国アイオワ州を拠点とするIDx社で、糖尿病性網膜症を検出するアルゴリズムを設計・開発しています。同社のAIシステムは、感度と特異度で、それぞれ87%と90%を達成しています。早くも2017年には、全米の10カ所で900名の患者を対象にテストされました。
 
眼科医院で行う非常に洞察力に優れた検査が、OCT(光干渉断層計)であり、眼の奥の3Dマップを高解像度(5um)で作成するものです。その解読には専門家による分析が必要となります。OCTは現在、最も一般的な画像検査法の1つであり、米国のメディケア人口において、2014年だけで535万件のOCTスキャンが実施されました。その結果、処理とトリアージが滞っており、こうした回避が可能なはずの遅延は、緊急を要する場合に有害となる可能性があります。
 
ディープマインド (Google)により、3DのOCT画像を基にトリアージのプロセスを自動化できるアルゴリズムが実証されました。このアルゴリズム設計には、独自の特徴がいくつかあります。この設計は次の2つの段階で構成されています。(1)領域分割ネットワーク (2)分類ネットワーク。1つ目のネットワークは、ラベル付けした組織の領域分割マップを出力します。その領域分割されたマップを基に、2つ目のネットワークが眼を脅かす50以上の眼疾患に対する診断確率を出力し、要再検(refer)を提案します。最初の部分は、少しずつ手動で領域分割された877点の画像と、診断が確定し要再検と判断された14,884点の学習用組織マップからなる2つ目のネットワークを使って学習が行われました。このデータベースは、世界でも最もよく整備された眼の医療用データベースの1つとなっています。
 
この2段階設計は、OCT機器や画像の鮮明度が変更された場合に、最初の部分のみを再学習させるだけで済むという点で有益です。このことは、このアルゴリズムをより普遍的に適用できるようにするのに役立つでしょう。エンドツーエンドの学習ネットワークでは、ネットワーク全体を再学習させる必要があります。
 
ディープマインドは、AIが要再検を提案する際のパフォーマンスが、視力を脅かすさまざまな網膜疾患を扱う専門家のパフォーマンスに拮抗するか、それを超えることを実証しました。要再検の判断の誤り率は5.5%であり、これは専門家がOCTに加えて眼底画像やカルテを用いて判断した場合の精度を上回るか、それに匹敵するものです。さらにこのAIは、緊急の症例に対し要再検を提示する際の選択性と感度の測定において、すべての網膜専門家と検眼医を凌駕しています。これが第一歩なのは明らかですが、真に道を切り拓く重要な一歩です。
皮膚の病気
ハイデルベルクの研究者は、学習済みのディープニューラルネットワーク(この場合はGoogleのInception-v4 CNNアーキテクチャベース)がダーモスコピー画像を基にメラノーマを識別できることをすでに実証しています。研究者らは、感度が人間の臨床医に相当するレベルに設定されている場合、ソフトウェアの方が人間の臨床医より10%高い特異度を達成することを明らかにしました。この装置が、特異度63.8%で95%の高い感度を達成することができます。
 
これは診断が自動化できることを示す有望な結果です。実際、複数の企業ががん疾患の検出を自動化しています。その一例がオランダのSkinVisionで、比較的低品質なスマートフォンの画像に基づいて皮膚がんのリスク評価を提供しようとしています。同社は、複数の国の31,000人のユーザーから取得した13万点以上の画像を使用してアルゴリズムに学習をさせました。学習用画像のリスクランキングは、皮膚科医によって注釈が付けられました。研究により、このアルゴリズムが(前)悪性疾患の検知において、78.3%の特異度と共に95.1%の感度を叩き出せることが明らかになりました。これらは良い結果ではありますが、一部の患者に不必要に警告を発してしまう可能性があるため、特異度は改善する必要があるかもしれません。
 
ビジネスケースはがん検診だけではありません。Haut.AIはエストニアの企業であり、皮膚動態を追跡して助言を行うのに画像を使用することを提案しています。その一例として、同社のAIは、匿名化された目尻の画像だけを使用して、実年齢を簡単かつ正確に予測することが可能です。このネットワークは、正しい実年齢をラベル付けした8414点の匿名化された目尻の高解像度画像で学習を行いました。ある特定の集団の20歳から80歳の範囲内にいる人々の場合、このマシンの平均絶対誤差は2.3年に達します。
 
この分野で活躍しているスタートアップ企業は、当然ながらもっとたくさんあります。健康診断に力を入れている企業もあれば、AIを使ってオーダーメイドのスキンケアや製品の紹介をしようとしている企業もあります。それぞれのターゲットとする機能ごとに、市場への道筋や規制上の障壁は当然ながら異なるでしょう。
 
この分野について、さらに詳しい情報は、IDTechExの調査レポート 『デジタルヘルスと人工知能(AI) 2020:トレンド、機会、および展望』 をご覧ください。また、このような技術の進歩を事業化しようとする様々な企業の動向を明らかにし、考察しています。さらに、本レポートでは、デジタルヘルスの動向をより、一般的に考察しています。エコシステムの詳細な概要を提供し、デジタルヘルスのあらゆる側面における主要なトレンド、機会、展望についての洞察を提供しています。テレヘルスと遠隔医療、遠隔患者モニタリング、デジタル療法/デジタル医薬品/医療機器としてのソフトウェア(SaMD)、糖尿病治療、消費者用遺伝子検査、スマートホーム介護、AI診断などです。
 
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