自動化技術で『垂直農場』の収益性向上へ
2022年6月6日
IDTechExはこのほど、近年投資家の注目を集めている垂直農法の技術や市場要因に関する市場調査レポート『垂直農法 2022-2032』を発行しました。垂直農法業界は2021年に10億ドルを超える資金を調達しました。これは過去最高額であり、2018年から2019年にかけて行われた資金調達の総額を上回っています。
垂直農法の支持者は、垂直農法により世界の食糧生産に革命が起きる可能性があると主張しています。人口の多い都心のすぐ隣で作物の栽培を可能にすることにより、フードマイレージを実質的にゼロにすることができるというのです。これまでの農業市場は、複雑なことで知られているサプライチェーンが存在しており、果物や野菜は消費者の元に届くまでに何千マイルも移動することが珍しくありません。近年、サプライチェーンにパンデミックや地政学的な問題によって混乱が生じていることは、このシステムの欠陥を浮き彫りにしているにすぎません。垂直農法は現地生産に向かう消費者の流れが広がるのを利用しながら、一極集中化の進んだ生鮮青果物のモデルを破壊することによって、これらの問題を克服するのに役立つ可能性があります。他にも原油価格上昇や耕地減少の影響など、考えられる垂直農法業界の推進要因について、地域別に見た業界の推進要因の詳細な分析と併せて、IDTechExのレポート『垂直農法 2022-2032』で考察しています。
しかし、この産業は多くの課題を抱えています。そのうちの一つが、人の手による作業の多さです。作物のモニタリングからシステムの保守まで、農場の多くの局面で人の介入が必要であり、その労働量は設備の規模に応じて増加する一方なのです。垂直農場の多くは輸送コンテナなど、作物栽培用ではない既存の設備を使って行われるため、運用上の課題が生じ、多くの人手が必要となる可能性があります。結果としてランニングコストが上昇し、垂直農法による農産物にありがちな高価格の一因となっています。
IDTechExは、自動化がこれらのコストを削減するのに役立つ主要な技術分野と考えています。作物や栽培システムの監視に広範なセンサーネットワークを使用することで、垂直農園はオペレーターが効率的に問題を特定できるようになり、ワークフローを最適化することができます。これで作業の複雑さが軽減され、必要な人手を減らせるようになるでしょう。また、作業員も、作物の収穫や保守業務など、自動化が難しいとされている作業に集中できるようになるでしょう。
自動化機能は6つのレベルに分類できる。レベルが上がるにつれて達成への難易度が上がる。現状ではほとんどの農場の自動化はレベル2相当。 Source: IDTechEx, 『垂直農法 2022-2032』
業界をリードする企業は、自動化システムによってもたらされる価値に注目しており、一部の大手垂直農場では自動化の拡充が図られつつあります。大手のエアロファームズは 、2021年にノキアベル研究所と提携し、作物の自動モニタリング機能を自社の垂直農場に導入しました。またニューヨークを拠点とするバワリーファーミングも、2022年に収穫ロボットの開発企業Trapticを買収することで、自動化レベル3への移行を図りました。
自動化は垂直農法を牽引する大きな可能性を秘めているものの、それが業界発展のための唯一の選択肢というわけでは決してありません。IDTechExのレポート『垂直農法 2022-2032』では、無土壌栽培、LED照明を使用した人工光プラットフォーム、環境制御システム、環境モニタリング用センサーなど、垂直農法産業の成功につながる可能性のある主要技術分野について取り上げています。本レポートでは、垂直農法の採算性についても従来の農業と比較しながら考察しており、この業界やより広いバリューチェーンにいる企業にとっての機会についても解説しています。また、80エーカーズ、クロップワンホールディングス、ジョーンズ・フード・カンパニーの幹部を含む、当該セクターの有力企業17社への直接取材から得た情報や、30社以上の企業プロフィールに基づき、垂直農法業界の状況に関する考察を提供しています。
さらに、垂直農法産業の将来性を理解するために、ビジネスモデル別、地域別の10年間の市場予測を掲載しています。北米、欧州、日本、中国、その他の地域における垂直農法による農産物の個別予測に加え、コンテナファームやその他のターンキー垂直農法の予測も行っています。
垂直農法業界に関してより深く理解するために、IDTechEx調査レポート『垂直農法 2022-2032』をご活用ください。
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