自律型MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)は2、3年内に実現か

自律型MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)は2、3年内に実現か

自律型MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)は2、3年内に実現か
「自動運転車は2年後には登場する」というのは、ここ5年ほどの業界の定型文です。今では自動運転タクシーの配車サービスが3年以内に登場するのを期待できるだけの十分な根拠があります。では、この一年で自動運転の世界に起きた、このような確信を裏付ける出来事とは何でしょうか。実際、いくつかあります。昨年一年間の大きな進展をブレークダウンすると、新型コロナウイルスのパンデミックにより自動運転試験が次のフェーズに移行したこと、前年比2倍以上の速さで技術の進歩が進んでいること、センサーの低価格化と性能向上が進んだこと、(非常に限られた条件下ではあるものの)真の自動運転サービスが実現したことなどが挙げられます。5月31日の自動運転車デーを記念し、本記事ではその進捗状況をより詳細に検証します。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスのパンデミックは、この1年ほどの間に世界に壊滅的な影響を与えたことは間違いありません。しかし、逆境の中にこそチャンスがあるということはよくあることで、それが自動運転にも当てはまります。パンデミック発生当初、セーフティードライバーとバックアップドライバーを乗せて自動運転サービスの試験を行っていた企業(Waymo、Cruise、Baidu、Ponyなど)は試験の中止を余儀なくされました。乗客とセーフティードライバーとの社会的接触がパンデミック拡大の要因になることが懸念されたからです。しかし、そこに機会がありました。試験を継続する上で最も安全な方法は、セーフティードライバーを同乗させないことであったようです。
 
2020年7月、AutoXはMaaS企業として初めて無人運転試験を行うライセンスを取得し、カリフォルニア州で無人車両を運行する許可を得ました。これは世界初のことです。また、この新しいライセンスでは、時速45マイル以下の速度制限の道路に限定して、サンノゼで完全自動運転サービスを運行することが許可されました。これに続き、カリフォルニア州では他の6社が同様のライセンスを取得したほか、中国の一部地域でも同様のライセンスを取得した企業がありました。
 
新型コロナウイルスは、セーフティードライバーを搭乗させた試験から完全自動運転試験に移行する上で必要なきっかけであったのかもしれません。業界が移行に対して準備不足だったと言っているわけではありませんが、パンデミックが規制当局に対する圧力となり、次のステップへの移行を後押ししたのは確かです。

技術の成熟度

MaaS事業者各社は、2015年からカリフォルニア州で自律型ソリューションの試験を行っており、当初から自社システムの性能に関するレポートを公開していますが、それらのデータの中で、最も重要な成果は、離脱当たり走行距離(Miles per Disengagement)に関するものです。離脱当たり走行距離とは、自動運転車が人間の介入なしに移動できる平均距離を表したものです。IDTechExがこれらのデータを分析したところ、離脱当たり走行距離は飛躍的に延びており、毎年前年比で2倍以上になっていることが分かりました。IDTechExでは、この伸び率をもとに、自動運転車が3年以内に平均的なアメリカ人の運転手よりも安全に走行できるようになると予測しています。さらにその先の予測においては、25年以内に自動運転車が、米国内の全車両と同じ年間走行距離を一度も離脱することなく移動できるようになるものと考えています。
 
都市化が比較的進んでいる地域での試験や費用対効果の高いセンサーユニットの確保など、乗り越えるべき障壁は依然として存在しています。WaymoとCruiseは最近、サンフランシスコの都心部で試験実施の許可を得ており、同市ではWaymoを支援する予定です。
 
Figure 1. IDTechEx analysis of California DMV and NHTSA data. Source: IDTechEx

センサーの進化と低価格化

アップルがLiDARの価格を下げる
 
Appleは常に派手な宣伝広告を打ち出していますが、自動運転に関しても同じで、ことセンサーに関しては意図しないところで多大なる影響を及ぼしています。2020年11月、Appleは新機能搭載の新機種のラインナップを発表しました。その新機能の1つがiPhone 12 ProおよびiPad ProへのLiDAR(ライダー)の搭載でした。Appleでは、LiDARの測距機能を使用して、オートフォーカスの距離計測の改良や拡張現実機能の改善を行っています。一方、マスマーケットでLiDARが採用されたことにより、車載向けLiDARに応用可能な主要部品の価格が低下するという波及効果が見られます。Velodyneによれば、同社のVelarray H800 LiDARユニットの販売価格は500ドル未満になる見込みであり、数年前のLiDAR販売価格がおよそ1万ドル、またそれ以前はおよそ7万5000ドルであったことを考えると、大きな前進です。最新のLiDAR技術の詳細について、IDTechExサブスクリプションサービスユーザーの方には、別途PortalサイトのADAS Sensors 2021のイベントレポートで最新記事をご紹介しています。
 
LiDARは、自動運転車にとって不可欠なセンサーであり、カメラのように対象物の選別に十分な画質に加えて、レーダーの夜間性能と測距能力も併せ持ちます。これらの性能は、カメラの光量不足とレーダーの解像度不足に悩まされる夜間においては特に重要です。現在IDTechExが知るところでは7つのLiDARを搭載したセンサーユニットがあり、MaaS対応車両の量産には、LiDARを適正価格で調達できることが不可欠です。LiDARに関してさらに詳しくは、調査レポート 「LiDAR(ライダー)2020-2030年」 でご確認ください。
 
画像処理レーダーの市販化
 
センサーの大きな進歩が期待できる別の領域は、画像処理レーダーです。現行のレーダーには、カメラのピクセルに似た12個の仮想チャネルがあり、レーダーは対象物を検知してその距離と速度を返すことができます。これをカメラから得た情報と組み合わせると極めて強力なものになります。システムが対象物(他の車両など)を検知し、カメラからの豊富なデータを使用してその対象物を分類することで、レーダーから得た正確な速度と距離の情報を付加することができるからです。しかしながら、カメラが正しく機能していない場合(例えば、夜間、直射日光、濃霧など)、システムでは、xの距離にある対象物が時速yマイルで移動しているという情報しか得られません。これだけでは、自律走行を行うには明らかに不十分です。なぜなら、検知した対象物が、橋体や停車中の車両である可能性があるからです。
 
そこで画像処理レーダーの登場です。コンチネンタルのARS540のような画像処理レーダーには、およそ200個の仮想チャネルがあり、上記のものの識別が可能です。一方、Arbeは、2000個の仮想チャネルを搭載したレーダーを市場に投入しようとしています。Arbeは現在、スタートアップの段階にありますが、自動運転のリーディング企業であるAutoXに40万ユニットを供給することで既に合意しています。インテルの子会社であるモービルアイも、2000個の仮想チャネルを搭載したレーダーを市場に投入する予定であると発表していますが、あと数年はかかる見込みです。車載用レーダーに関してさらに詳しくは、調査レポート「車載用レーダー 2020-2040年」でご確認ください。
 
センサーのコストと性能におけるこれらの進歩を見ると、自動運転車の性能が向上しているという確信が少し高まります。

遂に、ここまで到達です

完全自動運転サービスを利用して、有料で無人自動運転車に目的地まで送迎してもらうことが既に可能になっています。これはBaiduが提供しているサービスで、目的地は北京首鋼園区の周辺にある8か所の停留所のうちのいずれかに限られます。確かに10台の車両しか運行していない限られた例ではありますが、実際に運行まで行っており、わずかながら、まだ商用化されていない他の自動運転サービスの先を行っています。例えば、AutoXは最近、中国の深圳市で100日間にわたる連続無人運転試験に成功しています。また、カリフォルニア州と近隣の州には無人MaaSの試験を行っている企業が8社あり、その多くが限られた地域内での完全自動運転サービスを提供しています。
 
次のステップとしては、現在の試験実施地域での運行を商業化することが考えられます。その次は、10年前にUberが一都市ずつ拡大したのと同じように、郊外から都市へ、そこからさらに多くの都市へと段階的に展開していくことです。複数のMaaS事業者が、2023年にはサービス展開を開始すると述べていますが、IDTechExの最近の分析によれば、それほど漠然とした話でもないようです。
 
IDTechExでは、MaaSと自動運転について精力的に調査を進めており、近日中にこの分野に関する包括的な調査レポートを新たに発表する予定です。それまでは、サブスクリプションサービスご利用者には、Portalサイト内で、特集記事や、企業概要、ウェビナーなどが随時更新されますので、ぜひ、ご利用ください。
 
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