バッテリー技術は多様化の時代へ

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IDTechExでは、リチウムを使用しない定置型バッテリー市場が2022~2032年に年平均61%の成長を遂げると予測

これまでリチウムイオン電池は車両の電動化や新しい定置型エネルギー貯蔵システムにおいて定番の技術となっていました。しかしながらリチウムイオン生産のサプライチェーンに対しては、2020年代後半にも供給ボトルネックが起こりそうなことから、ますます厳しい目が注がれています。そのためリチウム、コバルト、ニッケルなどに依存しない種類の電池に潜在的な機会が生まれています。また長期の定置型貯蔵により適し、より安価な貯蔵ソリューションが求められていることも、これまで主流ではなかったエネルギー貯蔵技術にとってのもう一つの機会となっています。
 
特にナトリウムイオンは電気自動車(EV)市場に適している可能性がありますが、今までとは異なる種類の電池の展開はEVとバッテリー式電気自動車のセグメント以外で特に顕著になるでしょう。これを受けてIDTechExでは、最新レポート「先進的リチウムイオンおよび次世代バッテリー2022-2032年: 技術、有力企業、トレンド、市場」の中で定置式貯蔵用途におけるリチウムを使わない電池の市場が2022年から2032年の間に61%の年平均成長率で成長すると予測しています。
 
リチウムイオンはここ5~6年にわたり、(揚水発電以外の)主流の貯蔵技術でしたが、長期のエネルギー貯蔵には、(周波数規制やピークシェービングなどから生まれる)より短期的かつ価値の高い収益源を利用せずに済み、経済的にエネルギーを貯蓄できるような、より安価なシステムが必要です。このため亜鉛、ナトリウム、鉄を利用する電池の開発だけでなく、より容易に生産を拡大できるフロー電池の設計も進められるようになりました。2025年までにナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池、亜鉛系の二次電池、ナトリウムイオン電池といったリチウム非使用の電池が、GWh換算で定置型貯蔵市場(揚水発電を除く)の10%以上を占めることになるとIDTechExでは予測しています。
Share of stationary battery storage deployment. Source: IDTechEx.
しかしながら、技術の多様化はリチウムの代替物質だけでなく、リチウムイオン技術そのものにも起こるでしょう。負極に関してはシリコンやリチウム金属の技術開発が進むと、最終的にグラファイトから需要が移る可能性があります。耐用寿命を維持することの難しさは克服されつつあり、エネルギー密度の大幅な向上が約束されたことで、これらの材料をリチウムイオン負極として使用することについて、大きく喧伝されるとともに、大きな関心が生まれています。このことはシリコンやリチウム金属の技術(固体電解質と併用する場合が多い)の商用化に向けて取り組んでいるスタートアップ企業の数の多さからもわかります。シリコン負極材料の需要は2022年から2032年にかけて45.2%の年平均成長率で成長するとIDTechExでは予測しています。
Number of start-ups in technology area. Source: IDTechEx.
 
負極の開発が主に性能やエネルギー密度によって後押しされるのに対し、コストや供給のリスクを軽減することが、正極の開発に動機をもたらす上で重要な役割を担います。コバルト、さらにはニッケルからの脱却を望む声は、これら重要材料の供給ボトルネックが生じる恐れがあることに端を発しています。そのためリン酸鉄リチウム(LFP)は、市場シェアを取り戻して新たな領域へと進出することが期待されています。一方、リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)とスピネル型ニッケルマンガン酸化物(LNMO)が商用化されることで、リチウムイオンセルに使われる材料にはさらなる多様性が生まれることになります。
 
Nano Oneや6K Energyといった企業は材料や金属の割合だけでなく、スループットの向上やエネルギー消費と廃棄物の削減に寄与する正極合成方法も開発しています。この領域はリチウムイオンのコストを抑え続け、環境性能を最適化する上で重要となります。
 
IDTechExの新しい調査レポート「先進的リチウムイオンおよび次世代バッテリー2022-2032年: 技術、有力企業、トレンド、市場」では、シリコンやリチウム金属を使用する負極、固体電解質、リチウム硫黄電池、ナトリウムイオン電池、レドックスフロー電池など、とりわけ先進的な電池技術を取り上げるとともに、技術、企業、市場の発展について解説しています。
 
 
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