薄膜太陽電池の台頭:シリコンの限界を超えて

Dr Isabel Al-Dhahir
シリコンが主流となっている分野の陰で、他の太陽電池(PV)技術が少しずつ注目を集めています。屋内環境発電や建材一体型太陽電池といった太陽電池の新たな用途において「薄膜」型の代替品が成長を遂げるためには、一定の要件があります。薄膜太陽電池には、従来のシリコン太陽電池よりも軽量で、屋内での光変換効率が高く、製造が容易で、コスト低減の可能性があるなど、固有の利点が複数あります。特に注目すべき市場機会は、IoT機器への電力供給における薄膜太陽電池の役割に関するものです。この市場は、家電製品のスマート化が進むことによって数十億規模に達すると見込まれています。

先端市場に進出する太陽電池

薄膜太陽電池は今後数年の間に勢いを増していくと見られており、市場は2033年までに61億ドル規模に成長する見込みです。効率の向上や製造工程の低コスト化や効率化など、薄膜セクターでは大きな進歩があり、硬さや容積、重量などの理由で従来のシリコン太陽電池では適さないような新しい用途も開発されています。これらの用途には、パネルを建物の側面に取り付けた建材一体型太陽電池などがあります。薄膜太陽電池の中には、半透明で大幅な軽量化が可能なことから、外観上目立たず、窓に設置するのに適したものもあります。
 
その他の新しい用途には、小型の電源内蔵式電子機器や、IoT(モノのインターネット)のセクター向けなどがあります。IoTは、「スマート」電子機器の日常生活への普及が進むにつれて今後数年間で大きく成長すると見込まれています。軽量な薄膜ミニモジュールは、そういった機器への電力供給に使用できるため、バッテリーや大掛かりな配線に代わる、より安価でより耐用期間の長い代替品としての役割を果たす可能性があります。温度センサー、湿度センサー、モーションセンサー、セキュリティセンサーといった多くの家電製品は、今後10年間でスマート化が進み、より高度な機能性を実現するためにデータをクラウドに送信できるようになるでしょう。これは、しばしばIoT(モノのインターネット)と呼ばれるもので、薄膜太陽電池にとって非常に大きな機会です。IDTechExの最新調査レポート『薄膜太陽電池(シリコンの先へ) 2023-2033年』では、 薄膜太陽電池の幅広い可能性について解説しています。
 
薄膜太陽電池によってユビキタスな太陽光発電技術が可能に。 Source: IDTechEx

薄膜市場で何が主流になるか?

現在の薄膜市場ではテルル化カドミウム(CdTe)が主流であり、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)がそれに次いでいます。CdTeは米国で最も普及しており、発電所規模の太陽電池の全電力の40%にCdTeが使用されています。希少元素であるテルルの使用に関しての懸念はあるものの、CdTe市場は、堅調な投資と、現在すでに効果が出ているリサイクルへの取り組みにより、その座を守り続けると見られています。
 
その一方でCIGS技術は、最大手のメーカーが2022年6月に市場から撤退するなど、ビジネスの行き詰まりに苦しんでいます。CIGSは、今後数年間でペロブスカイト太陽電池に追い抜かれると予想されています。ペロブスカイト太陽電池は、まだ若い技術でありながら、効率性においてはシリコン太陽電池という数十年にわたって研究が行われてきた技術とすでに肩を並べるなど、わずか数年で著しい効率の向上を見せています。ペロブスカイト太陽電池は、電力密度の高い屋外用途だけでなく、屋内環境発電や小型電子機器への電力供給にも最適です。
 
有機太陽電池と色素増感太陽電池が競合品であり、こちらは屋外用途・屋内用途の両方で小規模ながらすでに商用化されています。有機太陽電池と色素増感太陽電池は、通常5年という短い寿命を考えると、15年以上の耐用寿命が見込まれる大面積の屋外環境発電ユニットよりも、使用期間の短い電子機器に電力を供給する用途の方が適しています。こうした理由から、用途範囲は限られているのです。

見通し

各国や各業界がネットゼロの達成に向けて競い合う中、世界のエネルギー源の脱炭素化が猛烈な勢いで進められています。シリコン太陽電池は、消費者にとって手軽な、高効率を実現する製品ですが、重量やサイズ、硬さ、複雑な製造工程のためにその用途は限定的です。薄膜型の代替品には、これらの限界を克服し、建材一体型太陽電池や屋内環境発電などの新しい用途に対応するための利点が数多くあります。
 
薄膜太陽電池に関する更なる理解には、IDTechExの最新調査レポート『薄膜太陽電池(シリコンの先へ) 2023-2033年』をご活用ください。
 
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