CPO(コ・パッケージド・オプティクス)競争:エヌビディアとブロードコムの戦略的アプローチ

CPO(コ・パッケージド・オプティクス)競争:エヌビディアとブロードコムの戦略的アプローチ
ここ10年間で、スイッチ帯域幅はハイパースケールクラウドや分散ワークロードの拡大とともに向上してきましたが、現在はAIがこの傾向を大きく加速させています。この成長は、高速のプラグ脱着式光トランシーバーによって支えられてきました。しかし、既存のQSFPやOSFPといったフォームファクタ内での拡張は、コネクタ密度、フロントパネル帯域、特に消費電力といった制約により、ますます困難になっています。
 
1.6T光トランシーバー以降を見据えると、スイッチI/Oは112Gから224Gの電気的SerDesへ移行する必要があります。このデータレートでは、パッケージ内、PCB配線、コネクタを含む電気チャネルの損失が極めて大きくなり、等化が困難になります。その結果、SerDesの消費電力が急増します。
 
コ・パッケージド・オプティクス(CPO)は、この制約に対する解決策として、スイッチASICと同一パッケージ内に光エンジンを配置します。これにより、スイッチダイと光部の間の電気経路が大幅に短縮され、等化の必要性が低減し、シグナル・インテグリティ(信号の品質)が向上します。また、フロントパネルの密度や熱設計の制約も緩和されます。こうした理由により、CPOは次世代スイッチングアーキテクチャとして大きな注目を集めています。
 
CPOへの移行は、半導体ベンダー間の競争構造にも影響を与えています。本記事では、エヌビディアとブロードコムのそれぞれのアプローチを考察します。詳細はIDTechExの最新調査レポート「CPO(コ・パッケージド・オプティクス) 2026-2036年:技術、市場、予測」でご覧いただけます。
 
 
エヌビディア vs ブロードコム:AIインフラーとCPO技術の戦略的比較。出典:IDTechEx
 
エヌビディア vs ブロードコム
 
エヌビディアは、高性能コンピューティングを起点としてAIインフラにおける地位を確立しています。同社はGPU分野の世界的リーダーであり、アクセラレータ、ネットワーク、機械学習やシミュレーション用ソフトウェアプラットフォームを統合することでAIインフラへと展開しています。そのプラットフォームは、特にCUDAおよびNVLinkによるハードウェアとソフトウェアの密接な統合が特徴であり、これらの連携によってアクセラレータ間の通信を可能にしています。
 
一方、ブロードコムはエコシステム内で異なる立ち位置にあります。同社はネットワークASICの市場のリーダーであり、メタ、グーグル、アマゾンなどのハイパースケーラーにカスタムASICを提供しています。その製品は、大規模データセンターネットワークのスイッチング基盤を構成しています。
 
スケールアップ ネットワーク
 
スケールアップ領域では、エヌビディアが、システム内のアクセラレータ間の密接なNVLinkによって優位性を確立しています。NVLink は短距離の銅配線を用いた電気インターコネクトであり、高帯域・低遅延のGPU間通信を実現し、複数GPU間でのメモリ共有を可能にします。CUDAと組み合わせることで、インターコネクト、メモリ階層、ソフトウェアスタックが最適化され、複数GPUを単一の論理的計算資源として動作させることができます。
 
ブロードコムはこの領域に対し、イーサネットの拡張で対応しています。同社のTomahawk Ultraプラットフォームは、スケールアップ・イーサネット(SUE)構想の一部であり、従来はアクセラレータ間で銅配線が担っていた領域にイーサネット接続を拡張することを目的としています。このプラットフォームはTSMCの5nmプロセス技術を用いて製造されており、ブロードコムによると、NVLinkスイッチ構成と比較してより多くのチップを直接接続できるようになるとしており、チップ間接続における代替手段としてイーサネットを位置付けています。
 
スケールアウト ネットワーク
 
スケールアウトのインフラでは、エヌビディアはクラスタ接続向けの光ネットワーク製品を展開しています。同社は、分散型AIクラスタを対象としたQuantum-X Photonics InfiniBandスイッチおよびSpectrum-X Photonics Ethernetスイッチを発表しています
 
ブロードコムは引き続きイーサネット・スイッチングに注力しています。Tomahawk 6およびJericho 4プラットフォームは、大規模分散クラスタおよび長距離データ伝送向けに設計されています。Jericho4は、分散型AIインフラ専用のイーサネット・ファブリック対応のルーター/スイッチとして機能し、長距離におけるRoCE(Converged Ethernet上のRDMA)をサポートします。
 
スケールアクロス接続
 
単一クラスタを超えた接続においても、両社は取り組みを進めています。エヌビディアのSpectrum-XGSは、スイッチ用シリコン、SuperNIC、フォトニック・フロントエンドを統合し、拠点間での大規模AIクラスタ接続を可能にします。同社は、NCCL(NVIDIA Collective Communications Library)を用いたデータセンター間通信において、従来のアプローチと比較して性能の向上が見られたことを公表しています。
 
一方、ブロードコムでも単一データセンターを超えたファブリックソリューションとしてJericho4を位置付けており、イーサネット・ファブリックを用いた長距離における分散型AIの展開を支援します。
 
CPO(コ・パッケージド・オプティクス)統合とパッケージング
 
両社はTSMCの半導体パッケージング技術を用いてCPOを実装しており、COUPE(Compact Universal Photonic Engine)プラットフォームとSoIC-X 3Dパッケージング技術を組み合わせ、光エンジンを統合しています。COUPEは、電気回路部(EIC)と光回路部(PIC)を電気側の専用インターフェースで統合し、結合損失を最小化します。また、グレーティングカプラおよびエッジカプラの2方式に対応しており、低挿入損失でのファイバ接続を実現します。これにより、従来のディスクリート型光エンジンよりも優れた光結合性能を提供します。この3Dハイブリッドボンディング技術によって、高密度インターコネクトと高効率な電力動作の両立が可能になります。
 
製品の戦略的ポジショニング
 
エヌビディアは、光インターコネクトをアクセラレータやソフトウェアと統合されたシステムアーキテクチャの一部として位置付けています。その目的は、プラットフォーム全体の統合とシステム効率の最大化です。
 
一方、ブロードコムはモジュール性とサプライチェーン規模を重視したソリューション志向の戦略を推進しています。同社では完全な垂直統合ではなく、ハイパースケーラーが自社システムに統合できるモジュール型プラットフォームを提供しています。こうして比較してみると、CPOは単なる部品技術の変化にとどまらず、企業ごとの製品戦略の違いを反映した要素であることがわかります。
 
IDTechExのレポート「CPO(コ・パッケージド・オプティクス) 2026-2036年:技術、市場、予測」では、コーパッケージド・オプティクス技術の最新の進化を幅広く探究しています。本レポートは主要な技術革新やパッケージングのトレンドを考察し、フォトニック部品からシステムインテグレーターに至るバリューチェーン全体を包括的に分析しています。また、主要な業界参入企業の動向を評価し、CPOの採用が将来のデータセンターアーキテクチャにどのような影響を与えるかについて、詳細な市場予測を提供しています。
 
本レポートでは先端半導体パッケージング(2.5Dと3D)がCPO技術の要であるという認識を中心に、特に異種統合および光電融合(光と電子の共集積)について取り上げています。これらの技術は、光I/Oをスイッチパッケージ内に直接組み込むことを可能にし、CPOシステムの今後の展開を支える基盤となるでしょう。
 
さらに詳しくは、「CPO(コ・パッケージド・オプティクス) 2026-2036年:技術、市場、予測」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。IDTechExの半導体、コンピューティング & AIに関連するレポートは、こちら でご覧いただけます。

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