導電性インク:主要な開発テーマとトレンド

導電性インク:主要な開発テーマとトレンド

導電性インク:主要な開発テーマとトレンド
導電性業界がこの10年間で目覚ましいイノベーションを達成したという事実はとかく見過ごされがちです。実際は業界は変化する市場のニーズや新しいアプリケーションに対応して、新しい材料やフォーミュレーションを開発してきたという長い歴史を持っています。
 
IDTechExでは導電性インク業界の開発状況についてグローバルな視点で注意深く調査してきました。弊社の調査レポート「導電性インク市場 2017年-2027年:フォーキャスト、技術、 参入企業」 Conductive Ink Markets 2017-2027: Forecasts, Technologies, Players - は、長年の調査結果と業界の過去の試みについて述べています。この記事では業界のいくつかの主要な展開を簡単に概説します。さらに詳しい内容については調査レポートをご覧ください。
 
ナノインク: ナノ粒子インクは10年以上前から存在していました。この製品のバリュープロポジションはより少ないものからより多くを提供すること、即ちなるべく低い金属含有量で高い導電性を実現する点にありました。ミクロンサイズやサブミクロンサイズのフィラーを用いた既存のペーストと比べると、製造コストと価格が高いのはこのためだと当時は言われていました。
 
しかしながら製品の品質は発売当初にメーカー各社が宣伝していたほどのものではなく、現在の製品で採用されているテクノロジーでは弾性や基材適応性が高すぎることが分かっています。その結果この10年間で多くの新興企業が誕生しては消えていき、大企業でもナノ粒子インク関連のプロジェクトが開始されるもののやがて打ち切られるという例が数多く見られました。
 
しかし、このテクノロジーは徐々に市場に足を踏み入れています。その現状を招いた要因は幾つかありますが、新しいアプリケーションとデポジションプロセスの登場もその中に数えられます。近年の例を2つ挙げると、ICパッケージでの電磁妨害(EMI)シールドとエアロゾルデポジションがあります。どちらも注目度の高いテーマで、後半にある重大な認定プロセスには特に多くの人が注目しています。
 
銅インク/ペースト: 価格引き下げは銅インク/ペーストの開発の主な推進要因であることは明かです。この動きは2011年頃に銀価格がピークに達したときに強くなり、世界中の銅開発の波を引き起こしました。また急速光焼結など革新的な(そして効果のある)硬化や焼結のプロセスが多数開始されたことで、銅の酸化を回避できるようになりました。斬新な配合物が開発されたことで空中硬化や気相金属化なども実現しました。
 
ところが銅インクのテクノロジーは銀に比べると未熟であることが判明しました。銀との価格差、空気中での安定性、硬化条件などについて、未熟であるにもかかわらず実現可能だとうたわれていたことがあまりにも多く、銅は信頼性の点で銀とは明らかに差がありました。ここでも当社は業界の動向を見守っていましたが企業やプロジェクトの浮き沈みが世界中で見られました。実際、この製品の流通量は多くなかったのです。
 
しかし、この状況も変わりつつあるようです。新世代の銅インクメーカーが次々と登場しているからです。事実として各メーカーは特に応用面で最近実績を積み重ねています。さらに重要なことに、新しいアニーリング装置が導入されたことで決して間に合わせの代用品ではない銅インク市場確立への道がついに開かれました。
 
微細配線を形成するインク: 配線の微細化の傾向は長年続いています。例えばタッチスクリーン用のエッジ電極では、市場のトレンドにより開発要求は標準的なインクやスクリーン印刷の性能以上に押し上げられました。しかしながら、業界では光パターン形成やレーザーカット可能なインクの導入によりサブストラクト工法の代替として対応しています。
 
もう一つの事例は透明導電性フィルム(TCF)業界です。この場合直接印刷は線幅が広いため金属メッシュにおいては、発展が見込めるテクノロジーではありませんでした。ところが今はグラビアオフセット印刷とインクのサブミクロンレベルでの最適化が進歩したため、5um配線の直接印刷が可能になりました。これは根本的なイノベーションとはいえないかもしれませんが、重要な進化です。興味深いことに導電性インク業界では特定用途に向けて新たなインクを開発する例が実に多く見られます。
 
ストレッチャブルインク: これは電子テキスタイル(e-テキスタイル)やインモールドエレクトロニクス(IME)への関心の高まりによる、比較的新しい開発です。e-テキスタイルおよび関連市場では、インクは多数の有意な伸張イベントに耐える必要があがある一方インモールドエレクトロニクス(IME)製品の場合、耐えなければならない伸張イベントは一度限りです。
 
両方とも製品への応用が急激に進んでおり、サプライヤーは市場の要望に応えて新素材を開発してきました。実際、3年前には2〜3社しかこの用途のインクを提供していませんでしたが、今ではほとんどのプレーヤーが製品を発売したか実証済みです。
 
最近のそうした製品への適用の拡大は今なお流動的な状態にあります。例えば、e-テキスタイルでは、性能の評価基準も十分に普及していません。実際に市場の中でも、伸縮性および耐清浄性はどの程度必要か、必要な導電率のレベルはどこまでなのか、最も適している印刷/転写プロセスはどれなのか、どの基材やカプセル化の方式を採用するべきなのかなどについて見解は一致していません。これは今なお手探りの段階にある企業が多いという新しい市場の特徴です。
 
導電性インクとペースト業界は、あらゆる面において進歩とイノベーションのさなかにあります。新分野への応用が急激に広がり、新たなニーズを確立しつつあります。その一方で既存の応用例では必要な性能のレベルが上がっているため、性能の向上したインクや新しい素材のインクの開発が求められるようになっています。太陽光発電など競争が非常に激しい成熟した市場であっても、少しずつ改善を積み重ねることでサプライヤーはごくわずかの期間であっても性能で優位に立つことがあります。
 
テクノロジーの変化の中には画期的なものがあり、そうしたものを適用する場合には時間がかかることもあります。特に技術面からの要求によってそれまでに普及していたものから移行する際に多少なりとも現場からの抵抗にあうことが予想される場合には、そうなるでしょう。対照的に、既存のテクノロジーをベースとして誰でもすぐ気付くような改良を加えるタイプの開発もあります。この場合は市場投入までの期間が画期的な新技術よりは短く特に市場からの要望が強い場合はその傾向がはっきりしています。またそうした開発テーマの中に低温アニールや高速アニールなど業界の主力製品に関するものもあります。
 
実際、開発は非常に多様でありこの記事ですべてを取りあげることはできません。更に詳しい内容はIDTechExの調査レポート 「導電性インク市場 2017年-2027年:フォーキャスト、技術、 参入企業」 Conductive Ink Markets 2017-2027: Forecasts, Technologies, Players をお勧めします。ここでは多数の新しいテクノロジーとアプリケーションに関する分析を紹介します。さらに25のアプリケーションの詳細な10年間のマーケットフォーキャストを提示します。
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