デジタル嗅覚:すぐそばにあるセンサーの市場機会

消費者向け技術は、カメラ(視覚)、マイク(聴覚)、タッチスクリーン(触覚)など、人間の感覚の多くを模倣できますが、嗅覚はどうでしょうか。レシピや最新の美容製品、コーヒーの写真をアップロードするだけでなく、匂いも共有できるような世界を想像してみてください。デジタル嗅覚は大きな機会になり得る可能性がありますが、どのような機会があり、どのガスセンサー技術がそれを可能にするのでしょうか。

電子鼻は生来の感覚を模倣

IDTechExの最新版調査レポート 『ガスセンサー 2022-2032年: 技術、ビジネスチャンス、有力企業、見通し』で紹介しているように、最新のガスセンサー技術は、人間の鼻と脳を模倣することで嗅覚をデジタル化するように設計されています。人間の鼻には気体混合物に反応する受容体が非常に多く存在しており、時間の経過に伴い脳が特定の匂いを識別できるようになります。人間は生まれながらにバラとユリの匂いを区別することができないのと同じように、電子鼻にも訓練期間が必要なのです。いわゆる「電子鼻(eノーズ)」は、多数のガスセンサーと、特定の匂いに反応してパターンを識別できる機械学習アルゴリズムを組み合わせたものです。小型センサーと機械学習ソフトウェアの機能は向上を続け、今ではデジタル嗅覚業界を生み出すほどの商用化段階を迎えています。

食品の良い匂いにも悪い匂いにも価値がある

食品は私たちが気にかける明らかな匂いの発生源で、eノーズの主なユースケースとなっています。例えば、匂いの特徴の元や、同じような食べ物の匂いの違いはほとんど分かりません。eノーズは、私たちの好物が食欲をそそる理由をよりよく理解するためのソリューションを提供します。
 
その一方で、食べ物が劣化したり汚染されたときに発するガスを測定することは、食品の品質維持と安全確保の方法を見いだすことにつながります。嗅覚データが賞味期限に取って代わることができれば、食品廃棄物の問題に取り組む上でも役立つ可能性があります。産業レベルでは、製品の一貫性と品質を管理する上においても、匂いセンサーの利用が広がる可能性があります。これにより、この分野で使用されているラボ用機器の既存サプライチェーンが脅かされるかもしれません。
 
スマートホーム製品や工場への組み込みに適した市販デバイスが、食品のモニタリング向けに登場しつつあります。メーカーの中にはガスセンサーを白物家電に搭載し始めているところもあり、今後は他社もスマートホーム市場を獲得するためにこの動きに追従する必要が出てくるでしょう。

大気質センサーに対する空気の需要もeノーズに影響

匂いを数値化すること以外に、新しいeノーズ技術の多くは、既存のガスセンサーよりも感度と選択性の高い大気質測定をターゲットにしています。こうした機能は、家庭用警報器や山火事監視用屋外設置センサーなどの煙感知器に導入され始めています。
 
大気質とそれが健康に及ぼす影響(特に低濃度に長時間さらされた場合の影響)に対する関心の高まりも、eノーズに対する需要につながっています。スマートシティやホーム部門でこのユースケースが成功するかどうかは、メーカーが効果的にマーケティングできるかどうかにかかっており、この点が中期的にマスマーケットに浸透していくための大きな障壁となっています。

eノーズの市場機会と課題

eノーズでセンサーアレイを使用すると、複数タイプのガスセンサー技術に機会が生まれます。金属酸化物センサー、電気化学式センサー、赤外線センサー、光音響センサーなどのよく知られたセンサーから取得したデータはすべて、気体混合物を数値化するソフトウェアで使用できます。それと同時に先端材料により、スマートフォンやウェアラブルに組み込まれる可能性のある超小型センサーを作ることができます。
 
eノーズ技術にはいくつかの課題が残っています。例えば、低コスト低感度のコモディティ化されたセンサーと高価値のソフトウェアを使用するケースでは、人工知能をトレーニングするのが大変です。しかし、印刷方式のカーボンナノチューブなど、本質的に高性能なeノーズ用ハードウェアは、まだ大規模生産が可能な状態にはなく、今なお「キラーアプリケーション」と相当量の注文数が不足しています。
 
また、現在までのところ、eノーズのトレーニングとデータ共有のためのインフラは限られています。画像についてはRGB形式に簡素化されているものの、匂いについてはそれに相当するものがまだありません。この課題はアリベールなどの一部企業によって指摘されていますが、デジタル嗅覚業界がその可能性を最大限に発揮できるようにするには、標準化を進める必要があります。

見通しと市場フォーキャスト

匂いのデジタル化により、家電製品のセンサーに魅力的な機能が追加されることになります。この技術は過剰に喧伝されているとこれまで言われてきましたが、既製のデバイスはこのセクターによって進められた実際のプロセスを体現したものになっています。こうした動きを、機械学習ソフトウェアの成熟化と、必要なガスセンサー技術のイノベーションが後押ししています。IDTechExの最新版調査レポート 『ガスセンサー 2022-2032年: 技術、ビジネスチャンス、有力企業、見通し』では、eノーズシステムや大気質、自動車、安全など他の多くのアプリケーションで使用可能な15以上の異なるガスセンサー技術を比較、ベンチマークしています。
 
IDTechExは2008年以来、ウェアラブルセンサー、プリンテッドセンサー、イメージセンサーなどのセンサー技術に関する幅広いトピックを取り上げてきました。本ガスセンサー専門レポートは、複数技術の性能を詳細に評価し、その主要な特性や異なるアプリケーション分野への適合性を比較しています。また、大手メーカーからスタートアップ企業まで、さまざまな技術に特化した企業へのインタビューから、複数の企業プロフィールを掲載しています。最新のガスセンサー市場・技術・企業に関して、IDTechExの最新版調査レポート 『ガスセンサー 2022-2032年: 技術、ビジネスチャンス、有力企業、見通し』で、ご確認ください。
 
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