バッテリーセル以外のEV材料・部品の可能性
2021年11月1日
電気自動車(EV)市場の話をするとバッテリーセルの話題ばかりになりますが、それも無理はありません。バッテリーセルは総蓄電容量を左右し、エネルギー密度に影響します。また高まるEV需要に対応して事業を拡大する場合には、サプライチェーンの構築にあたって重要な考慮事項となります。しかしながら、EVにはバッテリーセル以外にもさまざまな市場機会があります。セルはパックにまとめて格納されますが、パックの中には多くの材料や構成部品が入っています。その中には熱伝導材料(TIM)、防火材、筐体、絶縁材、圧縮フォームなどがあります。
セルはバッテリー全体のエネルギー密度にとって重要なものですが、パックの設計もまた重要な要因の1つです。パック単位のエネルギー密度は上昇していますがこれは単にセルの改良だけによるものではありません。2020年のパックの平均エネルギー密度は、3年前の水準から30%上昇しました。この分野での進歩は徐々に頭打ちになっていますが、セル・ツー・パック設計と構造体電池の開発により、トレンドは活気を取り戻し、バッテリーパック内で使用される複数の材料がその影響を受けるでしょう。その一例として挙げられるのが、ギャップフィラーTIMの使用です。モジュールを利用する現在のパック設計の多くでは、ギャップフィラーTIMを使用してセルから冷却板へと熱を逃がすため、パック1個当たりには数リットルのTIMが使用されます。セル・ツー・パック設計へと移行する中、セルを冷却板に直接接着する熱伝導性接着剤へと重点が移っていますが、これらの接着剤では材料特性に関する考慮事項が大きく異なります。
IDTechExはTIMに関する広範な調査を行っており、EV市場や5G、LED、データセンター、家電などの他の産業に関する詳細な調査を含むレポート『熱伝導材料 (サーマルインターフェイスマテリアル)2021-2031年:技術、市場および市場機会』を発行しています。IDTechExは10年後までにEVがTIMの最大のボリューム需要になると予想しています。

IDTechEx2031年までにEVがTIMの最大のボリューム需要になると予想。
出展: IDTechExレポート『熱伝導材料 (サーマルインターフェイスマテリアル)2021-2031年:技術、市場および市場機会』
もう1つの重要なトレンドがEV用バッテリーの火災に関するニュースです。GMと現代自動車による最近のリコールはセルの製造上の欠陥に関連するものでしたが、リチウムイオン電池では熱暴走のリスクがゼロになることはありません。内燃機関自動車でも火災は発生し、EVの方が走行距離当たりの火災件数は少なくなります。しかしながらEVの場合、一般的に火災は揮発性の点だけでなく、EVの普及に悪影響を及ぼしかねないニュース報道の点でもはるかに重大です。中国では熱暴走に関する規制や自動車の乗員に対して必要な警告時間に関する規制が新たに採用されていますが、IDTechExでは、他の地域でも同様の規制が導入されることになると予想しています。このことは防火材料の市場機会へとつながり、その例をいくつか挙げるとセラミック膜、エアロゲル、発泡性防炎塗料などがあります。IDTechExでは、防火材料の需要が2031年には現在の10倍に高まると予想しています。
IDTechExは調査レポート 『電気自動車の熱管理 2021年-2031年』では、 防火対策、TIMおよび電気自動車のバッテリー、モーター、パワーエレクトロニクスの熱管理戦略について考察しています。
前述の構成部品だけでなく、さらに軽量化するための複合材の筐体や断熱性圧縮フォームやヒートスプレッダといった、セルの間や周りに使用する材料にも大きな関心が寄せられています。 IDTechExが発表したEV向けバッテリーセル・パック用材料に関するレポート 『電気自動車向けバッテリーセル&パック用材料 2021-2031年』 では、前述の材料の利用法だけでなく、セル間材料の需要、筐体、熱管理、バッテリーセルの原材料需要なども取り上げています。セル・ツー・パックへと向かうトレンドにより、多くの場合、車両1台当たりの物質集約度は低下するものの、IDTechExでは、セル以外のバッテリーパック用材料が2031年には2021年の数値の7倍に増加すると予測しています。
IDTechExでは、物質集約度を決定する上で160車種を超えるEVを分析しています。出展: IDTechExレポート 『電気自動車向けバッテリーセル&パック用材料 2021-2031年』
EVが将来の交通手段において大きな役割を果たすこと、そしてEVがその取って代わる内燃機関自動車用のさまざまな材料に依存することが広く認識されるようになっています。この急成長市場を事業機会とするためには、今こそ材料の開発と戦略に優先的に取り組むべきです。
IDTechExは幅広く電気自動車関連のリサーチを行っています。全ポートフォリオはこちらで確認できます。www.IDTechEx.com/research/EV
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