EV用パワーエレクトロニクス:チップ不足の中、半導体需要を牽引

EV用パワーエレクトロニクス:チップ不足の中、半導体需要を牽引

Abstract electronics circuit board image alongside  Electric Car Platform Chassis Prototype Standing in Industrial Machinery Design Laboratory
半導体は現代社会において必要不可欠なものです。最近は時計から洗濯機まで、あらゆるものを「スマート化」、「コネクテッド化」するために半導体が使用されているようです。そのため当然ながら一部の業界幹部によれば、すべてのカテゴリーにわたる深刻なチップ不足が多大な影響を及ぼしているということです。
 
IDTechExの新しい市場調査レポート「電気自動車用パワーエレクトロニクス 2022年-2032年」では、最近の調査によって導かれたEVの航続距離拡大と市場での差別化を達成する上でインバータが持つ重要性について考察しています。
 
しかしながら根本的にパワーエレクトロニクス業界は高性能化した新しい半導体技術への移行に支えられており、それなしでも、電気自動車1台当たりには内燃機関自動車のおよそ2.3倍の半導体が必要です。半導体不足の中、電動化は持続可能なのでしょうか。

不足の根源(および自動車セクターが特に影響を受けやすい理由)

自動車市場はパンデミックにより大きな損失を被った業界の一つでした。2020年には新車需要が落ち込み、ロックダウン中の旅行関連の消費者ニーズの変化、雇用不安、工場閉鎖などにより売上は前年比で約15%減少しました。
 
問題は生産中断が数週間から数カ月続くと、始動には長時間を要し利益が落ち込む要因となるため、半導体ファウンドリは可能な限り継続して操業する必要があることです。2020年の自動車需要が減少し、自動車メーカーはやむなく発注の延期やキャンセルを行いました。その一方で、そのしわ寄せはすぐに他のセクターに及んでおり元に戻すのはそう容易ではありません。
 
2021年になっても、スマートフォン、クラウドコンピューティング、データマイニングといった他のセクター(コロナの影響かどうかにかかわらず)からの需要はまだ落ちておらず、マイクロコントローラーなどの主要部品のリードタイムが44週間にまで達するなど、危機は深刻化しています。
 
4月にはフォードがこの不足のせいで販売台数が110万台減少するという予測を発表しました。また先月には在庫品でやりくりしていたトヨタも減産となりました。
 
この問題はサプライチェーンの集中によっても悪化しており、単一障害点を作り出しています。コンピューターチップについて考えると、インテル、Apple、NVIDIA、クアルコム、AMDといった多くの企業が頭に浮かびますが、これらの企業でコンピューターチップを製造しているところはほとんどありません。
 
実際、生産のほとんどがアジアのファウンドリに外部委託されており、台湾積体電路製造(TSMC)が、収益ベースで60%に近い市場シェアを押さえています。チップを製造する能力を持つ企業が少なく、サプライヤーの変更には長時間を要するため、自動車メーカーは手詰まりとなっているのです。

半導体不足のEVへの影響

チップ不足が電気自動車市場に与える影響を予測することは困難です。 世界の自動車市場とは異なり、電気自動車の売上は2020年には着実に伸びており、前年比で約40%の成長を遂げました。この傾向は今年も継続しており、2021年には約500万台に到達する予定です。
 
注目すべきは、電気自動車には内燃機関自動車よりも多くの半導体を搭載する必要があるということです。このペースで伸び続け、供給上の制約がないと仮定すると、自動車セクター(BEV、PHEV、FCEV、HEV、48V)の電動化には、電動化なしのシナリオと比較し、2022年までに74億ドル相当の半導体材料が別途必要になると当社では予測しています。
 
しかし、電気自動車は半導体業界にとって大きな成長分野であるものの、成長を牽引しているのはパワーエレクトロニクスです。一方、現在不足の影響を主に受けているのはマイクロコントローラー(MCU)です。
さらに、電気自動車市場が2020年まで持続的に成長してきたことを鑑みると、自動車メーカーはEV向け部品をキャンセルした可能性は低く、キャンセルしたとしても内燃機関自動車と同程度に収まっていることから、電気自動車はこの影響による被害をある程度回避できたことが見て取れます。
 
テスラは新しいマイクロコントローラーの設計を構築し、マイクロコントローラーのサプライヤーを変更することで2021年の危機のほとんどに対処したと主張しており、同社の売上は堅調を維持しています。それほど歴史のないEVのスタートアップ企業は苦しい状況にありますが、価値の高いセクターやその他の小規模なセクターで事業を行う傾向があります。たとえば、ニコラはFCEV車の発売を延期しましたが、これによる2021年の損失は100台未満です。
 
電気自動車市場は影響を受けますが、IDTechExは成長が止まるとは考えていません。トンネルの先には明かりが見えています。フォードによれば「2021年の第2四半期を谷と見ている」とのことです。実際IDTechExでは、2022年までは徐々に回復していくものの、その回復はファウンドリの長期的な生産能力拡大計画ではなく、電話機、ノートPC、ホームオフィスといった技術セクターからの需要に大きく左右されると考えています。
 
EV用パワーエレクトロニクスについては、IDTechExの調査レポート「電気自動車用パワーエレクトロニクス 2022年-2032年」を、ご活用ください。
 
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