バッテリー管理システムが、より優れたバッテリーを生み出す
2023年10月5日
IDTechExは、電気自動車用リチウムイオン電池市場が2034年までに3800億米ドルに達すると予測しています。このような価値の大幅な上昇に伴い、こういった資産(可燃性の場合もある)から引き出す性能を最大化し、安全かつ確実に運用することが重要です。バッテリー管理システム(BMS)は、リチウムイオン電池の安全かつ確実な運用において中心的な役割を担っていますが、バッテリー性能を向上させる可能性についてはやや見過ごされています。
バッテリー技術の開発では、材料やバッテリーケミストリーのイノベーション(シリコン負極でも、全固体電池や新しいナトリウムイオン電池でも)か、セル・ツー・パック電池設計や800Vプラットフォームの使用といったその他のハードウェア開発に重点を置くことが多くなっています。しかしながら、新しい材料、バッテリーケミストリー、ハードウェアには、たいていの場合、開発・試験段階が長期にわたり、性能・コスト間のトレードオフがつきものです。例えば、高シリコン負極はエネルギー密度を高め、急速充電を改善することができますが、サイクル寿命が犠牲になります。そのため、短期的に見ると、高シリコン負極ソリューションは割高になりがちです。
対照的に、BMSのイノベーションは、複数の性能指標を同時に改善する実現可能なルートを提供することができますが、リチウムイオン電池開発では非常に困難です。つまり、エネルギー密度や急速充電能力、安全性、サイクル寿命の向上は、適切なBMSをもってすれば実現可能なのです。結局のところ、これらの改善の多くは、状態(充電状態、出力状態、劣化具合)をより適切かつ正確に推定することや、リチウムイオンセルの内部状態を詳細に把握することによって可能になり、その結果として、リチウムイオンセルをより最適化して使用できるようになります。例えば、充電時間の短縮は、使用中にバッテリーが生成するデータ解析によってリチウムイオンセルの内部状態を追跡し、リチウムめっきの兆候がないか探ることで実現可能です。劣化を進行させることなく平均充電出力を上げるため、リチウムめっきの発生が確認された充電サイクルでは充電電流を下げ、その後、リチウムめっきのリスクが低下してから充電電流を上げることができます。

Battery management system-driven improvements. Source: IDTechEx
イートロンテクノロジーズ、WAEテクノロジーズ(プラットフォーム「Elysia」経由)、クノボをはじめとする多数の企業が、状態推定の強化やバッテリー運用の最適化を支援する、より先進的なBMSソフトウェアプラットフォームを開発・展開しています。実際、欧州と北米には、より先進的なBMS技術を開発する初期段階の企業の活動が活発化しており、その先進技術の一部は市場に投入され始めています。例えば、クノボは航続距離と充電時間の向上を図り、自社のソフトウェアをヴァンダーホールのEVへの導入を予定しており、イートロンテクノロジーズも自社のBMSソフトウェアを展開し始めています。
リチウムイオン電池技術においては数多くの開発が行われています。目新しい次世代のバッテリー材料、バッテリーケミストリー、技術に焦点が当てられる傾向にありますが、BMSの進歩は、現在および将来のリチウムイオン技術の性能を最大化する方法を提供します。したがって、BMSはEVや定置型バッテリーシステムの採用を加速させるという重要な役割を果たす可能性があります。
IDTechExでは、リチウムイオン電池技術や次世代バッテリー技術に関して、継続した調査を行っており、最新調査レポート 『電気自動車用リチウムイオン電池とバッテリーマネジメントシステム 2024-2034年』で、EVバッテリーの主要技術やトレンドについて、詳しく解説しています。ぜひ、ご活用ください。
IDTechExの調査レポートは、
・アイディーテックエックス株式会社 (IDTechEx日本法人) が販売しています。
・IDTechExからの直接販売により、お客様へ各種メリットを提供しています。
・ご希望の方に、サンプルページ 送付します。
・オンラインでの試読については、ご相談ください。
・その他、調査レポートに関する、質問、購入に関する問い合わせは、
下記担当まで。見積書、請求書も発行します。
問合せ先
アイディーテックエックス株式会社
東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル21階
担当:村越美和子 m.murakoshi@idtechex.com
電話 : 03-3216-7209
IDTechExは、調査、コンサルタント、サブスクリプションを通して、戦略的なビジネス上の意思決定をサポートし、先進技術からの収益を支援しています。IDTechExの調査およびコンサルティングの詳細については、IDTechExの日本法人、アイディーテックエックス株式会社まで、お問い合わせください。