ARが社会的に受け入れられるようにするのにハードウェアはどう役立つのか
2022年9月7日
「Glasshole」という言葉は、2013年にグーグルグラスの最初の公開テストが行われる前にすでに生まれています。これは、AR(拡張現実)ヘッドセットを無分別に使用する人を指すものであり、社会的に受け入れられることの難しさをうまく表現しています。
社会的に受け入れられるように設計するのは、たやすいことではありません。文化的寛容性の基準は、時間とともに変わるだけでなく、消費者がデバイスに求めるものによっても変化します。グーグルグラスの内蔵カメラを巡るプライバシー上の懸念は、当時起きた否定的な反応の主因でしたが、Metaとルックスオティカによる動画撮影用グラス「レイバンストーリーズ」では同じような反応は起きませんでした。その理由は、スマートフォンやSNSの普及よって社会規範が変化したこと以外に、その見た目が普通のサングラスであることにもありそうです。
導波路が社会的に受け入れられるフォームファクタを実現する仕組み
ディスプレイや大型のバッテリー等のコンポーネントがより多くのスペースを占めてしまうことから、真のARグラス(レイバンストーリーズはディスプレイ非搭載)ではこのようなスマートな外観を実現することは困難です。光コンバイナと呼ばれるコンポーネントは、映像を現実に重ね合わせるという課題にも対応しなければなりません。これらは、ARの普及を後押しする最も重要なハードウェア技術であることはほぼ間違いありませんが、これまでのところ、最大の障害の1つとなっています。

ARの光学的構造 - 光コンバイナがデジタルデータを現実に重ね合わせる。 Source: IDTechEx
光導波路は、光学素子を介して画像を結合入力し、それを全反射によってガラスや透明なプラスチックを透過させてから、別の光学素子を使用して目の中に結合出力することによって機能します。透明な素材1枚でできているため、導波路は普通の眼鏡レンズのように見せることが可能です。導波路は、中間光学素子を使用してディスプレイの射出瞳を拡大し、ディスプレイパネルを小型化してから、さまざまな場所(例えば眼鏡のつるなど)に取り付けられるようにすることで、ARヘッドセットを小型化するのに役立ちます。
ARヘッドセットのデザインを既存のアイウェアにもっと近づけるのに役立つというのが導波路の持つ可能性であり、AR業界がこの技術に関心を寄せている大きな理由の1つです。これらの要因が合わさることで、ヘッドセットの設計者はAR用コンポーネントをロボコップみたいではない形にパッケージ化しやすくなるわけですが、導波路には乗り越えるべきハードウェアのハードルがまだ残っています。
おそらく、光導波路の採用の前に立ちはだかる最大の障害は、その光効率の悪さです。非効率的な導波路では、より明るいディスプレイが必要であるがために必要なバッテリーも大きくなるので、ヘッドセットの外観をスマートにできなくなり、このコンポーネントが持つ社会的に受け入れられるという利点がほとんど損なわれてしまいます。解決策の1つは、商用化されているAR導波路(マイクロソフトのホロレンズ2などに搭載)のほとんどで使用されている回折光学素子を反射光学系に交換することです。これにより、同等の導波路の仕様に対して光効率が約10倍まで向上します。
ここで一番のトレードオフとなるのが製造コストです。反射型導波路は、現在のところ、従来型の光学製造技術を用いて製造する必要があるためです。光コンバイナは、ARヘッドセットで最も高価なコンポーネントの1つであり、この部分のコストを抑えることが重要なのは明らかです。IDTechExの調査レポート『AR/VR/MRの光学系技術 2022-2032年: テクノロジー、有力企業、市場』には、これらのコストを抑える方法だけでなく、XRデバイスの光学系が直面しているその他の多く課題に対応する方法について詳細な分析を掲載しています。10年間の詳細な市場予測を20の技術カテゴリーに分けて行い、これらの光学系が生み出す材料需要の分析とともに提供しています。また、これらの技術を扱う有力企業への直接取材から得た情報も多数掲載しています。
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