半導体不足がRFID産業に与える影響

新型コロナウイルスは両刃の剣です。新型コロナウイルスは企業が生き残るために、生産効率や経営効率を上げるための技術をいち早く取り入れることを後押します。一方、新型コロナウイルスは近年RFID業界をはじめさまざまなビジネスに大きな影響を及ぼしている半導体不足という問題を誘発しています。
 
UHFチップの大手サプライヤーの1社であるImpinjは2021年第3四半期の決算発表会において、半導体危機によりウェハーからコンポーネント、組み立て、包装、輸送に至るまで、サプライチェーン全体でコストが増加しており、その増加率も大きいことから現時点では吸収しきれず、一定の利益率を確保するにはコストを顧客に転嫁せざるを得ないと述べています。このような価格上昇にもかかわらず半導体需要は依然として強いと同社では見ており、UHF RFIDタグ用エンドポイントICの需要は第3四半期だけで出荷数を50%以上も上回りました。同社によるとエンドポイントIC向けには200mmと300mmの両方のウェハーが供給不足に陥っており、2022年までは需要が供給を上回り続けるとのことです。

半導体不足はいつ解消するのか?

半導体の材料であるシリコンウェハーについて見てみましょう。シリコンウェハー業界の上位5社は信越化学工業、SUMCO、シルトロニック、グローバルウェーハズ、SKシルトロンです。
 
信越化学工業は29.4%の市場シェアを誇る世界最大のシリコンウェハーメーカーであり、日本のSUMCO(21.9%)、グローバルウェーハズ(15.2%)、シルトロニック(11.5%)、SKシルトロン(11.4%)、ソイテック(5.5%)がこれに続きます。多くの中国企業がシリコンウェハー市場で競争を繰り広げています。これら企業の状況と危機への対応を調べてみると、この危機が終わりには程遠い状態であることがわかります。
 
たとえばグローバルウェーハズはあるメディアの取材に対し、2024年まではウェハーの需要に対応することができないと答えており、CEOのDoris Hsu氏は「2023年の受注量は明確に見通せており、2024年もおそらく見通せます。2023年や2024年のうちに事態が落ち着くような兆候は見られません」と述べています。これは世界的な能力の増強が遅々として進まないからです。同社は生産能力の増強を図るため、今後2年間で8億ドルを投じ、米国のファブなど12インチウェハーのファブの生産能力を高める予定です。昨年、ドイツのウェハーサプライヤーであるシルトロニックを49億8000万ドルで買収しようと試みたものの、実現しなかったため、その資金が生産強化に当てられることになったものです。同社は2022年2月に「新しい製造ラインを2023年下期に立ち上げ、四半期ごとに拡張する予定である」と発表しています。
 
日本のウェハーメーカーであるSUMCOは2015億円(17億5000万ドル)を投じて、佐賀県の現在の工場の隣に生産ファウンドリを新設する予定です。今年から建設工事と設備の設置に着手し2023年下期から段階的に操業を開始し、2025年には本格的に操業を開始することになっています。同社CEOの橋本眞幸氏によれば、生産能力の増強を進めてはいるものの増産が可能になるのは2023年下期以降で、その後2025年にようやく目標の生産能力に達するだろうということです。需要の強さを背景に同社は今年10%の価格引き上げを実施する予定です。2024年にピークに達するまで、今後数年間にわたって断続的な引き上げが行われる見込みです。
 
世界最大のシリコンウェハーサプライヤーである信越化学工業は先月の決算発表会で、ウェハーの供給は何年にもわたって逼迫した状態が続くだろうとの見解を示しました。2022年と2023年に同社は現在の生産能力の一部を他に貸し出す予定です。新工場は少なくとも2024年までは操業開始の予定はありません。
つまり、増大する需要に対応するために大手ウェハーサプライヤー各社はこぞって生産能力の増強(特に300mmウェハー向けに)に資金を投じているものの、どの社もそれによって今後1~2年のうちに供給の逼迫状態が解消されるとは見込んでいません。
 
今日のRFID技術において、シリコン半導体は極めて重要なものとなっています。RFIDは本人確認、非接触型カード決済、商品(小売衣料品から工業用部品まで)の追跡など、幅広い業界で利用されています。さらに新型コロナウイルス感染症がRFID業界の追い風となっています。IDTechExの市場調査レポート『RFID市場_見通し、有力企業およびビジネスチャンス 2022-2032年』で解説しているように、RFID業界は2021年以降順調に回復に向かっています。半導体不足問題がなければ、さらに高い成長が見込まれます。IDTechExでは半導体不足が2023年~2024年初めまで続くと予測しています。
 
IDTechExは20年近くにわたり、RFID市場を調査してきた実績があります。最新版調査レポート『RFID市場_見通し、有力企業およびビジネスチャンス 2022-2032年』では、RFID市場を幅広くカバーしています。パッシブ型RFID(UHF、HF、LF帯用)や、バッテリー内蔵パッシブ/アクティブ型RFID、チップレスRFIDの技術・プレーヤー・市場などについて取り上げています。本レポートではバリューチェーン内の各キープレーヤーへの直接取材を通じて収集した一次データ(取材先の多くとは集合データとしての利用を許可する秘密保持契約の下でデータ提供を受けています)のほか、各方面の情報源から収集した二次データに対する客観的分析を提供するとともに、RFID業界に関する当社の知見に基づいた考察を掲載し、今後の市場予測も含まれます。
 
RFID業界の動向、技術、予測については、IDTechExの調査レポート『RFID市場_見通し、有力企業およびビジネスチャンス 2022-2032年』をご活用ください。
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