材料と量子技術の交点に数十億ドル規模の市場
2025年12月10日
Noah El Alami
量子コンピューティング、量子センシング、量子通信の市場を含む量子技術は、現在最も急成長しているディープテック産業の1つです。しかし、その最先端技術の性能や商用化の実現性は、材料の欠陥、大型の構成部品、製造のスケーラビリティの低さによってしばしば妨げられています。IDTechExの最新調査レポート「量子技術向け材料 2026-2046年:市場、トレンド、有力企業、予測」では、量子業界向け材料、部品、製造プロセスでの機会や最新ソリューションを分析しており、30社以上の企業概要から得られた一次情報に基づく20年間予測もご覧いただけます。量子技術向けの超伝導チップ、PIC、ダイヤモンドを合わせた市場機会は、2036年には33億8000万ドル規模に、2046年には189億ドル規模(予測期間全体での年平均成長率は23.1%)に達すると予想されています。
材料によって実現する「量子優位性」
量子技術の魅力は、商業的な「量子優位性」の可能性にあります。優位性としては、量子コンピューティングによる従来の方法では解決困難な問題の計算、量子センサーによる桁違いに高い感度の実現、量子通信による根本的に安全な暗号化ソリューションの創出などが考えられます。量子技術は、ここ10年で主に理論段階から幅広い製品、ビジネスモデルへと発展してきており、プレーヤーも大学発スピンアウト企業から各国政府や国際企業まで世界各地に広がっています。
量子技術が既存技術を超える能力を発揮するためには、いずれの分野でも優れた材料と高度な製造プロセスが欠かせません。
- 量子コンピューティング:商業的に価値のある問題に取り組める規模のコンピューティングシステム実現のために、チップ当たり数千個の同一仕様の「量子ビット」を微細加工することが不可欠です。
- 量子センシング:デバイス当たりのSWaP-C(サイズ、重量、電力、コスト)を削減できる材料を使用することが、製品商用化の実現性を高める上で極めて重要であり、実現できれば、未来型モビリティ、医療、航空宇宙といった大規模市場に量子センサーを投入できるようになります。
- 量子通信:長距離でも量子情報の低損失伝送を可能にする材料が、エンタープライズ規模の量子ネットワークや暗号化ソリューションを実現する上で不可欠です。

出典:IDTechEx
3つの量子市場と主要材料基盤
商業戦略・政府戦略、IDTechExの量子技術に関する調査レポートでは、市場は一般的に「量子コンピューティング」「量子センシング」「量子通信」の3つの中核的製品分野で分類されます。材料供給業者にとっては、このような分類の代わりに、量子技術を構築する土台となる物理的な「基盤技術」や量子システムによって技術を分類した方が、より有益な場合があります。
「量子技術向け材料 2026-2046年:市場、トレンド、有力企業、予測」で、特に重要とされている3つの量子技術向け材料基盤技術が、超伝導チップ、フォトニクスシステム(PICなど)、ナノマテリアル(各種ナノカーボンや人工ダイヤモンドなど)です。
超伝導チップは微細加工された電気回路であり、半導体ウエハー上に成膜された超伝導金属や超伝導化合物でできています。この回路を極低温まで冷却すると、低温環境によって極めて少ないノイズで、巨視的量子特性を示します。超伝導チップを基盤とする商用量子製品の例としては、SQUID、SNSPD、超伝導量子ビット方式の量子コンピューターなどが挙げられます。
一方、フォトニクスシステムには、量子技術向けのオプティクス・フォトニクス部品が幅広く含まれています。この分野で最も興味深い手法の1つがフォトニック集積回路(PIC)の使用です。この回路を使用することで、量子情報の担体として単一光子を操作したり、原子系やスピン系を扱うのに必要な光学系を小型化したりすることが可能です。フォトニクスは量子ネットワークや光量子ビット方式の量子コンピューティングの中核をなすと同時に、イオントラップ方式・中性原子方式の量子ビットの他、各種量子センサーにおいても支持を獲得しつつあります。
最後はナノマテリアルとダイヤモンドです。その範囲はCNT、量子ドット、2次元/2.5次元材料など、さまざまな材料に及びます。最近では、点欠陥を埋め込んだ人工ダイヤモンドが、商用の量子センサーと量子コンピューターの双方を開発するための材料基盤技術として支持を獲得してきており、室温で動作可能な量子システムのための堅牢でスケーラブルな材料基盤技術としての可能性を示しています。

出典:IDTechEx
市場展望
いずれの事例でも、解説している各種材料基盤技術は、量子技術の3つの市場分野(コンピューティング、センシング、通信)にまたがっています。そのため、市場分野が異なる技術や製品でも、同じ材料イノベーションやファウンドリの新たな技術力から恩恵を受けられることが多くあります。
調査レポート「量子技術向け材料 2026-2046年:市場、トレンド、有力企業、予測」では、量子市場の各分野(コンピューティング、センシング、通信)と、各材料基盤技術(超伝導体、フォトニクス、ナノマテリアル)の両面から材料機会を評価しています。この多面的な分析では、異なる製品が交わる領域を取り上げ、量子業界での主な材料の機会を明らかにしています。
本レポートは、IDTechExが行ってきた量子技術の市場分野からフォトニクス、先端材料にわたる広範な市場調査に基づいており、本記事で取り上げている機会をさらに掘り下げ、量子業界向けの超伝導体、フォトニクス、ナノマテリアルにおける技術革新、有力企業、市場要因、サプライチェーンの動態を詳細に解説しています。
さらに詳しくはIDTechExのレポート「量子技術向け材料 2026-2046年:市場、トレンド、有力企業、予測」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。IDTechExの量子技術に関連するレポートは、こちら でご覧いただけます。
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