三次元電子回路基板印刷技術のビジネス機会
2021年3月12日
三次元電子回路基板印刷技術は、プリンテッドエレクトロニクスを三次元にまで広げた新しいアプローチです。構造材料と導電体の配線の両方を印刷することで、高い設計自由度、開発の反復のスピード化、デバイスの小型化などの利点が得られます。IDTechExでは、このセクターを「フルアディティブ」と「三次元表面への印刷」という2つの側面に分けています。どちらにも複数用途にわたるビジネス機会があり、IDTechExではそれらが今後10年間で発展していくものと考えています。
フルアディティブ法による電子回路の製造
コンポーネントの構造面と電子回路面の両方を印刷する場合、その製造工程は「フルアディティブ」であると言えます。この製造アプローチでは、印刷された誘電体構造内で導電体の配線を制約なく張り巡らせることができるため、自由度の高い設計が可能になり、従来の方法では困難または不可能であったヘリカルアンテナ、一体化したユニット形コンデンサ、傾斜の付いたビアなど、特徴のある構造での生産も可能になります。さらには、必要に応じてSMD部品を構造内に組み込むことができます。
フルアディティブ法による電子回路製造の用途の一つに、回路の試作品製作があります。複雑な多層回路の場合でも、設計書を渡して外部の試作品製作業者に委託するよりも、社内で製作する方がはるかに短時間で製作できるためです。潜在的に巨大な市場が見込まれるもう1つの有望な用途が、最先端の電子回路機能のパッケージングです。微細配線を含む印刷構造内にベアダイを埋め込むものです。従来の電子回路機能のパッケージングに対してこのアプローチが持つ利点は、シリコンICの配置間隔を小さくしてシステム全体の小型化が可能なことです。
三次元表面への印刷
三次元電子回路基板印刷技術では、電子回路機能を既存の三次元表面に塗布することも可能になります。たとえば、エアロゾル印刷や材料押出などの方法を用いて、導電経路を射出成形プラスチック部品の上に印刷することが可能です。そのため、誘電材料を上面に印刷することで、耐久性と堅牢性を向上させることができます。さらには、ピックアンドプレースユニットと導電性接着剤を使用し、SMD部品を三次元表面に実装することが可能です。このアプローチであれば、構造用プラスチックの印刷に膨大な時間を要していた、大型部品への電子回路印刷用途でも大きな期待が持てます。
このアプローチの主なターゲットは、消費者製品、車両、そして航空機における、従来の配線方法に取って代わる配線の代替用途です。現在、配線作業は多大な労力を要する手作業で行われているためミスが起きやすく、その結果、配線同士が擦れ合った場合に短絡を生じる可能性があります。配線をプラスチックの三次元表面に直接印刷することで工程の自動化が可能になり、導電配線が最終的に誘電材料内に埋め込まれることにより耐久性が向上します。
マイクロフルイディクスとフォトニクスの組み込み
付加製造による電子回路の製造が確立されていくにつれて、ますます多くの機能が付加製造部品内に組み込まれる可能性があります。マイクロフルイディクスもその例で、主にプラスチックでできた三次元アイテムの中に電気センサーや圧電アクチュエータなどのMEMS部品をも埋め込めるようになります。医療診断用のラボ・オン・チップや汗を分析するためのウェアラブルセンサーは、どちらも有望な用途であると言えます。
三次元電子回路基板印刷技術は、フォトニック構造とも相性が良いですが、これには一般的に、誘電体素子と導電素子の両方の印刷解像度の向上が必要となります。潜在的な用途の例としては、光路の屈折率が温度やガス吸収によって変化するフォトニックセンサーや、究極的には光電子部品などもあります。
応用ロードマップ
以下の図は、現在の開発段階や、製造スループットや解像度などの付加的な要求事項を考慮して、三次元電子回路基板印刷技術のさまざまな用途へのロードマップを示したものです。回路の試作品製作はすで商業化されていますが、多種多様な機能を備えた集積化デバイスは、最も開発が困難なものとなりそうです。

出展: IDTechEx調査レポート (「3D エレクトロニクス 2020-2030年」)
三次元電子回路基板印刷技術の可能性について、技術的な観点や市場規模・予測などの詳細は、IDTechExレポートを「3D エレクトロニクス 2020-2030年」をご覧ください。
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