インフラのいらないスマートシティ | IDTechEx Research Article

インフラのいらないスマートシティ | IDTechEx Research Article

都市にかかるコスト、混乱、公害、自然災害リスクの大部分はインフラがないことで削減されるかもしれません。

Dr Peter Harrop
インフラのいらないスマートシティ
都市にかかるコスト、混乱、公害、自然災害リスクの大部分はインフラがないことで削減されるかもしれません。下水もガスのパイプも、電柱も、歩道さえない都市を想像してみてください。歩道から人が突然車の前に出てくることもなくなります。パイプに漏れがあるような不衛生な状況によって、5歳未満の子どもが年間50万人も亡くなっており、医療費と失われた収入は世界で年間2000億米ドルにもなります。
 
私たちは携帯電話の普及により、家の中で電話線が不要になるという住宅の自立性が高まり始めているのを目の当たりにしています。しかし、それぞれの建物に完全な自立性がある都市というのは非現実的に思えます。スマート材料とロボットによってスマートシティを作ろうとするアプローチは、IT技術とセンサーを中心とした当初のアプローチよりもはるかに強力で、問題を打破しつつあります。
 
Passivedom Corporationは空気から水を作り出し、家の下水処理を行い、ソーラーパネルで自家発電をする住宅を販売しています。
ほかにもマイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏は2018年、未来のトイレを公開しました。これは水や下水を必要とせず、化学物質によって人間の排泄物を肥料に変えるものです。ビル・ゲイツ氏の財団は2億米ドルを拠出しましたが、さらに同額を投じてこのトイレを広く普及させるとみられます。
 
「既存のトイレは単に水で排泄物を流すだけですが、このトイレには下水がないのです。液体と固体両方の排泄物が処理可能で化学反応を利用します。ほとんどの場合は燃焼させます」とゲイツ氏は説明しています。
 
ゲイツ氏は公衆衛生の改善の重要性を示すため、あるスピーチの途中で人糞の入った瓶を持ち上げ「この中には200兆のロタウイルス、200億の赤痢菌、10万の寄生虫の卵が含まれている可能性があることを思い出してください」と述べたことがありました。ゲイツ氏はこのようなトイレの市場は2030年までに60億米ドルを超える規模になるとも発言しています。スマート材料を利用したスマートシティには投資の大きな見返りがあるのです。
また、自動で除氷し、走りながら自動車が充電されるソーラー道路が2022年に中国で敷設されます。これには1キロメートルあたり数百万ドルの費用を要するため、こちらも投資回収率の高い数十億ドル規模のゼロエミッション事業となるでしょう。
 
IDTechExの調査レポート 『スマートシティのビジネスチャンス: インフラ、システム、材料 2019年-2029年』 は都市の食、電力、水、さらに都市にある建物の自立性について取り上げています。都市自体が数百メガワットを発電できる様々な方法に言及しています。新たに開発された太陽光発電窓と高層ビルの被覆でメガワット級の発電が可能になれば、安価で安全かつクリーンな電力を料理、空調や照明に使えるようになり、これらのサービスが電気料金の値上げに左右されることもなくなります。大抵の都市は大きな河や海に面しているため、間欠性を最小限にとどめられるプラグ・アンド・プレイ型の波力、潮力、有線ドローン風力で電力供給を行えば、蓄電も最低限で済みます。その日の需要に合わせて電力を組み合わせれば、蓄電よりもはるかに効率的です。そうすれば有毒で可燃性があり、かさばって重いうえに寿命の短いバッテリーは不要になるか、必要だとしてもごく少数で済みます。大抵の場合、一度装備すればそのことすら忘れてしまう、環境に負荷を与えないスーパーキャパシタで十分です。事実、IDTechExの調査レポート『スーパーキャパシタ材料とテクノロジーのロードマップ 2019年-2039年』で説明されているように、スーパーキャパシタが2012年の高性能リチウムイオン電池のエネルギー密度に達するには、現状で2通りの方法があります。
 
Facebook社が資金提供したトロントのスマートシティには歩道が設けられない予定です。というのも、ゆるやかに動くロボットのシャトルバスと人間しか通らないからです。ほとんどの新たなスマートシティはゼロエミッションのエネルギー自立を目指しているため、(空間の危険な無駄遣いである)個人の乗用車は禁止され、その代わり無料の公共交通が利用できます。交通機関の動力はすべて電力で、車体が太陽光で発電し、停止時には風力発電用タービンを立てることにより、自立したエネルギーシステムになっています。中間段階では断続レール、架空集電方式を採用し、太陽光車体発電で充電を行います。そうすれば、バスやトラックのバッテリー消費量は5分の1で済み、より多くの乗客や貨物を乗せられます。建物や車両に燃料電池向けの水素グリッドを設置するのは、インフラをなくす、または最小限にするというトレンドに沿っているでしょうか? 答えはノーですが、クラス8の大型トラックやライトレールなど、発着地でのみ充電するタイプの車両には燃料電池の可能性があります。ただし、風力や太陽光での過剰発電による「コストのかからない」生産など、炭素を排出せずに水素を作ることができるようになれば、の話です。
 
地方に暮らすことがより実現可能かつ豊かなものとなり、低コストでメンテナンス不要のエネルギー自立型の航空機や道路交通によって地方と都市とがつながるようになれば、エネルギーを自給し環境に負荷を与えない建物によって、都市に人が移り住む流れが反転する可能性があると思う人もいるでしょう。一方、電気自動車事業は急速に変化しています。10年後には一番多く生産されるのは電動自転車ではなく草刈りロボットになり、そのほとんどはインフラのいらない太陽光発電を搭載したものになるでしょう。詳しくは IDTechExの調査レポート 『電気自動車_建設用、農業用、鉱山用途 2019年-2029年』をご覧ください。
 
4月10日ー11日にドイツ・ベルリンで開催される IDTechEx Show! は8つのトピックスのカンファレンスを同時開催し、同じ会場で展示会も開かれます。カバーするテクノロジーは、IoT/電気自動車/エナジーストレージ/センサー/プリンテッドエレクトロニクス/3D プリンティング/グラフェン&2D材料/ウエアラブル。 スマートシティ、スマートビルディングのセッションも開催します。更に詳しくはwww.IDTechEx.com/europe.
 
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