PEM(プロトン交換膜)燃料電池の構成要素
2025年11月17日
Dr Conor O'Brien
PEM燃料電池は、移動用から定置用まで幅広く導入が進む見込みで、燃料電池部品ごとに特有の技術動向が見られます。本記事では、これらの構成部材と、市場で見られる関連トレンドを紹介します。
水素エネルギー社会の拡大に伴い、PEM(プロトン交換膜)燃料電池も、先端材料開発の一端として継続的なイノベーションを遂げています。特定の部材においては従来の材料が依然として主流を占めているものの、競争力のある新たな代替品が着実に登場し始めており、技術的な状況に変化が現れています。IDTechExでは、部材の需要増加やサプライチェーンの動態、主な技術動向を考察した上で、PEM燃料電池用材料市場が今後10年間にわたって24%の年平均成長率で成長していくと予測しています。
燃料電池は、移動用から定置用まで、いずれも普及が加速しており、PEM燃料電池用材料と部材の需要も大きく増加すると見られています。IDTechExの新しい調査レポート「PEM燃料電池材料 2026-2036年:技術、市場、有力企業」では、用途別の詳細な10年間予測を提供し、燃料電池の主要部材についてユニット数と市場価値の観点で分析しています。包括的予測に加え、PEM燃料電池システムに不可欠な材料と部品についての競争環境の評価、技術ベンチマーキング、トレンド分析や、急速に成長する市場での進化の機会と課題について、貴重な洞察を提供しています。

PEM燃料電池の重要部材を示した概略図。出典:IDTechEx「PEM燃料電池材料 2026-2036年:技術、市場、有力企業」
PEM(プロトン交換膜)燃料電池は、いくつかの基本部材で構成されており、そのセルを複数積み重ねることで燃料電池スタックが構成されます。バイポーラプレート(BPP)は、燃料と酸化剤をセル全体に分配するためのものです。ガス拡散層(GDL)は、触媒層に反応物の供給や触媒層からの生成物排出の役割を果たします。触媒層付き電解質膜(CCM)は、電解質膜に触媒を塗布したもので、セルの片側から反対側にプロトンを移動させることができます。PEM、CCM、GDLが1つに接合されることで燃料電池の心臓部となる膜電極接合体(MEA)が構成されます。PEM燃料電池は、数多くの分野で利用が見込まれており、その中には燃料電池式の自動車、鉄道車両、船舶などの輸送分野での用途も含まれています。また、定置型燃料電池市場も興味深い動きを見せています。材料の選定は最終用途に大きく左右されるため、IDTechExでは市場でよく見られる材料選定の根拠を徹底解説しています。
バイポーラプレート(BPP)は燃料電池構造の要であり、機械的支持や水素ガスと酸素ガスの分離、動作中に発生した電気の集電などの働きをします。BBPが持つ数多くの重要な機能を踏まえると、適切なBPP材料を選定する際には、機械的強度、耐食性、導電性、熱伝導性の他、流動場の流路の設計など、いくつかの重要なパラメータを慎重に考慮する必要があります。IDTechExは、BPP材料での主流選択肢となっているグラファイトと金属の2つをベンチマーク評価するとともに、部材サプライヤーを特定し、各サプライヤーの材料選定、完成車メーカー(OEM)とのサプライチェーンパートナーシップの取り組み状況について解説しています。
膜電極接合体(MEA)は燃料電池の心臓部であり、プロトン交換膜(PEM)、触媒層付き電解質膜(CCM)、ガス拡散層(GDL)で構成されています。GDLはセル内で最も単純な部材だと考えられがちですが、水管理において極めて重要な役割を担っており、燃料電池の効率と耐久性に影響を与える部材です。本レポートでは、技術の差別化要因と完成車メーカーとの供給関係の考察を通して、GDL市場の有力プレーヤーの全体像を解説しています。また、燃料電池内での水移動や水分バランスを管理するGDLの能力向上を目的とした材料イノベーションの動向についても探っています。
プロトン交換膜(PEM)は、燃料電池の片側から反対側にプロトンが移動するのを助ける働きをしており、アイオノマーという特殊なポリマーを主材料としています。現在市場で主流を占めているのはケマーズの製品「ナフィオン」ですが、最近ではそれに代わる新たなアイオノマーがいくつか市場に登場しています。PEMに関して考慮すべき重要な点は、燃料電池用途で現在主流となっているPFAS(ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物)を巡る議論です。IDTechExでは、電気抵抗、イオン交換容量(IEC)、膜厚という3つの重要なパラメータに焦点を当てながら、新旧膜材料のベンチマーク評価を行っています。脱PFASを求める声を受け、炭化水素系ポリマーなどの代替材料が次世代の有望なPEMソリューションとして注目を集めています。
PEM燃料電池の性能を左右する重要な要素として挙げられるのが、電池内で使用される触媒材料です。100°C未満の動作温度で電気化学反応を促進し、かつPEM内での効率的なプロトン輸送に必要な水分管理に適した特性を持つ触媒材料を選定しなければなりません。これまでは、活性と安定性が非常に優れていることから、白金をはじめとする白金族金属(PGM)が触媒として用いられてきましたが、これらの貴金属が高価であることが、燃料電池スタック全体のコストを抑える上での大きな障壁となっています。
IDTechExの本レポートでは、完成車メーカー(OEM)を供給先とする主なPGM触媒サプライヤーを特定するとともに、PGM需要の予測や、これら材料を触媒層付き電解質膜(CCM)に用いることに伴う経済的価値の評価を行っています。当分野で現在進められている研究開発では、触媒コストの低減に焦点が当てられており、効率と分散技術の向上によってPGMの使用量を削減するか、あるいは同等の性能と耐久性を達成できるようなPGM以外の触媒材料を開発するかのいずれかの方法によって実現しようとしています。
PEM燃料電池部材の材料需要、トレンド、既存材料に替わる新たな代替材料の詳細情報については、IDTechExのレポート「PEM燃料電池材料 2026-2036年:技術、市場、有力企業」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。IDTechExの最新調査レポートは、こちら でご覧いただけます。
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