EV用電気モーター市場の進化
2023年6月20日
1800年代に開発されたと思われる電動トラクションモーターは、現在も依然として進化を続けており、電気自動車(EV)市場の成長によって新しい技術や市場機会、需要が生まれています。IDTechExは2012年以来、電気自動車の電動トラクションモーターに関する調査を継続しており、毎年、驚きと感動する新たな進展を目にしています。
近年は、電気モーターに使用される材料や基礎となるトポロジーへの注目が高まっています。軸流モーターに関連する買収により、出力やトルク密度などの特徴を改善しようとする動きもあれば、レアアースを削減または排除することで、より費用対効果の高い持続可能なモーターを目指す動きもあります。理想的な世界では、上記の両方を同時に達成することですが、現実にはトレードオフの関係になることがしばしばです。IDTechExの最新版調査レポート『電気自動車用電気モーター 2024-2034年』では、モーター技術、市場導入、材料利用、市場予測を深く掘り下げて調査しています。

IDTechExは、電気自動車と新しい代替品におけるモーターの主要パラメータを分析しています。 Source: IDTechEx - 『電気自動車用電気モーター 2024-2034年』
材料とレアアース
EVモーター市場にとって重要考慮事項の1つが磁性材料です。2015年から2022年にかけて、電気自動車市場での永久磁石(PM)モーターのシェアは常に75%以上を保っていました。希土類磁石は、サプライチェーンが中国に限られていることや、2021年(2011/2012年と同じように)に価格が再び大幅に上昇し始めたこともあり、2023年になっても懸念事項のままとなっています。これらの懸念事項を回避すべく、欧州メーカー数社は、ルノー とBMWが巻線型モーターを採用したり、アウディが誘導モーターを使用したりするなど、磁石を使用しない設計を選択しています。2023年にはテスラが、次世代モーターは希土類を使用しない永久磁石機になると発表し、フェライト磁石のような代替の磁性材料と、その大規模採用に立ちはだかる課題にさらに焦点を当てました。

自動車市場の大半は永久磁石モーターを使用。 Source: IDTechEx - 『電気自動車用電気モーター 2024-2034年』
例えば、多くのメーカーは、先端材料の開発やモーター設計の最適化により、自社のPMモーターに含まれる希土類量を着実に減らしてきましたが、希土類を使用しない磁石を完全に採用するには、一般的に性能に大きな影響が出ることは避けられません。大幅な設計変更なしで、フェライト磁石を採用すると出力とトルクに60%以上の損失が生じるでしょうが、設計のさまざまな側面を最適化できれば、フェライト磁石による性能低下を相殺できる可能性があります。Nironの窒化鉄磁石など、最新の磁性合金に目を向けているプレーヤーもいます。
IDTechExの調査レポート では、磁石を使用しないモーター設計、レアアース削減の方法、代替磁性材料の選択肢について分析しています。IDTechExは、(特にEV市場における中国の支配的地位によって)PMモーターがモーター形式の主流であり続けるものの、モーター1台当たりの希土類の量はさらに削減され、代替の磁性材料が市場でさらなる進展を遂げると予想しています。
新たな選択肢としてのアキシャルフラックスモーターとインホイールモーター
EVに搭載されている従来のラジアルフラックスモーターに加え、多くの関心を集めながらも市場導入の初期段階にある2つの新たな選択肢、すなわち軸流モーターとインホイールモーターがあります。
アキシャルフラックスモーターでは、磁束は回転軸に平行(それに対してラジアルフラックスモーターでは垂直)です。アキシャルフラックスモーターの利点としては、出力・トルク密度の向上や、パンケーキ型の形状でさまざまなシナリオでの搭載に対応できることなどが挙げられます。これまでの導入実績はないものの、この技術は市場統合が起きるまでに進化してきました。ダイムラーは、有力企業のYASAのモーターをAMGの次期EVプラットフォームで使用するために同社を買収しました。また、ルノーは2025年からハイブリッド車でアキシャルフラックスモーターを使用するため、WHYLOTと提携を結びました。
インホイールモーターは、ローズタウンの数量限定のトラックなど、一部の路上走行車に搭載されていますが、重要な進展がプロティアンでも見られています。プロティアンについては、東風汽車が、認可を受けた初のProteanDrive(インホイールモータープラットフォーム)搭載乗用車のデモンストレーションを2023年に行っており、これに続いてフリート試験も行う予定です。
IDTechExは、特定の車両カテゴリー向けに軸流モーターとインホイールモーターの需要が大幅に増加すると予測していますが、近い将来にこれらが従来の車載用ラジアルフラックス機を完全に置き換えるとはみていません。IDTechExの最新版調査レポート『電気自動車用電気モーター 2024-2034年』では、プレーヤー、採用、10年間の市場予測とともに、新しいモーター技術の性能と市場分析を実施しています。さらに詳しくは、『電気自動車用電気モーター 2024-2034年』で、ご確認ください。
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