スマートテキスタイルのキラーアプリケーション

スマートテキスタイルのキラーアプリケーション

スマートテキスタイルのキラーアプリケーション
新技術が開発されると、新製品として顧客に価値を提供します。マーケティング担当者や投資家は皆、その技術が大いに生かされる用途分野、つまり、「キラーアプリケーション(普及の鍵を握る重要な用途分野)」を見つけることに熱心です。そのキラーアプリケーションが、最初にそれを実現した技術の本質的価値を決定づけることになります。
 
一般的には、コンピュータ・ハードウェアの成功を決定づけたソフトウェア・プログラムを意味しますが、より広い意味では、基礎となる技術やその開発者の成功の原動力となる主要な製品タイプや市場を意味します。
 
Eテキスタイルには何百もの潜在的なユースケースがあり、その多くが世界中のさまざまな企業によって検討されています。IDTechExの最新レポート『E-テキスタイルおよびスマート衣料 2021-2031年: 技術、市場および有力企業』では、医療・ヘルスケア、スポーツ・フィットネス、軍事・宇宙、PPE・ワークウェア、ファッションなどの分野ごとの、多くの市場の主要プレイヤーと市場動向を分析しています。
さらに、スマートホーム、ホスピタリティ、自動車用インテリア、動物用、モーションキャプチャー、ハプティックスーツ、アシストウェアなど、さまざまな製品トレンドが存在します。その中でも、アパレルにおける生理学的モニタリングとアクティブ・ヒーティングに関する製品トレンドは、最も顕著な2つの製品テーマとして取り上げられています。
 
では、E-テキスタイルの「キラーアプリ」はどこにあるのでしょうか?この問題を考えるには、現在のさまざまなアプリケーション分野の現状を考慮する必要があります。

最も成功した市場は?

これまでのところ、最も成功しているe-テキスタイル製品は電熱ウェアであり、e-テキスタイル製品の年間売上高の4分の3近くを占めています。電熱ウェアは、バイク用電熱用品のような製品に始まり、現在では、スポーツ用品、作業服・PPE(個人防護具)、一般用防寒服、さらには一部のヘルス&ウェルネス製品といったさまざまな市場で商品化されています。
その基盤技術は20年以上前から商用化されて成熟していますが、充電式電池の改良、発熱素子の新しい製造技術、組み込み方とコネクタの改良による耐水洗性の向上といった最近のイノベーションが、市場を前進させ続けています。魅力度、技術の先進性、資金の調達力、世間の注目度のいずれも一番ではないものの、最も成功している分野として確固たる実績を打ち立てています。

最も可能性のある市場は?

e-テキスタイルにおけるもう一つの最も顕著な製品トレンドは、生理学的モニタリングに関するものです。各種センサーを衣料品に組み込むことで、心拍数・心電図(ECG)、呼吸の回数・深さ、動作、体温、筋活動といった指標や、尿や汗の検出・分析といった項目までモニタリングできるようになります。こうした指標を組み合わせることで、不整脈の診断から従業員のストレスのモニタリングや産後の骨盤底運動の最適化まで、実用的なデータや高度な分析を作成できます。
スポーツウェア、医療機器、テクノロジーの各分野の有力プレイヤーが研究開発に対して思惑絡みの関心を示していることと、プライベートエクイティによる大規模な資金調達が可能なことが多くのスタートアップ企業や成熟企業の誇張(ハイプ)と前進を促しています。
しかしながら、課題は潜在的な用途分野の複雑さや多様さの中にあり、そうした用途分野ごとにニーズ、競合先、市場の力学が存在しています。日用品・大衆向け製品としての「スマート衣類」を実現する夢は多くの企業によって模索されてきましたが、技術的、採算的に依然として非現実的です。多くのプレイヤーは、スポーツやウェルネス向けをターゲットにすることから脱却し、医療用途を模索するようになっています。これにはさらなるコストやリスクが伴うだけでなく、商業化までのスケジュールも長期化します。しかし、さまざまな面で大きな進展が見られ、この用途分野の長期的な潜在性はそれ以外のすべてを凌駕しています。

最も持続可能な市場とは?

今日、一部のe-テキスタイル製品では、複雑さや製品の採算性が量産の障壁になっていますが、こうした難しさがあることで、専門的な技術を持つ企業がカスタムソリューションの開発・最適化の支援に携われる大きな機会も生まれています。こうした状況が、製品の直販と設計コンサルティングの中間に位置するビジネスモデル――企業がスマートテキスタイル製品の設計・組立に対する専門能力を強化し、まだ不確実な段階にある製品のアイデアを持つさまざまな顧客と協力できるビジネスモデル――に対するニーズを生み出しています。
「e-テキスタイル」企業に分類できる企業のうち、このモデルを追求する企業は、多くの場合、歴史が長く、数年または数十年の間、黒字か少なくとも収支トントンで事業を継続している企業です。
おそらくその最も一般的な用途として挙げられるのが、従業員モニタリングや、産業労働者から救急隊員までのさまざまな用途を想定した防護具、またはスマートPPEの開発です。これらは個別にカスタマイズされる傾向があり、大量販売につながることはほぼないものの、設計者と製造企業の二役をこなすサプライヤーにとっては大量販売と同じくらい収益性が非常に高くなる可能性があります。
軍事用途もこのカテゴリーに分類されることが多く、電力回線とデータ回線の一体化から、装備の軽量化、バイタルサインのモニタリング、熱痕跡の最小化や、その他の一風変わった各種用途に関連するものまで、さまざまプロジェクトが存在します。
 
おそらくその究極の例は宇宙にあります。スマート衣類は、宇宙飛行士のバイタルサインをモニタリングするのに使用されており、最近の有名な例としては、Hexoskinの製品「Astroskin」があります。こうした用途では、これまでごく少量の製品しか製造・使用されていないかもしれませんが、その価値の大部分は、顧客との共同開発やサポートにあります。

キラーアプリは?

2021年のe-テキスタイルは、まだ「キラーアプリ」と呼ばれるほどの商業的成功を収めていないと言っていいでしょう。スティーブ・ジョブズがiPhoneの発売時に、iPhoneのキラーアプリは「通話ができること」だと発表したように、キラーアプリは予測するよりも考える方がはるかに簡単であることは明らかです。
 
e-テキスタイルでは、産業としての多様性と幅広さにより、(過去25年にわたって成功・失敗を繰り返しながら開発されてきた)多数の潜在的な用途が実現化されます。最近では、グローバルなサプライチェーンとそれに伴う協力関係を通じ、e-テキスタイルを技術テーマの一つから真の「産業」へと移行させるためのワーキンググループと国際標準を設立、制定する取り組みも行われています。
 
また、一部の大手テクノロジー企業やヘルスケア業界、家電業界、自動車業界からの参入企業は2021年も引き続き関心を寄せており、継続して新規プロジェクトに再投資している企業もあります。さらには、現在、各プレイヤーがニッチ市場で実用的な技術開発に熱心に取り組んでいることもあり、この分野全体の成熟度は、最終的には、大衆市場向けのスマート衣類製品の普及の閾値にまで達するでしょう。
 
IDTechExは、e-テキスタイルとスマート衣類業界の網羅した完全版レポート『E-テキスタイルおよびスマート衣料 2021-2031年: 技術、市場および有力企業』を発行しました。このレポートには、多くの主要プレイヤーの詳細なプロファイル、バリューチェーンの各ステップのレビューと考察、最終製品市場の評価が含まれています。また、個々のプレーヤーの過去の市場データと、現在の業界全体情報が含まれています。また、今後10年間のこの技術の可能性と将来性を考慮した市場予測も含まれています。
 
さらに詳しくは、調査レポート『E-テキスタイルおよびスマート衣料 2021-2031年: 技術、市場および有力企業』で、ご確認ください。
 
IDTechExの調査レポートは、
・アイディーテックエックス株式会社 (IDTechEx日本法人) が販売。
・IDTechExからの直接販売により、お客様へ各種メリットを提供。
・ご希望の方に、サンプルページ 送付。
・オンラインでの試読については、ご相談ください。
・その他、調査レポートに関する、質問、購入に関する問い合わせは、
 下記担当まで。見積書、請求書も発行します。
 
IDTechExの調査レポートを購入すると、30分のアナリストタイムが提供されます。直接アナリストにレポートに関する質問が可能です。詳しくは、下記担当までお問い合わせください。
 
問合せ先
アイディーテックエックス株式会社
東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル21階
担当:村越美和子  m.murakoshi@idtechex.com
電話 : 03-3216-7209
 
IDTechExは、調査、コンサルタント、イベントを通して、戦略的なビジネス上の意思決定をサポートし、先進技術からの収益を支援しています。IDTechExの調査およびコンサルティングの詳細については、IDTechExの日本法人、アイディーテックエックス株式会社まで、お問い合わせください。