食肉産業の持続性への道筋

食肉産業の持続性への道筋

食肉産業の持続性への道筋
食肉はビッグビジネスです。世界の食肉産業は2兆ドル以上の価値があり、世界最大の食肉会社であるJBSは500億ドル以上を稼いでいます。2017年には、米国だけで約1,000億ポンドの食肉を生産しており、生産量は年率2~3%で成長しています。2016年の米国の食肉産業の経済総生産額は1兆2000億ドルで、米国のGDPの5.6%を占めています。この産業は540万人を雇用し、人々は2570億ドルの賃金を得ています。米国政府は食肉・乳製品産業に多額の補助金を出しており、年間380億ドルの補助金を支出しています(EUは食肉・乳製品産業に同レベルの補助金を出しています)。そのため、米国では食肉が非常に安く、消費者支出の6.4%が食肉であり、これは世界で最も低い水準です。ここ数年、食肉消費率は低下しているものの、2013年には平均的なアメリカ人の年間食肉消費量は110kgを超えており、オーストラリアに次いで世界第2位の量となっています。
 
 
 
このパターンは世界中で繰り返されています。世界の食肉消費量は、過去50年間で急速に増加しています。1961年には、ヨーロッパと北米が圧倒的な生産国でした。その後、両地域とも生産量が2倍以上に増えたにもかかわらず、現在ではアジアが世界最大の食肉生産国となっています。各国の工業化が進むにつれ、その人口はより欧米化した食生活を送るようになり、人々はより多くの肉を食べるようになりました。
 
家禽の生産は、世界の家畜産業の中で最も急成長しているセグメントです。2020年までに世界で1億2400万トンの家禽が生産され、次の10年間で25%増加すると予測されています。この傾向は世界的に共通したものです。家禽は他の肉類よりも安く生産でき、鶏はグラム数で見て餌からタンパク質への変換効率が最も高い肉畜です。また、家禽の場合、牛肉や豚肉ほどに消費に対する宗教的な制約がありません。2019年8月の生の丸鶏1kg当たりの米国での小売価格は3.34ドルで、骨なしの鶏胸肉1kgは6.53ドルでした。このような低価格を実現するため、業界は生産の標準化に多額の投資を行っていますー 生産施設を統一して低コストかつ短期間で建造できるようにしているほか、鶏の99%を同一品種にすることで、大きさや重さがばらつかないようにしているのです。
食肉産業における持続性の問題
食肉産業は、いくつかの大きな持続可能性の問題に直面しています。家畜は不釣り合いに大量の土地を使用しています。5,100万km2の農地のうち、77%が家畜と家畜の飼料に使用されています。にもかかわらず、世界のカロリー消費量のわずか17%が動物由来であり、植物性食品が世界のカロリー摂取量の83%を供給しています。世界のタンパク質摂取量のうち、肉と乳製品が占める割合はわずか33%に過ぎません。
 
世界の人口は2050年までに100億人に達すると予想されています。これだけの人口を養うためには、世界の食糧生産量を70%増加させる必要があります。しかし、主要な作物の収穫量は、過去数十年間でプラトー化しています。過去50年間の品種改良により、動物は生物学的な限界に到達しています。例えば、米国の鶏は胸が非常に大きくなり、成長すると立つのに苦労するほどです。農業の効率が大幅に向上することはなさそうです。これには農地の減少も影響しています。都市化と気候変動により、さらなる森林破壊なしには農業に利用できる土地の面積が減少するためです。
 
肉は非常に非効率的な栄養源です。鶏肉は最も効率的な肉の一種ですが、それでも1カロリーの肉を生産するには9カロリーのエネルギーが、1gのタンパク質を生産するには5gのタンパク質が必要です。豚肉はもっと非効率的で、1カロリーの肉を生産するのに10カロリーの餌が必要です。世界的に完全植物由来の食事を取り入れるようになった場合、現在の農業は増加する人口を養うのに十分な食料を余裕をもって生産することが可能です。
 
 
 
食肉産業もまた、環境破壊の主要な原因となっており、国連は畜産業を「地域的なものから地球規模のものまで、あらゆる規模で、最も深刻な環境問題に貢献している最も重要な貢献者の一つ」と表現しています。農業は温室効果ガスの主な排出源であり、土壌耕作からの二酸化炭素、家畜からのメタン、肥料や糞尿からの亜酸化窒素が主な排出源となっています。家畜生産の拡大は森林破壊の主な要因であり、特に中南米では、アマゾンの以前は森林に覆われていた土地の70%が牧草地で占められています。畜産は、世界中で土壌劣化の主な原因となっています。畜産は水ストレスの主な原因でもあり、家畜が世界全体の水の使用量の8%以上を占めています。抗生物質、肥料、殺虫剤が川や海に流れ込み、富栄養化、沿岸のデッドゾーン、サンゴ礁の破壊を引き起こしています。畜産に関連する汚染や、牧草地形成による生息地の破壊は、生物多様性に対する大きな脅威であり、種の消失が化石の記録から予想される数値の50~500倍の規模で進んでいると推定されています。
何ができるのでしょうか?
畜産に関連した問題の多くは、世界の人口の大部分が肉を手放すことで解決できるかもしれませんが、環境や倫理的な理由に関わらず、これは非常に可能性が低いと思われます。このような背景から、食肉製品の現実的な代替品を作ることができる企業には大きなチャンスがあります。
 
どのような代替品も、従来の食肉とほとんど区別がつかず、少なくとも対応する食肉製品と同等の価格を持ち、広く入手可能である必要があります。特に有望な2つの産業が、ここ数年の間に急速に成長しています。
 
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